(花の粧、風光る。日輪の輝きが暖かに降り注ぎ本丸を照らすこの日の始まりは、「疲れは残っていないか? 必要なものはあるか?」などと、起床してきた主を真っ先に慮るところから。物資の買い出しに出掛けるという刀剣たちに一度付き合ったりはしながらも、基本的には主に望まれた通りに恙無く動いていた午前中。やがて皆々が昼餉を済ませ一段落する頃合いに、彼女を探して声を掛けよう。叶うならともに過ごすため。)――……主。(鍵を開け、その尊い想いを打ち明けてくれた人。きらきら、きらきら。陽射しの中で見る姿は、昨日までより不思議と眩く映る。)良かったら、少し庭を歩かないか。あれらが萎れるにはまだ早いだろうが……、(主の部屋に飾られている花々を示唆しつつ、ほんの少しの思案顔。つまりは、これからともに新しく花を生けようという訳でもないのだけれど、)俺の探しものに、しばらく付き合ってくれると嬉しい。(“一緒に探して、選んでみる”ことなら今でもできる。飾る花も、未知の心も。多忙明けの体に響かぬようにと、適当なところでお開きとなった昨晩――編んだ夜話を振り返っては、どうだろうか、と窺うように小首を傾げて。彼女が頷いてくれるのであれば縁側の履物をきっちり揃え、庭へと降り立つ際に手を貸す心積もり。)
04/22 13:31*7
ううん、大丈夫よ。むしろ、すっきり目覚めちゃったくらいでね。(昨夜の一幕、ふわふわとした酔い心地は──酒量を過ごしたというより、多忙が明けた体調にもよっていたのだろう。とはいえ、身体を悪くしたということはない。彼の気遣いで葡萄酒は結局グラス二杯にとどめられたし、翌日に障らぬようにと適当なところで切り上げられたのちは、たいへん幸福な気持ちで床にすべり込んだ。して、翌朝。日々の任務や、細々とした買い出しに出る刀剣たちを見送っては、本日のところは本丸の見回りに費やす時間も多かっただろう。厩を覗いては馬当番の手伝いをしてみたり、畑を覗いては作物の実り具合を確認してみたり。かの薙刀には、以前より戦闘時の視野を広げたいと、いまだ育成途中の男士からの要望を受けていたこともあって、彼らとの手合わせをお願いしたひとときもあったかもしれない。やがて、皆が昼餉を済ませ、午後の仕事はじめまでひと息つく頃合いに。ぽかぽかと陽光の差す縁側にて、日向ぼっこに興じていたところ。)ともえちゃん。(呼ばれて半身振り返れば、きらめく佇まいが見て取れる。自然と浮かぶ笑みのまま、まばゆげに両目を細めて立ち上がった。)ふふ~~。もっちろん!(少し離れたところには、三条派の短刀と薙刀と、粟田口派の短刀が幾振りか。いずれもほほ笑ましげな顔でこちらを眺めていて、なかには「いってらっしゃい」とばかりに手を振ってくれる短刀も居る。)お誘い、ありがとう。とっても嬉しい。(縁側の履き物をきちっと揃えてくれるのも性格だろう。またひとつ笑みをこぼして、おもむろに居住まいを正すかのよう衣服の裾を整えた。差し出される掌に、似合いの淑女で居たいから。さすればちょっぴり気取って、彼の手を借り庭先へと降り立ちたい。)
04/22 18:47*11
(遠巻きに注がれる穏やかな眼差しを察すれば、主をお借りする、の意で軽く会釈を。粟田口派の短刀の中、柔らかな桃色髪の――ともに主へと花を贈った一振りが無邪気に手を振る姿には、片手を掲げていらえた。この主あっての、とても温かな本丸だ。淑やかなおみ足が確と地を踏むのを見届けてから、預かった手をふわりと離し緩慢に歩み出そう。昨晩と同じ仄かな名残惜しさを感じながらも、「ありがとう」や「嬉しい」をまっすぐに伝えてくれる笑みにつられて目許がほころぶ。)……空気が心地好いな、……奇しくも“のんびり”巡りたい気にさせられる。主が好きだと言っていた花も見つかればいいが。(一度深く息を吸い込み、麗らかな日和を堪能するように。目につく季節の彩りは花木に、花壇に、鉢植えのものもちらほらと。