性格備考
巴形薙刀にとって審神者は、自己を形づくるための要にも等しい。“巴形”の形状を取った数ある薙刀の集合体として顕現した存在は、銘や逸話に裏打ちされた他の刀剣男士と比べると少々特異なものだ。纏う空気もどこか浮世離れしており、人と遜色ない器を以てしても神格を感じさせるだけの存在感を放つ。裏を返せば起伏に乏しく淡々としている点も否めないが、接してみれば存外素直な質であると分かるだろう。取り分け審神者に対してはそれが顕著で、時に甲斐甲斐しく世話をしたがりながら、唯一の主と大切に思う心が過保護さとなって表れることも。多くは典礼用として扱われていた名残もあってか、細やかな作業や側仕えは事実得手とするところ。実戦に関してはあくまで補充戦力と自認し些か一線を引いている節があったが、修行を終えてからは刀剣男士としてのみならず、主の刀剣として振るわれ戦果を上げることにも意欲的な様子が見受けられる。ただひとりの主のもと、あらゆる機微を学びながら今まさに自分だけの物語を育む日々。本丸の数だけ物語もあろうが、如何な巴形薙刀もひたぶるに主を思う存在であることばかりは変わらないだろう。
自己PR
(ぱちん、ぱちん。割り当てられた自室にて、不規則な花鋏の音を響かせる昼下がり。ふと、軽やかな足音が近づいてくる気配があった。主のものではない。座したまま顔のみを持ち上げると、換気のため開けていた戸に手をかけるようにして、こちらを覗き込む古参の短刀が微笑んでいた。「お花、綺麗ですね」告げられた一言に、今一度視線を手許へ戻す。)ああ、主が帰ってきたら部屋に飾らせてもらおうかと生けていたのだ。(世話役の許可を得て、本丸の庭から頂戴した時季の花々。色とりどりが机上に並び、花瓶に収められるのを待っている。ぱちん。またひとつ余分な茎を切り落とし、麗しの一輪を挿しながら。)近頃、平生よりも少し忙しくしているだろう。無論、俺自身が力になれることはするつもりだが……執務などの合間にも、花が目に入れば多少なり安らぐかと思ってな。(側仕えとして御身の近くに控えていたいのは山々なれど、本日のように所用で他の刀剣と出払っている日はそうもいかない。しかし斯様な時であれ、主のことを第一に考え時間を使うのは必然だった。)……主をより引き立てるには、主張しすぎない色合いにするべきだろうか。どう思う?(「僕にもお手伝いさせてください!」張り切った声に首肯でいらえ、二振りで花を生けること暫し――やがて部屋の外から、城主の帰還を触れる声が飛び込んできた。喜ばしげな傍らの短刀と顔を見合わせ、ふ、と微かに呼気を落として。)では、ともに届けに行こう。おかげで良いものが出来た、感謝する。(美しく彩られた“合作”を丁重に抱え、ゆるりと立ち上がっては背筋を伸ばす。主は喜んでくれるだろうか。疾くその顔を目にしたい気持ちを抑え、常と変わらぬ歩調で足を踏み出そう。のどやかなそよ風が、肌をくすぐるように吹き抜けていった。)