(ほとぼり冷めやらぬまま、浅い眠りから目を覚ました。寝ずに朝を迎えても良かったが、それでは主を心配させるやもしれぬ。薄ら白む空に、二度寝をする気にもなれず。動きやすい内番着を纏い、厨へ顔を出した。朝餉の支度に取り掛かろうとしていたものたちへ控えめに声をかける。)なぜか目が覚めてしまってね。何か、手伝えることはないだろうか。(それじゃあ、と任された配膳役を快く引き受けた。後から何気なくやってきた日光と南泉が、慌てて手伝いに入るのも見慣れた光景だろう。準備を進めていれば、やがて主の姿も見えようか。普段であれば、何をしていても手を止めて挨拶に行くのだが。昨夜の熱が未だ尾を引いており、合わせる顔がない。)……どうしたものかな。(悩まし気に独り言つ。先達の刀や若鳥たちに囲まれている主の姿を、いつもは誇らしく眺めていたのだけれど。じり、と焼け付くような。苛立ちや焦りに似た"何か"が、ふつふつと湧いてくる。主の周りから刀たちが捌けたのを見計らい、おもむろに主の前で跪坐した。)おはよう。昨夜は、遅くまで付き合わせてすまなかった。小鳥よ、あの後は眠れたかな。(気遣わしげな視線を投げかけては、微笑みかける。)私は、どうにか寝られた。だから安心してほしい。……この後、少し時間をいただけないだろうか。君に、聞いてほしいことがあるんだが。(周囲を伺いつつ声を潜めたのは、僅かな後ろめたさがあって。)
04/22 12:31*6
うあぁぁあ~~……、(およそ発したことのない呻き。「夢見でも悪かったんかな?」と、部屋の外を通りすがっていた夢告げの鳥はのちに語るが。)う、埋まってしまいたいぃ……。(夢を見るどころか寝ては覚めてを繰り返し、ばっちりと昨晩の記憶を残したまま、布団の上でのたうち回って迎えた朝である。墓まで持っていくと決めていたのは一体どこのどいつだと、あらゆる含羞に泣きたいような怒りたいような。不安定な情緒を抱えながらも努めて表に出さぬよう、ひとまず平素通りに朝餉を済ませることは叶ったか。食後の談笑の輪が疎らになった頃、傍らに座すかの太刀の気配にはっと向き直って。)……お、おはようございます……!(緊張半分、安堵半分の面持ち。なにぶん普段はすぐに挨拶に来てくれる彼なので、やはり悪いことをしてしまったのではと気がかりだったのだ。変わらないほほえみがうれしい。)わたしも、どうにかこうにか眠りましたが……こちらこそ、昨晩はご無礼を。お恥ずかしいところをお見せしてしまい申し訳なく……。(正座する膝の上で両手を揃え、伏し目がちにそっと頭を下げてから。)お話、ですね。もちろんお聞きいたします、……あっ、場所を変えましょうか……? ご希望があれば、どこへなりとも。(元より大した声量ではないものの、自ずとこちらも声を潜める。周囲をうかがう彼の様子に、広間より適切な場所もあろうかと。差し支えなければこのままでも構わないけれど、要望があらば立ち上がり、しずしずとそちらへ赴こう。)
04/22 17:33*9
私のほうこそ、情けないところを見せてしまった。申し訳ない。(昨夜の記憶は未だ鮮明に残っており、仄かな熱を連れてくる。頼りにしているサングラスは胸元にひっかけているため、血色がよい顔色は何にも遮られない。)では、私の部屋の……縁側はどうだろうか。今日は天気がいいから、風に当たりたい気分でね。温かい茶を用意してこよう。(すっと立ち上がり、厨へ入っていった。さほど時間をかけずに、湯飲み二つと急須を載せた盆を携えて戻ってくる。)では、行こうか。(主が座って待っていたならば、片手を差し出して、立ち上がる助けとなりたく。はたまた、主が佇んでいたならば、その顔を覗き込むように声をかけただろう。