(昼間に私室を掃除した際、化粧箱に入れたままの一升瓶を見つけた。確か、実家から送られてきた日本酒だ。本丸の皆で分けるには量が足りず、かといって一人で飲むには多すぎると持て余して、隠すように置きっぱなしにしていた物だ。)見つけてしまったからには、どうにかしないといけませんわね。(悩ましげに眉を寄せるが、声色はちっとも困っていない。今晩、少しだけ飲もう。おつまみを押さえておかねばと厨へ向かう途中、かの刀を見かけ、つい声をかけた。)則宗様、こんにちは。……あの、実は折り入ってご相談したいことがありますの。(立てた片手を口元に添えて、内緒話を持ちかけるように小声で話す。)今晩、お酒を飲むのを良ければ手伝ってくださいませんか?(前後のない突拍子な申し出になったのは、慕う相手を前にして緊張していたからだった。事情を話せば、少しは理解を得られようか。――深夜の私室にて、ささやかな酒盛りが開かれるに至る。座卓には少量のおつまみを並べ、彼の酒器には喜んで酒を注いだだろう。会話もそこそこに一升瓶が殆ど空になったころ、不意に黙り込んで彼をじっと見つめ、そっと口を開いた。)私は、則宗様が好きです。とても、とっても好きです。初めてお会いした時には、うっかり魂が消えるところでしたわ。則宗様はお美しい。けれど、私は則宗様のお心こそ素晴らしいと日々ときめいておりますのよ。(ここまで一息で言い切った。一人で勝手に満足して、酔った人間特有のゆるい笑みを浮かべながら酒を煽った。)
04/14 04:00*9
(監査官として言葉を交わした時には、芯のある。本丸に来てからは、忙しなくよく働く娘だと思った。元々の立ち位置上、様々な本丸を見てきたものだが、中でも此処は活気と生気に満ちたよき場所であると言えよう。それは恐らく主の気質に似たものなのやもしれぬが、未だ新参に類される身には与り知らぬところ。とは言え、『隠居』として自由を主張する己を前に、より年上のもの達が活発に動かれるのは何とも決まりが悪いので勘弁していただきたい所なのだが――。)おぉ、主か。相談?(背後からの気配には気付いていた為、声を掛けられた事に驚きはない。さりとて潜められた声には僅かに睫毛を揺らし、続く言葉を待っていたが。)なんだ、そんなことか。良いぞ、坊主たちの相手にも飽きてきたところだ(拍子抜けたような、思わずといった調子で零れた笑いは快諾と共に。別れの際には手の代わりに扇を軽く振ってその背を見送って、約束の刻までは平素通りに過ごした。基本的に出陣の無い日には内番時の略装でおり、今宵もそれは同じく。「邪魔するぞ」と私室へ招かれるまま席に着き、酒を嗜むもまた自然な流れ。ゆえにこそ、不自然に訪れた沈黙の間には、ゆるり視線が彼女へ向いて)……ん?(唇に猪口を付けた状態で動きが止まる。其れは淡々としているようにも、熱が篭もっているようにも聞こえる不思議な声だった。猪口を煽る前の不自然な姿勢のまま、無垢な笑みを浮かべる彼女と視線が合うと、)……うん(一先ず頷く。飲みきらぬまま、猪口を卓の上に戻し。)なるほど、お前さんは見る目があるな。ではその『お心』とやらを具体的に聞かせてくれないかい?(酔いが回っているのだろう事に気付きながらして、先を促す瞳は愉しげに細められた。)
04/14 20:10*22
