へし切長谷部

忠誠心と信頼

性格備考

主に対して最も忠実な刀といえばどれか、といわれれば、それは当然己であるとへし切長谷部は確信している。顕現当初こそ過去に対し含むものがあり、主人の一番を渇望するように我が我がと手を挙げていたが、修行に赴いてよりはそうした向こう見ずなきらいもだいぶん緩和されたようだ。主に対しては忠誠だけでなく信頼を惜しまず捧げ、他の仲間たちとも張り合うではなく協力し合う姿勢をとるようになった。しかし仲間たちに張り合うようにして仕事を追い求める姿は改善されたとはいえ、その負けず嫌いは健在である。計算事、書類仕事、帳面の清書から掃除洗濯炊事畑当番に馬当番も含め、本丸内での仕事に関しては特に苦手意識も持たず、むしろそれを苦手とする刀たちにコツを教える部類でもある。主に対する曇りない忠誠のまま。「役に立つ奴が増えたほうが主もきっと喜ばれる」と本丸内では教育係のような立場に名乗りを上げることが多い。とはいえ、それはそれとして自分の力を高めることでより主に頼りにしてほしいという考えから自分自身の能力を高めることにも余念がない。特に本分である戦働きではそれが顕著である。

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(へし切長谷部は本丸のあちこちに存在している。時に道場の掃除をしていたり、時に厨に立ってみたり、主の元へ参じていたり。ともかく一つ所にはとどまらない部類ではあるが、それもこれもあれこれとやるべきことを抱えたがるためだ。旦那、と呼び止められたならば一歩足を止めてそちらを見やる。)なんだ、薬研か。どうした。(馴染みの短刀の姿に先を促すように向きなおる。かといって別段膝を折って視線を合わせるつもりもないのはどの短刀たちに対しても同じこと。なんでも、備蓄していた酒瓶が一本紛失中との由。)…どいつだ…。(酒豪の刀たちの顔がよぎっては消えていく。地を這うような声に医療用のアルコールなんだが、と、補足を入れる短刀にはあ、と、額に手を当ててため息一つ。)分かった、俺からも探りを入れておこう。それから…どうせ飲まれているだろうから、発注はかけておく。お前も医療用というならそれらしい瓶にでも入れておけ。(敵影を斬るのと同様にすぱすぱと言葉にして指示を出し、手元にある帳面にメモをかきつける。本丸の備品のことであるから、主の耳には入れておくべきか。こんなことで多忙な主を煩わせるのも申し訳ないな、と思いながら、主の部屋へと向かう足取りは軽かった。)――主、ご報告が。(けれどそうして主の部屋へと続く襖を開けるときにはすっかり落ち着いたそぶりをしている。この男はそういう刀剣だ。)