植物好き、或いは世話好きな刀剣たちの手により大切に保たれている庭をゆるりと見渡しながら、何とはなしに視線を主の方へと戻した刹那。僅かに時間の流れが止まるかのような錯覚を経て、自ずと感嘆のため息が落ちる。)――……綺麗だ。(言葉少なでは伝わるかも定かでないものの、魅入るような眼差しはただ揺らぎなく、柔らかな光の中で数多の花に囲まれるその人へ。それからぽつりと、)……、俺は。主の側に仕える刀剣として、相応しく、恥じぬように在ろうと心がけてきた。そのはずだ。(己に言い聞かせるかの口吻。当然身形にも気を配っていることに違いないが、どちらかと言うと心持ちや振る舞いの話。)だが、……そうではなくなってしまった、のかもしれん。(などと。悩ましげに紡いだ吐露は、彼女にとってみれば藪から棒だったろうか。主の前で不甲斐ないとは思いながらも、そっと睫毛を伏せる様は惑っているようにも映るかもしれない。)
04/23 11:21*19
(季節はまさしく春爛漫の花盛り。新緑も鮮やかに、本丸の庭は草花や花木たちの生気に満ちあふれ、風光る、何とも麗らかな昼下がりである。)うん、とっても。こういう日には、外に出ないのが勿体ないくらい。……う~~ん、いい香り……!(この陽気に誘われるのは、人も刀も関係ない。「のんびり」には少しおかしげにほほ笑み返して、同じく深く息を吸いながら、季節の彩りを探していちどあたりをぐるりと見回した。連れ立っての歩みはゆったりと、特別な会話はなくとも、いま互いの間に確かに息づく穏やかさこそが、幸福の象徴のよう。楽しげなまなざしはいまだ前方を向いたまま、ふと耳朶を打つ、しみじみとした感嘆のため息には、)ほんとう、──……綺麗ねぇ。(うっとりと。同意をするように頷き、傍らの彼を振り仰いだ。あなたとこの景色を見ることができて、本当に嬉しい。そんなことを雄弁に語る葡萄色。しかしながら、こちらを見つめる相手の両の瞳へと些か遅れて気がつくと、ああ、これは錯覚だろうか、それとも自惚れだろうか! ひたむきなまなざしに、ほのかな甘さすら感じられる気がしてしまうものだから──おのずとこの頬も淡く染まりゆく。)……、へっ?(して、不意の悩ましげな切り出しに、完全に虚を衝かれたかたちで素っ頓狂な声を上げた。おろおろしている。)どっ、どうしたの?(これまでの振る舞い。その姿勢。大丈夫よ。知ってるわ。どうにか安心させたくて言葉を継ごうとするものの、うわすべりを恐れて、ただ両手両腕が忙しげに上下するのみにとどまろう。)わたしは、いつだって、……いまだって、ともえちゃんを相応しくない、とか、恥ずかしい、とか、感じたことはないけど、(上手く回らぬ舌がもどかしい。惑う口吻はきっと、昨夜の一件の所為。これまで実感の薄かった後悔が、にわかに立ち込めるような。)どうして、そう思ったの?(それでも、この手に悩みを分けてほしがった。)
04/24 11:55*32
(主の歩幅に合わせるよう、緩やかに、穏やかに進めていた歩みを止めた。――ああ、やはり。言葉なくとも喜びを物語ってくれる瑞々しい葡萄色も、滑らかな頬を仄かに染め上げてゆく春の色も。不意の吐露の元となった情動を、より確かなものとさせるよう。)驚かせているな、……すまない。(眉を下げ、移ろう彼女の様相を見遣る。戸惑いの滲む両手をそっと捕まえて、大丈夫だとまた包み込めたのならどんなにか。然れど今の己がみだりに主へと触れてしまうのは良くないような、そんな後ろめたさが拭えずにいた。伸べかけて僅かに浮いた指先をそろりと戻す代わり、優しく向けられた問いへ「……今、」口唇を割る。)……他の誰にも、見せてしまうのは惜しい。花に囲まれた主の姿を見て……そのように。(思ったのだ、とは言わずもがな。これまで感じたことのない心境に眸子の奥を揺らしながら、顎のあたりに己が指先を添えて少しの思案。昨晩を振り返るように続けよう。)……またいつでも、主の想いを伝えたい時に聞かせてくれ、と言ったことも。