お褒めに預かり光栄ですわ。後で、こんのすけ様に自慢しないと。(見る目があると言われ、手放しで喜んだ。文字通り。手元から酒器が滑るように落ちていったが、幸いにも低い位置で持っていたため、音を立てることもなく卓上へ着地した。酒を飲めばすぐに赤く染まってしまう頬は酔いの程度を示すものにはならないが、注意散漫な様子は相当に酔っている証左となろう。)まあ! 則宗様が直々に聞いてくださるのですか?(ぱっと顔を明るくしては、両の手を合わせた。)則宗様の広く深いお心を、私の知る言葉で表せられるか自信がありませんが、どうか聞いてくださいな。(さて、どこから話したものかと緩慢に小首を傾げる。やはり順序は始めからがいい。思い出を引き出せば、お酒など関係なく胸に熱が灯る。)監査官としてお見えになったときから、改めて本丸にいらして以降も、何かと清光さんに目をかけてくださっているでしょう。私と清光さんはそれなりに長いお付き合いになりますが、あんな楽しそうに「くそじじい」って言う清光さんは初めて見ましたわ。則宗様も怒るどころか大らかに受け止められて、ご自分でも「じじぃ」だなんて。うふふ。(思わず漏らしてしまった笑いを隠すように口元に手を添えたが、すぐに退けて、何かを探すような手が宙をさまよう。)お偉い方が偉ぶらずに自分を下げることで、若い方々が伸び伸びと出来る環境を作る。簡単なことではありませんわ。(ふらふらとした手つきで一升瓶を掴み、自分の器に酒を注ごうとするが、ちょっと傾けたぐらいでは何も出てこない。)年の功というのでしょうか。私には無いものをお持ちの則宗様に、どうしようもなく惹かれてしまうんです。
04/14 21:48*25
(厄介な事にこの太刀、己が容姿への評価はそれなりであって。ゆえにこそ、賞賛の言葉もすんなりと受け入れて飲み込めよう。細指から滑り落ちた器に僅か肩を反応させるも、大事無いと判ずれば行動を起こす事は無く。)……あぁ(平素からよく笑う娘であったと記憶しているが、斯様に歳相応な明るさを目にしたのは始めてだろうか。話を聞くと言うだけで大仰なまでの喜びようを見せる気持ちは理解出来ぬまま、それでも先を促したのだから耳を傾けるが。――流麗に語られてゆく想いの数々に、ふむ、と時折相槌を挟む表情は見守るものの其れ。)そうかそうか。……いや、お前さんからはそんなふうに見えているんだなぁ。嬉しいよ。(長い前髪から覗く浅葱がやわく細められ、感情を伝える声音も囁きにも似た低さで。憧憬を向けられて悪い気はせぬだろう。それはそれとして、傾いた瓶に手を伸ばし取り上げたのは、暗に彼女の飲み過ぎを察しての事だ。「ほれ、」と代わりに差し出すのは冷や水だが、納得して貰えるかどうか。)まぁ、高く買ってもらえるのは悪くない。だが僕は……そこまで小難しい事を考えてやっているわけじゃないさ。(唇には薄い笑みを敷いて、片手に持っていた扇子をたためば、ぱちん、と音が鳴る。其の先を、不躾にならぬ程度に彼女のほうへ軽く向けると)私には無いものを、とは言うが、お前さんも似たようなことをしているだろう。内番を手伝うのも、裏方仕事をするのもそうだ。(ふ、と眦をゆるめて、中断した猪口の中身を飲み干す。空の器を卓に置けば、「ん?」と座椅子に背を預けながら眼差しと共に問う。酒が含まれているとは言え、ふたりだけで話す機会というのはそう多くはない。互いを知る場としては打ってつけだろうとして、話の矛先はややずれる。)
04/15 00:12*29
(確かに持っていたはずの一升瓶は、いとも容易く彼に攫われていく。酔っているせいで取り上げられたと理解するのもままならず、不思議そうに自分の手を見下ろしていた。差し出された冷や水を素直に両手で受け取って、早速一口いただこう。)ん、美味しいですわ。(香りも味もない、ただの冷や水なのは分かっていた。けれど、彼から与えられたものならば、どんな美酒よりも美味しいと感じられる。傍目には、酔いすぎて水と酒の区別も付かないと映るだろうか。扇子の音は彼を象徴する、好きな音だった。扇子を巧みに使う所作にも見惚れてしまうが、向けられた言葉を聞き漏らさないように耳を凝らす。