縁側まで、並び歩くことを許されるだろうか。先導するにしても、歩幅は小さく、寄り添うようにゆっくりとしていた。)小鳥よ、どうか気持ちを楽にして聞いてほしい。(縁側に座布団を二枚並べ、一つを主に勧める。沓脱石に足を下ろすようにして座り、茶を注いだ湯飲みを主に手渡そう。)呼び立てたのは他でもない、君にまつわることなんだが……。(戸惑いを露わにしつつ、ためらいがちに話を続ける。)小鳥が、若鳥たちと話している当たり前の光景に、なぜか穏やかでいられなかった。このあたりが、どうにも騒がしくてね。これも、分けてもらった「すき」のうちなのだろうか?(このあたり、と己の胸に手を添えた。名の知らぬ感情を確かめるべく、静かに問う。)
04/23 00:51*15
ほんとうに、気持ちのいいお天気……。お茶のご用意までありがとうございます。あっ、お座布団も。(彼の手を借り立ち上がって、並んで向かった縁側にて。朝の空気と至れり尽くせりを享受しつつ、またも正座のかたちに落ち着く。気持ちを楽に、との切り口に早速どきりとした脆弱な心臓は、頂戴したお茶のひと口で落ち着けてしまおう。その太刀にしてはめずらしい惑いを感じながらも、黙して耳を傾け――投げかけられた問いに、瞬くひとみが揺れた。だって、そんなの、まるで。でも。)ううん……刀剣として起こりうるお気持ちの一種なのか、そうでないのか、少しむずかしいのですが……。(それらしい端的な表現は、いくつか浮かびもする。なれど彼の感情を決めるのは彼自身であるべきだろうと、断定を避けるようゆっくり口を開こうか。)ええと、わたしも……山鳥毛さまに近侍をお願いして、一緒に万屋街までお買いものに行ったときですとか。……他の本丸のお綺麗な審神者さんや、店員さんと話しているあなたを見て、……その、似たような心地になったことが……ありまして……。(たとえばそれは、単なる世間話だとか。彼も覚えているかわからない程度の、他愛ない一幕であっただろうけれど。「なんというか、」言葉を探して次ぐ。)……理不尽とわかっても、こっちを見てほしいって願ってしまう。身勝手とわかっても、……他のひとにあなたの心が奪われてしまったらどうしよう、って。そんなふうに、不安で焦がれてしまったんです。……すき、だから。(説明のためと内心言い聞かせつつも、昨晩までひた隠しにしてきた慕情の裏側が暴かれてゆくようで居た堪れない。視線はふよふよ手許まで落ち、こほん、とちいさな咳払いひとつ挟んでは。)ご、ご判断の参考になりますでしょうか……。他にもなにかあれば、お答えいたしますが……。(だなんて、弱々しく一旦の区切り。)
04/23 12:51*21
(言い淀む主の様子に、申し訳なさが募る。だが、他の誰かにおいそれと尋ねられない、尋ねてはいけないという直感だけはあった。刀剣男士として主に教えを乞うというよりか、一夜にして親密の度を深めた彼女に相談してみたい、と思ったのも事実だ。聞かされる体験話に思い当たる節がないわけではないが、正直なところ主以外の人と話すのはその場限りの些末なものでしかない。だがしかし、その些末にこそ主は心を乱されたのだろう。確かに、今の己と似ている。諦観と理解を得たことにより、肩の力が抜けて心が凪いだ。可愛らしい咳払いに、笑みが浮かぶ。)よく分かった。つまり「三千世界の鴉を殺し、主と添寝がしてみたい」ということか。(どこかで聞き覚えていた、鳥にまつわる詩を面白おかしく口にする。主も知っているかもしれないが、念のため?み砕いて言い直そう。)この世の全ての鴉を排し、君とふたりだけの時間をいつまでも――そんな危うい一面もある、ということかな。