主に名を呼ばれることや、その笑みを見るのが好きだと言ったことも、(主の想いに寄り添うように、ただただ、純粋な本心を告げたのだとばかり思っていた。無論、その気持ちが全くないという訳ではないけれど、)伝えてほしい、呼んでほしい、笑ってほしい……そう、何より俺自身が思っているからに他ならぬのではと。(裏を返して、そんなふうに気づきを得た。であるならば。)……俺は、欲深になってしまったのではなかろうか。働きを求められるべき立場の俺が、主に何かを求めるようでは……。(いけない、良くない、と。己を律さんとする余韻を残すように、言葉後が濁ってしまう。こんな自分を知らない。)
04/24 15:04*34
(まるで戸惑うように、あるいは躊躇うように。そろりと持ち上げられた指先が、こちらへ届く前に引き戻されるさまを見とめてしまえば、どうにも無性に寂しくてたまらない。切なさを堪えるような顔をして、それでも、)! それ、って……、(他の誰にも、見せてしまうのは惜しい。花に囲まれた“わたし”の姿を。いかにも現金なことに彼の心境を耳にしてにわかに浮かびかけた喜色は、しかしながら──揺れるその眸子にかち合うことで、瞬く間に霧散する。ああ、もう。自分ばかりが手前勝手に嬉しがって、どうするのだ。みずからの胸のうちを探るように、幾許か思案に暮れる相手。その邪魔をしてしまわないようにと大人しくを心掛けながら、静かに耳をかたむけて、)ともえちゃん。(まずは呼ぼう。たったひと振りきりで物思いの底なし沼に沈めてしまわぬため。)……あのね。まず、結論から言わせてもらうと、そういう「欲深」は、わたしは、うれしい。心配しないで。大丈夫よ。もちろん主としては、よくないこともあると思う。そういうのはいけません、って注意をしたほうがいいのかもしれない。(本丸の風紀を正すために。)でもねぇ、うふふ。ほら、わたしは“わるい子”だから。(憶えていてくれたらいい。葡萄酒を酌み交わした昨夜のやり取り。あなたは「付き合う」と言ってくれたのよ、なんて伝えるようにほほ笑んだ。まるで子どもの言葉遊び。)うちの本丸の、皆を率いて時間遡行軍と戦う審神者のわたしと、あなたに恋をするただの人間のわたしを……両方、どっちも、否定したくないの。(告げる間に、この指先を伸べて彼の両手をかなうなら掴まえてしまいたかった。)一緒くたに考えると、たぶん、ややこしくなるのかなぁ。働きを求めるともえちゃんも、わたしに……そのぅ、欲深になってくれる、ともえちゃん──“巴”も、どっちも、居てくれたら嬉しくて。欲張りね?(張り合うように、おどけた笑顔で。)
04/26 06:20*53
(真摯に凪いだ呼び掛けに、僅かばかりはたとする。存在証明。ここに居る、という証。主に呼ばれて価値を持つ我が名。しかしたとい意味や価値などなくとも、ただその声で呼ばれるから嬉しいのだと、この瞬間すとんと腑に落ちた。)……良かった。(まずは安堵。いつの間にか強張っていたらしい心身が次第にほどけてゆく。)これは……この欲は、おかしなことではないのだな。ともすれば、困らせてしまうかもしれんと考えたが……。(――そうであった。我らは“わるい”のだったと、どこかいとけなくも映る微笑みに応えるような吐息がふと零れる。忘れようはずもない。)俺も、主にはあるがままで居てほしい。(一切の迷いなき首肯。審神者としての彼女。恋、を抱く彼女。否定されてしまうのはきっと、ひどく悲しいことだとも。銘は無くとも曇りなき刀剣としての己と、人の心を得た存在としての己も、同じと捉えていいのだろうか。ふと両手に伝った温度と惹かれてやまぬ笑みこそが、真っ先に答えを教えてくれた気がした。)……主も欲張りになってくれるのなら、嬉しいと思ってくれるのなら。自分の気持ちを、この先も大切にしたいと思う。……だから、俺ももう一つ欲張ってもいいだろうか。(ほとんど形だけの問いかけは、信頼という甘えにも近しい。“巴”をも求めてくれる彼女であれば受け止めてくれると薄ら知って、言葉を重ねる。「俺が……、」まだ“それ”の全てを理解できている訳ではないんだろう。然りとて確かにわかったことが、その始まりが、揺らぎなくこの胸に根差すから。)――……俺が恋をするのは、貴女がいい。(薄氷めいた唇は、彼女の眼前において氷解する。春の温もりを知る白雪の如く。とくん、とくん。まるで輪郭を持ったかの鼓動が、新たな時を刻むように脈打っていた。)