二、三度まばたきを繰り返し、ゆるく首を横に振った。)似てるだなんて、とんでもございません。私は自分に出来ることをしているだけです。(申し訳なさそうにするでなく、かといって胸を張るわけでもなく、自分にとっての事実をありのまま告げる。審神者には適性があったからなっただけ。当時は強い使命感や、目覚ましい来歴は皆無だった。そんなことは、監査官として本丸にやってきた彼ならば知っているかもしれないし、あるいは知らないかもしれない。一呼吸を置いて彼を見つめる頃には、高ぶっていた感情の波が落ち着き始めていた。)私と皆様は、ひとつ同じ屋根の下で生きる仲間であると考えておりますの。苦楽を共にするのも当然の道理ですわ。(朗らかに話し終えたなら、冷や水をもう一口。やはり美味しさは変わらず、頬を緩ませる。)先日は、お花見に誘っていただいてありがとうございました。……今だから申し上げますが、他ならぬ則宗様からお誘いを受けて、天にも昇る心地でしたのよ。来年は、私からお声がけさせてくださいな。
04/15 15:02*36
……ふ。謙虚だねぇ、お前さんは。その“出来ること”も、最初から出来ていたわけじゃあないのだろう?そういう所を、古株の坊主たちも高く評価していたよ。(控えめな謙遜というより、真にそう思っていないのだろう様子に呼気で笑った。他の刀に比べれば未だ付き合いは浅い方だが、彼女らしい、と思えるくらいには見てきたつもりだ。引き合いに出した評は事実であるからこそ、告ぐ語り口も穏やかなもの。幾分落ち着いたようにも見える彼女の様子を見れば多少安堵も出来ようか。)仲間。仲間か。ふむ……それもまた、一興かもしれんなぁ。多少、歪だが(ぽつと反芻した言葉は、何かの含みを飲み込むように。本丸の在り方はその数と同じだけあって良い。そう考えるがゆえに、次いでは肯定を返そう。先ほど取り上げた瓶の残りを慣れた手付きで猪口へ注げば、口元まで運んで。)ん。あぁ、礼を言われるような事じゃないが……、(一口を飲んで、杯を卓に戻す。感謝される事に悪い気を起こす筈もなく、応えは明るい調子のものであったが。先ほどから大袈裟とも思える喜の表現を、十二分に理解してるとは恐らく言い難い。それでも、主の新たな一面を垣間見たような心地がある。それゆえに、)来年とは、随分先の話だなぁ。花見でなくとも四季折々、誘う口実ならばいくらでもあると思うが……?(胡坐をかいた片膝の上で頬杖をつくと、自然と首を傾ぐ姿勢となろう。揺れる金色から覗き込むような瞳は、試すような、愉しげないろをしている。「僕をそれまで待たせるか?」と続く言葉は、些かの傲慢ささえ感じられよう。それが許される、太刀だった。)
04/16 06:48*51
(謙虚と評されてもいまいちピンと来ず、また納得もしかねていたが、彼が言うところの「古株の坊主たち」が脳裏を過れば、ためらいがちに頷いた。自分に関することを間接的に聞く方が、却って面映いこともある。)多少であれば、歪でも構いませんでしょう? よほどであれば、声を上げてくれる方がいらっしゃいますもの。(懐かしい思い出に触れて、小さな笑いをこぼした。単純な甘えからくる発言ではなく、仲間である本丸の刀剣男士たちを信じているからこそ。付喪神たる彼らを従えるのが、人間の審神者という図式がそもそも歪なのだ。先程どこかに行ったと思っていた一升瓶は、目の前で遂に空っぽになってしまった。つまり、今夜の用事は終わってしまったわけだ。僅かに肩を落としたが、思いもよらない問いかけに目を見張る。)えっ? お誘いしても、よろしいので(すか? と続くはずだったが、途中で何も言えなくなった。彼の魅惑的な姿勢から向けられる瞳に、心臓が強く飛び上がって息が詰まったのだ。傲慢めいた言葉でさえ、刺激を与えられるでしかない。返事をしなければ、と急くほど胸が苦しくなる。しばし間を置いて、どうにか呼吸を取り戻したならば)……好きだと言ってしまえば、楽になるとばかり思っていましたのに。余計に苦しい気がしますわ。(ままならぬ恋心をぼやいた。美しい浅葱に見とれながら、ようやく返事をするに至る。)則宗様をお待たせするわけには参りませんわね。佳い日にお誘いさせていただきます。則宗様のお好きなお酒や、食べ物を教えていただけますか?(今夜は一升瓶に合わせて適当に見繕ったため、次があるならば彼の希望を押さえておこうと。)
04/16 17:02*57
うはは、それはもちろん。歪が過ぎるのも僕は歓迎、と言いたいところだが……――まぁ、そうはならんのだろうな(絶対の信頼は、時に目を曇らせる事もある。歪を愛でたがるこの刀にすれば、在るべき形など崩しても構わぬと笑い飛ばしてしまおうが、それこそ己を『くそじじい』と呼ぶあの一振りは許さぬだろう。これはきっと愛し方の違い。だがきっと、“それ”で良いのだろうと笑む表情は穏やかだった。常日頃は前向きに明るく、そんな彼女ゆえに、今宵の明瞭な感情の変わりようは面白く映る。動作ひとつ取ってもつぶさに観察する眼差しは、ただ一人へとだけ向けられて。前向きな返答にはにこりと笑顔を見せた。)あぁ、待っているぞ。好みというのは特段考えたこともない、が……。(頬を支えていた手は思案と共に顎に滑り、僅かな間口も閉じられる。数秒、そうして考えたものの、)今日飲んだ酒は美味かったぞ。あとは……そうだな、極度に甘いものや胃にもたれるようなものでなければ構わんよ(若々しい見目であっても、身体面ではじじぃの片鱗がちらりほらり。とは言え、細かな選り好みは無いがゆえ、随分と幅広い解答となってしまった。――結論、「お前さんが好きなものを振る舞ってくれたら良い」と締めるだろう。それは遠慮やなおざりの類ではなく、頓着しないものなりの精一杯の要望でもあった。猪口にほんの少し残った酒を飲み、ひとつ息を吐く。それから頬杖と解けば、真っ直ぐに彼女と向き合い)なぁ、主よ。お前さんは今も“苦しい”か?(扇子の先を己の胸元にとん、と添える。それは先の彼女の言葉に対するものだ。熱を帯びたまどかな瞳や、音には聞こえぬ深い吐息を思い返しては、見て見ぬふりをしようとした心の機微に今一度触れることを選ぶ。)
04/17 01:45*63
(彼の笑顔を目の当たりにして、胸が早鐘を打つ。思い返せば、好きな相手の好みの一つも把握していなかったのだ。少しの緊張を覚えながら、返事を待った。具体的なものは挙がらなかったけれど、言葉の端々に優しさや気遣いを感じて、そんなところにも惹かれてやまないと再確認する思いだった。)それは、私の故郷の地酒ですの。則宗様のお口に合ったようで嬉しいですわ。(地元愛は人並みだが、美味しいと言われれば自分のことのように嬉しくなる。食べ物に関してはしっかり頭に叩き込み、かしこまりましたと快諾した。彼の扇子が示すところを、自分も同じように手を添える。大なり小なり、ずっとうるさく鳴っていた。)ええ、今も苦しいです。けど、嫌ではありませんわ。なんと申し上げてよいやら、……いたきもちいい、かしら?(「痛い」と「気持ちいい」を掛け合わせた造語を口にしては、自分でも何を言っているのか分からなくなってクスクスと笑う。)ご安心くださいな。不治の病ですが、死にはしませんわ。則宗様をお慕いしておりますが、それだけですの。(今までも十分しあわせであったし、これからも時折誘うことを許されたのならば、それ以上望むことは何もない。満面の笑みを浮かべて述べた。)ただ、もう隠すことは致しません。どうかお許しくださいませ。(人目に付く場所で無闇矢鱈と口にするつもりはないが、これからはそれなりに伝えていくと明るく宣言する。)