04/26 19:47*60
ぜんぜん、ちっともおかしなことじゃない。……ふふ~~。むしろ、いっそのこと困っちゃうくらいもらってみたいものだけど、なぁんてね。(茶目っ気を忍ばせて片目を瞑ろう。どこか笑みさえ含むような応えの吐息にも、ほっとする。いけないお誘いというよりは、やはり“わるい”勧めだった。思い出し笑いを挟んだのち。)──ありがとう。(人ならざる身にまとう神気にも似た、曇りのない澄んだ肯定。大事に大事に受け取って、この胸のうちに仕舞っておきたい。いま目に映るほんのたったの一面が、その物、その人のすべてではないだろう。幾つもの側面がある。多彩な表情がある。ひとつきりの器に共存するもの。それは、数多の“巴形”薙刀の集合体である、彼のありかたにも少なからず似ていた。──ああ、なれば間違いであろうはずがない。知っている。わたしは確かに、胸を張って誇ることができる。添える両手に、柔く握るよう力を込めて。)もちろん。(「もう一つ」と言わず、幾つでも。問いへの応えというよりは、言葉の続きを促すかたちに近い。他ならぬこの相手から向けられる望みが、嬉しかった。刀の心が人の身に宿り、それから。あたりには束の間、ひと振りとひとりしか居なくなったような感覚。あなただけを焦がれるように見つめている。)──……うん。(ざあっと風が吹き抜けてゆく。ちょっぴり滲んだまなざしが、泣き笑いのように蕩けて瞬いた。)ともえちゃんが──あなたが、恋をするなら、恋を“知る”なら、わたしがいい。(そういう我儘、あるいは希求。押し戴くよう、掴まえた彼の両手に額をくっつけるようにしてから顔を上げて。)ともえちゃん。巴。好きよ。すき。だいすき。……いま、とってもあなたを抱きしめたい気分なの。(「失礼しても?」 応えも聞かず、すぐにでも飛び込みたがる気持ちを抑えながら、両腕を広げる代わりに首をかしげた。)
04/27 14:00*67
(まるで迷い子にでもなってしまったような心を、変わらぬ笑み声に掬い上げられた心地。お望みとあらば、いつか彼女を良い意味で困らせてみたい。抱く純粋な目論見の顛末は、まさに神のみぞ、と言ったところ。やがて手先に伝った柔い力を合図とするように、もう一つと連ねた欲。己を映じる葡萄色が潤みそうにひかめくのを、ただ大切に見つめ返しながら――導かれるまま両の手が、彼女の額に触れた。束の間の祈りにも似た仕草。その希求を聞き届け叶えるのは、付喪神ではなく“巴”で在りたい。)好きだ。(一度目は己が想いを確かめるように。)……俺も、好きだ。何より大事だ。(二度目は、心のうちを告ぐように。)この先も、今以上の好きを知りたいと思う。……俺には、貴女しかいない。(抱き続けてきた誠忠なる義も、信愛も、生まれたての恋しさも。この身で持てる今の全てを大切に包めて、たったひとりへ。健気に首を傾げるその様子に、)……奇遇だな。(と、穏やかに目を伏した微笑の真意は伝わるか否か。いらえの代わりに縮めた、一歩分の距離。触れ合う手をそうっとほどいたなら、自ら彼女を我がかいなの中に迎えたい。右手は豊かな御髪が揺れる後頭部、左手は華奢な背へと添えて。)苦しかったら言ってくれ、……今なら、主の言っていた胸の高鳴りもわかる気がする。(幾許か速い己の鼓動を聞きながら、その掛け替えのない命を記憶に、心に、体に刻み込もうと抱きしめよう。――それから、どれほど浸っていたか。一瞬にも久遠にも感じられる時間の最中、ふと、思い出して唇を開く。そのためには身を離さねばならぬ名残惜しさが、隠しきれず口吻に滲むけれど。)ああ……渡したいものがあったのだ。急ぐことでもないが……折角だからな。手を、出してもらえるか。(これもまた、想いを伝える手立ての一つであろうと。)