04/17 16:06*72
(永く世を見てきた存在とはいえ、決して全知全能ではない。たとえば、人の想いというものの未知。其れはどこまでも歪で、業が深いくせ、美しくてあたたかい。ただの物を付喪神たらしめる、其の一端を知りたいと願うのは当然の摂理に違いない。けれどもきっと、根底はもっと別のところに。)嫌ではない、か。いや、お前さんがつらくないというのならそれで構わないがなぁ……(答えを聞いてみたとて、心をすべて理解するには至らない。鈴を転がすように笑う彼女とは裏腹に、どこか釈然としない面持ちで呟く。扇子をあてた唇も、珍しく引き結ばれていたが――)ふ、……うっははは!(正面切っての宣言を向けられたのなら、思わず吹き出して高らかな笑い声が上がる。開いた扇子で口元を隠して、背を丸めながらくつくつと笑うさまは殊更愉快げに。)お前さんは見た目によらず男らしいな。あぁ、これは褒めているんだがな?(眦の端の雫を拭いつつ、誤解なきように注釈も添える。呼吸を整えるようにひとつ長い息を吐いて、再び姿勢を戻そう。笑った事でほんのりと血色が良くなった顔へ扇子でそよ風を送りながら)いやいや、お前さんが僕のことを慕ってくれているのはよぉく分かった。嬉しいよ、ありがとう(未だ少し笑いの余韻が残る中であれ、此方からの思いを伝える声音は感情が伴う響きにて。扇ぐ手を止めて、飲むものが無くなった事に気付けば猪口に水を注いで、一杯。)では、その心意気に免じて。今日は特別にお前さんのわがままを聞いてやろうじゃないか。……酒の席だ、遠慮せず言ってみなさい(そう告げたのは、彼女からの想いを“崇拝”と認識している事にも起因しているし、単純に日頃励んでいる相手への労いとして。片手を軽く差し向け、望みを引き出すような仕草。)
04/17 21:38*77
(静かな一室で突如飛び出た彼の笑い声に、きょとんとする。男らしいだなんて、生まれて初めて受け取る賛辞だった。)あら、まあ……そう、なんでしょうか。また褒められてしまいましたわ。(ともあれ、褒められて嬉しいのは変わりない。先程の苦しいか、という問いかけに答えた際の、彼の微妙な反応が些か気がかりであった。だが、嬉しい、ありがとうと好意的な言葉から、一応は伝わったらしいと解釈する。)わがままを、ですか? ありがとうございます。(先んじて礼を述べておき、顎へ軽く手を添えた。漠然と視線を天井向けてそよがせながら、わがままを考え始めた。最初こそ滅多にない機会を楽しんでいる風であったが、次第に眉根を寄せて表情を曇らせていく。――何も浮かばなかった。酔いで頭が回らないのではなく、わがままを言うのが憚られるでもなく。しかしながら、折角の厚意を無下にするわけにはいかず。考えに考えた末、どうにか一つだけ見つけて、おそるおそる口にする。)則宗様には、いつまでも健康でお過ごしいただきたいです。なので、肩を揉んでも良いでしょうか? 私はこれでも、肩を揉むのが得意ですのよ。実家ではよく、祖父や祖母の肩を揉んでおりましたわ。(刀剣男士としては珍しく、体に関して教えてくれる彼の言葉を思い出した上での申し出だった。了承が得られたなら、早速彼の後ろに回って肩をほぐしていこうと。固辞されたならば仕方なく、ぬるくなった手元の水を一気に飲み干してしまおうか。)
04/18 00:41*80
(考える時間は少々長いように思えたが、急かすでもなく只待っていた。候補が多くて悩んでいるのか、思い浮かばず何かしらを捻出しているのか。控えめに告げられたものを聞けば、恐らく後者だったのだろうと察せられよう。浮かぶのは呆れ交じりの笑みではあるが、落胆や拒絶のいろは無い。)そこまで欲がないと却って心配になるな。まぁ、お前さんの今の一番の望みがそれだと言うんなら、僕としては断る理由はないが(過度でなければ、身を案じられるのも悪い気はせぬ。何より此方から彼女の望みを聞くと言い出したのだから、受け入れぬ道理はないとして特技を披露してもらおうか。姿勢に関する指示があれば、都度応じてゆくつもりだが――その前に、)今回はこれで良いが、わがままとして不合格だ。次までにちゃんと考えておくように。(背後に居る彼女を、今は横目で見上げる形となろうか。年寄りの小言よろしく釘を刺す口振りは、揶揄めいた軽さで。酒が抜けた後に忘れてしまうようならそれでも構わないといった程度だ。肩の力を抜いて、後はそのまま彼女に身を委ねよう。)……あぁ、いいな。悪くない。(瞳を閉じて、ほうと息を吐く。ここ数日は激務も無く、その気になれば某猫に纏わる一振りにケアを頼む事があった為、そう極端に凝り固まっている事は無い筈だが。)僕の身を案じてくれると言うのなら、畑当番から外してもらえるのが一番ありがたいんだがなあ?(なんて、やや芝居がかった口振りで述べて。戯れの軽口は、彼女の反応を愉しんでいる節もあろう。)
04/18 07:50*85
(彼の後ろで膝立ちになり、両肩へ手を添える。日頃は見上げるばかりの後姿を、こんな風に間近で、しかもちょっとだけ見下ろすのは何だか得をした気分だった。いざ始めようとした際に見上げられて、否応なしにドキリとする。不合格と言われても致し方なく、申し訳ありませんと素直に謝った。それほど気を落とさずに済んだのは、彼の気遣いに溢れた軽妙な言い回しのおかげである。慣れた手つきで彼の肩を優しく揉みながら、それ程コリがないことに気付いて、それもそうかと一人納得する。戦いとなれば絶えず動き回る彼ら刀剣男士の、肩が凝るなど非常に稀であろうと内心反省。芝居がかった口ぶりには、つい小さく笑った。)それはできない相談ですわね。畑当番も大事なお務めとお考え下さいな。ですが、ご無理はなさらないでくださいませ。(腰を痛めた場合、手入れで直るのかは分からない。湿布は効くのだろうか、と気になったり。)先程、私に欲がないとおっしゃいましたが、それはきっと則宗様に対してだけですのよ。例えば清光さんになら、お願いしたいことはいくらでも浮かびますわ。則宗様もっととお近づきになれれば、次の機会に良い返事が出来ると思いますの。(動かしていた手を止め、ぽんぽんと軽く彼の肩を叩いたあと――その手を広げて、彼の首に抱きつこうとした。彼ならば、逃げることなど造作もないだろう。これはちょっとした賭けだった。抱きつけたとしても、失敗して床に手を付いたとしても、次の言葉は決めていた。切実な想いが口を利く。)愛しています、則宗様。
04/18 22:55*93
(細い指先が肩に触れると、温かさが伝わってくる。それは審神者がもつという霊力の影響か、互いの体温の所為か。得意と申し出るだけあって彼女からの施しは心地好い。真面目な主らしいお断りには「手厳しい」とおどけたように一笑を交えて。閉じていた瞼を薄く開いたのは、ほんの僅か彼女の声の質が変わったように感じたがゆえ。)そうか、お前さんと坊主は本当に仲が良いのだなぁ。少し妬けてしまいそうだが……次の機会を楽しみにしておくとしよう(再び少しの戯れを口にしたのち――不意に感じた気配。緩慢な瞬きを止めたその間、首に背に、ぬくもりが触れる。避けなかったのか、避けられなかったのか。それを知るのは、きっとこの刀自身でさえ――)……つかまってしまったな(静寂にささめく呟きは、独り言のように。どこか自嘲気味に。