04/28 01:44*74
(あふれてこぼれ落ちたそばからこの胸に湧いて、いつだって口づく想いがある。あなたが好き。好きで好きでたまらない。もとより好意を伝えるに躊躇いを覚える性質ではなかったが、不意に耳朶を打つその“想い”には、息を呑んではっとした。だって、つい昨夜のことだ。──こちらの「好き」を、正しく理解できていないと思っている。そんな懸念を述べていた相手のこと。ひと振りとひとりの探しもの。焦らずゆっくりで構わないとは伝えていたし、当然その気持ちに偽りはないが、)──い、ま、(空耳ではない。わかっているのだ。なのに、緩やかに瞠られた瞳は二度目の「好きだ」を聞いて、みるみるうちに“ちょっぴり”以上に滲んで、喜びの涙を湛えている。視界の先の姿がぼやけてしまうから、幾度か懸命に瞬きつつ。)ぁ、……なんだか、胸がいっぱいで……。うふふ。……あのね、とっても嬉しい。巴。これからたくさん、たくさん「好き」を知ってね。それでね、そうしたら……わたしにも教えて? あなたの“恋”を。(──さても、物に宿る心を励起するのが審神者なる存在であるなら、わが身のいだく思慕こそが、他ならぬこの刀剣男士、巴形薙刀のうちに斯くなる心を芽生えさす呼び水となったのだろう。彼は言った。「俺には、貴女しかいない」。ああ、まったくそのとおりだ。集合体ゆえに固有の銘も、逸話もないと言うのなら、互いに交わすこの想いこそが、また、“あなた”を形づくる物語のひとつになる。)ううん、苦しくなんて、(応える前に、かいなのうちへと招かれて、)ほんとだ。……ちょっとだけ早いかも。ふふ~~。嬉しい。ドキドキしてる。おんなじね。(その胸元に頬を寄せ、鼓動に耳を澄ませながら。腕をめいっぱい伸ばして、こちらからも抱擁を贈ろう。穏やかな午後。思い出したような囁きに、)わ、なぁに?(たちまち目を輝かせると、現金なことに両の掌をお椀のかたちに揃えて差し出した。)
04/28 17:16*80
(瞬きの回数が増えた瞳。以前であればどこか痛むかと案じていたやもしれないが、その尊い揺らぎを目にしても、不思議と心配や戸惑いはなかった。喜びが共鳴するような感慨。胸がいっぱいだと零す彼女に、同じものが伝わっているとばかり穏やかに頷く。)……この先も、ともに思い出を作りたい。(そうするうちに、きっと「好き」の色や形も増えてゆく。)芽生えたもの、変わったもの、変わらぬもの……長い時間をかけて、こうして隣で伝えていくと約束しよう。(この世に溢れるどんな話とも違う、恋物語を紡ぐように。背へと回された細い両腕を一度確と抱き留め、それからゆるりと体を離そう。“おんなじ”の言葉に、満ち足りた面持ちを湛えて。)……ああ、揃いのものを見つけられた。落ち着かぬようで、落ち着くようでもあり……初めての感覚だ。(そうして懐から取り出したのは、小さな包装袋。そのまま渡し、開封してもらおうと考えていたものの――ひとつ思い至れば中身を取り出し、そこにそうっと唇を寄せた。想いを込めるように、まじないのように。そして丁寧に、差し出された彼女の両手が作る器の中へと。)今朝の買い出しの途中、目に留まってな。似合いそうだ、と主の……貴女の顔が思い浮かんで、買わずにいられなかった。(こちらが手を退けると同時にお目見えするであろう品は、半透明の薄青と薄紫が濃淡を描く花ふたつ――その花弁の一枚一枚が繊細に造形された、耳飾りである。)日頃から揺れているそれも美しいが、青い花を眺めたい気分と言っていただろう。……どうだろうか。(それ、と彼女の耳飾りを示すように、己の耳許を指差しつつ。ネモフィラ、忘れな草、すみれ。この庭を探せばどれかしら本物とも巡り会うだろうが――我が胸に枯れぬ想いがあるように、枯れぬ花があってもいい。)
04/28 22:38*84
……もちろん。この先も、一緒に。隣で。(──われらは、けして恋をするために巡り逢ったのではない。審神者として目覚めさせた刀剣男士。戦がある。いつ何時決着がつくとも知れぬ時間遡行軍との争い。先の見えない道半ば。ああ、それでも合間には、こうして、ひと振りとひとりの、恋物語を紡いでゆきたい。)うふふ。落ち着かないようで、落ち着く……わかる。わかるなぁ。心臓に悪い“ドキドキ”にたどり着くまで、もう少しね。(互いの身のうちに同じ想いが満ちてゆくのだと、その面持ちや口ぶりが教えてくれた。して、すっかり涙の気配も晴れた両の瞳で、相手の懐から取り出される小さな包装袋を見つめている。それがこの掌に渡されるのだろうと準備万端で待ち受けてはいたものの、)~~ッ!! もうっ、まぁた、そゆこと、するぅ~~。(何ごとか思いついたような仕草を、素直に目で追っては瞠ってそのまま赤面した。他意はないどころか、純粋な好意やおまじないの意図であったりもするのだろう。ゆえにこそだ。耳たぶまで朱に染めて、)一生の宝物にします……。(ちっとも大袈裟でない本気の物言いを口づかせたのち、ころん、と両掌のお椀のなかへともたらされた品は。)わ、あっ……、(確かに今朝方、他の刀剣たちと買い出しに赴く彼の背中を見送った。その途中で。午後の陽光を受け、柔らかな半透明の薄青と薄紫の濃淡がいっそう鮮やかに視線を奪って、惹きつけてやまない。捧げ持つよう、目線の高さにまで手を上げながら。)……きれい……。(耳飾りを集めることは、趣味のひとつだ。思いがけない心遣いに。)とっても、とっても嬉しい。ありがとう。いま、すぐにこれとつけ替え……、はっ!(そこでこちらも思い至ったこと。ひとまず片手に贈られた花をまとめ、もう片手で素早くいまつけている耳飾りを外してしまうと、)ふふ~~。ともえちゃんが、つけて?(甘えたなおねだりも、昨夜から変わらない。)
04/29 13:35*94
(一緒に。隣で。澄みきったいらえを、大切に胸に抱こう。こうした束の間の幸いを、恙無い日々を守るためにこそ。己は喚ばれ、ここに在る。)他の誰かと抱擁を交わしても、こうはなるまい。一先ずは及第点……と言ったところなのは惜しいが、今少し見守っていてくれ。(他の誰かと口にはしつつ、想像すら如何ともしがたいのが本音だけれど――そうして、真心とともに手渡した耳飾り。愛らしく飾らぬ反応の数々を、まなうらへと焼き付けるように目を細めて眺めていた。染み入るような吐息が落ちる。)ああ、……気に入ってもらえたのなら何よりだ。(一生の宝物。一切の誇張がないとわかるその言葉こそ、己にとっては宝にも等しい。得難い甘えへは、さもそのつもりでいたとばかりの快諾を。)あいわかった。任されよう。(今一度、ふたつの花を受け取ったのち。身を屈めては赤みの差した、それこそ花弁のような左右の耳朶へ、壊れ物を扱うかの手つきで触れてゆく。他の薙刀とは違い入念に切り揃えている爪の先は、万に一つも主を傷つけることはない。)……終わったぞ。思った通り……いや。思った以上に、良く似合っている。……自分らしい色を身に着けてもらえるというのは、こうも嬉しいものなのだな。(半歩ほど引くように、花に乱れはないかと確かめながら。「主も確認するか?」携帯用の鏡を取り出し、望まれたなら差し出したりもしただろう。そよそよと風に揺れる涼色。自惚れでなければ“青い花を眺めたい気分”の理由が漸くわかった気がして、満たされたような微笑が浮かぶ。それから。)……主、手を。探しものの続きをしよう。(つまるところ、本物の方の花巡りの再開。此度は何かを渡すためでなく、繋ぐためにと彼女の手を求めたい。差し伸べた己の片手にあたたかな温度が重ねられることを、心の底から信じている。)