この刀の根幹たる“愛”の響きが耳たぶを打った刹那、長い睫毛が微かに震えた事を、背後の彼女は知らないだろうけれど。)どうした、主。お前さんが僕達を愛してくれていることは知っているさ(語りかける声は諭すように。重心をほんの僅か後ろへ移せば、寄り添う形になろう。斜め後ろへと伸ばした腕が、瑠璃の髪に、頭に触れる事は叶うだろうか。くしゃりと乱すような撫で方は、不器用に子をあやすような其れと似て。)僕もお前さんのことは憎からず思っているよ。だから、そんなにつらそうな声を聞くのは少し堪えるんだが……(歯切れ悪く言葉を切り、少しの思惟を経て。先程から感じていた違和の正体に、唇を開く。)なぁ、主。いや、“お前さん自身”に問おう。僕に言う『好き』というのは。『愛』というのは、どういうものか聞かせてくれないか。(本丸の主へではなく、傍に在る一人の女性へ。求める声音は、春の色彩の如くやわらかに。)
04/19 01:09*98
(礼儀を欠いた行動を咎められないばかりか、なだめるように頭を撫でられて、目頭が熱くなった。咄嗟に唇を噛み締めると、回した腕にも余計な力が加わろう。賭けには勝ったものの、まるで生きた心地がしない。大なり小なり、彼を困らせているのは何となく分かっていた。取り返しがつかないならば、せめて誠実さを示そう。意を決して、話し始めた。)――勝手に、探してしまうんです。書類に記された名前や、本丸の景色に。あなたを見つけると、嬉しくて、胸がときめきました。(主として身に着けたはずの、いつもの口調が出てこなかった。感情の発露をこらえて、まるで何か詩を読んでいるかのような話しぶりを、他人事のように滑稽に思っている自分がいる。)伝えられないことが苦しくて、思うたびに痛くて、それでもこの気持ちは止められなかった。温かくて、優しくて、愛を物語るあなたが好きです。これに当てはまれば、誰でもいい、ということはなくて……。(視界が潤み、湛えていた雫がぽたぽたと。)則宗様がいい、則宗様でないとダメなんです。(子供のようなわがままを言ってしまった。体中から力が抜けて、彼をつかまえていた腕は滑り落ちていく。そのままぺたりと座り込んで、口元を両手で覆う。)……則宗様がご存じの「愛」には、遠く及びませんわね。お恥ずかしい限りですわ。(これ以上は気遣わせまいと、無理やり笑ってみせるのだ。)
04/19 23:25*110
(耳に触れる寄る辺ない声に、微かに瞳を伏した。訥々と語られる飾らない言葉たちを、拾い上げるように時折「あぁ」と静かな相槌をうつ。其れは先刻聞いていた賞賛の数々よりもずっと、取り留めのないものだったのに。どうしてか胸の奥によく響き、より深く想いの内実を知れたように感じられた。やがて腕が解かれたのなら、頭に触れていた手を降ろそう。そうすれば、振り返って彼女と向き合う事が出来る。)……「愛」に優劣などないさ。あるのは、形の違いだけだ(ゆっくりと、語り聞かせるような声で。彼女の自嘲を否定する。儚げな笑みに指先が触れられたのなら、雫を纏った眦をやさしく撫でよう。懸命に愛を伝えてくれた一人の女性を見つめる眼差しには、慈しみと、微かな熱が孕む。)言い辛いことは言わせてしまったな、すまなかった。だがおかげで、ようやく本当の意味でお前さんの気持ちが分かった気がするよ(浮かぶ笑みも、語り掛ける声も、これまでより幾分もやわらかい。それは、想いを知って生じた変化の兆し。)先にも言ったが、僕もお前さんの事は主として人として、憎からず思っている。それ以上の感情はない、と……そう思っていたが(彼女から離れた手は、自らの口元に触れる。歪に笑む唇を隠すように。少しの沈黙を経て、)お前さんに求められるのは悪くない、と。お前さんを一人にしたくない、と。そう思ってしまった(ひと知れず芽生えた感情を持て余すように、浮かぶ笑みは何処か切なげ。僅かに背を屈めて、其の瞳を覗き込む。「ずるいな、お前さんは」咎める気など無いくせ、そうっと囁いた。)