04/29 17:38*99
(もとより否やが返るとすら思っていない甘えただ。かつて、同形の薙刀の多くが典礼用として扱われていたことの名残りか──まさしく側仕えの鑑たる洗練された所作に、ちょっぴりのおすまし顔をして支度を待つ。彼が触れる両の耳たぶから、まだまだ赤みは引きそうにない。)……うふふ。ありがとう。……わ、もちろん。見せて見せて!(耳朶へと掛かるかすかな重みに、つけてもらえたことは判じた。心からの礼を述べて、願ってもない申し出には一も二もなく頷き、またねだろう。差し出された手鏡を受け取り、矯めつ眇めつ。好きな相手からの贈り物とは、当然どんな品でも嬉しいものだけれど、己にはない青の彩は、小ぶりの花でもひときわ目を惹くに違いない。)うん。そうなの。あなたの色と、それから──ちょびっとだけ、わたしの色ね。(ほのかに混ざる薄紫のうちに、勝手ながら自分を見つけた気持ちでたいそう機嫌よくほほ笑んだ。幾度か髪を耳に掛け直し、満足ゆく角度を確かめると、手鏡をお返ししては笑い合おう。さすれば、)うん! ……と、その前に。ともえちゃん。……巴。あのね、少しだけ、耳を……、(貸してください。ぼかした語尾のその意図は、潜めた声音で伝わるといい。さも内緒話を試みるかのよう、重ねた片手を支えに、つま先立ちで背伸びをして。)だいすき。(大きさとしては囁き程度の声量なれど、もはや、幾度めかも数え切れないほどの愛の告白。しかし、当人の目論見としてはここからが本番だ。)ふふ~~。……目、瞑って?(本当は、瞑っても瞑らなくても、どちらでも。耳打ちのためわずかに横へ回っていた体勢から、その正面まで移動して──かなうなら、恋しいあなたの唇に、愛を込めて口づけを。)お礼はまた、あらためてさせてね。(成功してもしなくても、踵を地につけた後は、時間の許す限り庭を歩いて花巡り。手を繋いで、ゆっくり、焦らなくていい。だって、あなたがここに居る。)
04/30 06:16*113
そうか、……道理で。やはり主は、探しものが上手いな。(はたと一瞬瞠った瞳が、みるみるとほころぶように撓う。“わたしの色”と、己の色が混ざりあう花。彼女に添えられるには一見真新しくも映った色彩が、自然としっくりくる訳である。)我らの色ならば、似合って当然だ。かと言って、主を映えさせる役目をその耳飾りに譲るつもりはないが……。(それもまた当然とばかり、至極滑らかな口気にて。ふと声を窄ませた彼女の言わんとすることを察し、密談かと屈んだ直後――耳許だけならず、心までをもくすぐっていくような四音の響き。何度でも伝えてほしいと願った言葉に、何度でも応えられる己でいたい。)……うん。俺も好きだ。(三度目は、幸いに満ちて。次いで彼女の声を聞くや否や、微塵の疑念も抱かぬ瞼が落ちる。開けていいと言われるまで何秒、何分、幾らだって待つつもりでいた双眸はしかし、口許にぬくい感触を受けてゆくりなく瞬く。眼前に、恋しい人の顔ばせ。きっちり数秒かけてその花唇が触れたのだと理解して、それでも確かめるよう己が唇に指先を伸ばした。)驚いた、……主よ。これをどうしてくれる?(言葉こそ困っているが、声音はうんと柔らかに。重ねた手を引き寄せて胸許へ運ぶことが叶えば、先程よりも高らかな脈動が感じられるだろうか。それから徐に、彼女の白い額へそうっと唇を寄せてみたい。此度は真似事ではなく、自らの意思で。そうして、)礼をするのはこちらの方だ。(きゅっと握り直すよう、繋がる手に軽く力を込める。縁の下を支え続ける、小さくとも偉大な手。愛を知る手よ。)――俺の主。……貴女を想える心を、この手が俺に授けてくれた。ありがとう。(そう束ねた一心を、花笑むようなその人へ贈ろう。庭を巡る最中に空いた花壇を見つけては、何か種を蒔いてみないか、とそんなふうにも誘って。我が身のうちへ織り成す花――初恋と名付けたそれを、貴女とふたり育んでゆく。)
04/30 19:03*119