04/20 07:46*115
(愛しい彼が振り返る様が、酷く緩やかに映る。思いの丈をありったけ吐き出すなんて、身勝手も甚だしい。それでも、後悔は微塵もなかった。どうしたって心は彼を向くし、相対することに喜びを覚えている。)形の、違い……。(説かれた言葉の意味を、咀嚼するように唱えた。近づく指先に目を閉じかけたが、触れるやさしさに慰められて、やおら瞼を上げる。濡れて散瞳した視界で、今までと少し違う彼を見つけていく。)則宗様。(愛しさのあまり、ただただ名を呼んだ。両手を床に降ろし、それを支えに体を前へ傾ける。もっと近くで、彼のかんばぜを眺めたいとこちらからも顔を寄せた。ずるいと言われ、くすぐったそうに笑いながらごめんなさいと謝ろう。)則宗様、どうかお傍にいてください。私の愛の形は、歪かもしれません。この先、もっと変わってしまうかもしれませんわ。でも、きっと増えるばかりです。大好きです。(つかさず想いをぶつけては、顔をほころばせた。部屋の壁掛け時計が、低い音で何度目かの定刻を告げる。そちらを一瞥すれば、栓を開けてからそれなりに時間が経っていたようで。)あら、もうこんな時間。そろそろ寝ないと、お体に差し支えますわね。(ならばお見送りをと、姿勢を正した折――きゅるると、お腹が鳴った。自分だけに聞こえたのか、はたまた彼の耳に届いてしまったか。確かめるのは恐ろしくて、それでも恥ずかしさから顔が熱くなる。)沢山お話ししたからでしょうか、お腹が空いてしまいましたわ。これから夜食をいただきに行こうと思いますが、則宗様はいかがなさいますか?(もう休むのであれば、厨へ向かいすがら彼の部屋まで付いて行き、就寝前の挨拶をさせてもらおう。もしも、夜食を共にしてくれるのであれば、彼との時間を今しばらく。)
04/21 00:05*126
(微かな予感は、こころの輪郭に触れ確信へと変わる。彼女が己へと向ける想いこそ――ひとの云う“恋”というものなのだろうと。さすれば、これまでの言動にもすべて納得がいく。理解してしまえば、無粋な己の振舞いに厭きれそうなものだが。今はただ、惜しみなく言葉を注いでくれる彼女へしっかりと向き合うべきだ。一文字の刀としてではなく、ただの則宗として。)――あぁ。お前さんが望む限り、傍にいよう。同情や義務感などではない。僕がそうしたいから、そうするのだ(誓いにも似た言葉は、やさしさと揺るぎない意志を宿して紡がれる。今この時、胸に生まれゆく感情のすべてを理解したわけではない。それでも、彼女の望みに応える事こそが本懐であると、迷い無く言えよう。近くにある薄い瞼に、そうっと唇を寄せたのは無意識のこと。自制し、触れる前に姿勢を戻したところで、時計の音が響き――)少しだけのつもりが随分長居してしまったな。そろそろ……、(お暇するとしよう、と続く言葉が途切れたのは、ささやかな主張の音が耳に届いたから。笑い出しこそしないものの、恥じ入る様子に思わず笑みが深まるのは致し方ない。)こんな時間からか?……夜食は遠慮するが、お前さんが寝るまで付き合おう(夜間の飲食は若さの特権ゆえ。しかし、折角ならば今宵を締めるその時まで共に在りたいではないか。酔いどれの彼女が危ういのもひとつの理由だが。先を歩く彼女の背を見つめながら、付かず離れずの距離でついてゆこう。扇子をあてた口端をやわく吊り上げて)まったく……僕もまだまだ青い(嘲るように独り言ちる。月の見えない、星が綺麗な宵の事だった。)
04/21 22:16*139