すき、というものは。(少々過激な表現になるが、あながち間違いでもないはず。端的に言えば独占欲だ。指先を主の顎下へと伸ばし、そのまま優しく引き上げることが叶ったならば、落ちた視線をこちらへ掬い上げられるだろうか。あるいは、形のいい輪郭をなぞるだけは許されるか。穏やかな表情に、熱を帯びた赤い双眸を主に向ける。)小鳥よ、私の心は君のものだ。もし、その身を焦がす炎があるならば、私ごと焼いてほしい。……私を、君の番いにしてはくれないか。返事は、今すぐでなくとも構わないさ。いつまでも待とう、迷惑でなければの話だが。
04/23 20:54*26
(得心がいったようないらえに、拙くも意思疎通は叶ったかと胸を撫で下ろす。馴染みある都々逸への帰着。他者を排すくらいなら泣き寝入りするであろうたちであれ、この詩が言わんとしていることはわかる。彼の解釈にかろく頷いて。)わ、わたしの場合はその……すらっとした大人の女性のほうが、あなたの隣を歩くのに絵になるなあ……と。そんな羨望もあっての気持ち、でしたが……、(ごにょごにょ。ばつの悪さに口ごもりつつも、)……そうですね。恋って、ほとんど一方的なものだと思うから……ときに危ういのかもしれません。(理屈じゃないって、たぶんこういうこと。ひとり納得しかけたところで、そっと顎先を攫われて目を瞠る。そこに力が込められているわけでもあるまいに、まるで縫いとめられてしまったかのように動けない。顔を背けるどころか視線を逸らすことすらできぬまま――レンズ一枚の隔たりなく交わる眼差しは、それだけでも心臓に悪かったけれど。)! ……山鳥毛さま、(紡がれた言の葉に、やっとのことで名を呼んだせつな。たちまちひとみの奥が熱くなって、はらはら、はらはら。空知らぬ雨が頬を濡らす。)わ、 あっ、……~~っやだ、急にごめんなさ……、(込み上げてくるものを抑えられないことに、自分でも心底驚いてやまない。慌てて手の甲で拭うようにしながら、)い、いまっ、……ちゃんと、させてください……っ、お返事……。(涙声でも、せめてそれだけは伝えたい。その実どうしてわたしなんか、と昔のようにおのれを貶めてしまいそうにもなる。分不相応だとも過る。それでも。いつだって偽りないその太刀が、生半可な想いを告げるはずもなければ――しあわせを疑わなくていいのだとも、わたしに教えてくれたから。)
04/24 13:12*33
私が隣を望むのは――皆まで言わずとも分かってくれるな、小鳥よ。(敢えて、仄めかすに留める。主が過日に抱いた羨望を否定はしないが、第三者の目にどう映るかではなく、当人同士がどうしたいかのほうが大事であると考えた。ぴたりと合わさる目と目、琥珀にも似た蜜の色に魅入られてしまう。だが、ひとつふたつと溢れ零れていく輝きに、浮かされていた熱が一気に引いた。主の顎に添えていた指をすぐさま引っ込めたが、止まぬ雨にまごつくばかり。)私の危うさを、君に押し付けてしまったようだ。本当に申し訳ない。(悪いことをしたのだと、思った。謝ったところで口に出してしまった言葉は取り戻せやしないが、己にできるのは心を尽くすことだけだ。主の背に添えようと手を伸ばしかけたが、どうにも憚られる。かといって傍観しているのも我慢できず。己が羽織っていた上着を、主の細い肩へ掛けようと。)小鳥、無理に話しては体に差し支えるだろう。私は、ここにいる。急ぐ必要はない。(いたわるように、諭すように、僅かな恐れを隠すように。平時と変わらぬ声色で話しかけた。主からの返事をいつまでも待つ、二言はない。)私は、昨夜聞かされるまで小鳥の気持ちを汲み取れなかった。そして今、君を泣かせてしまった。……無様なものだよ。(自らを嘲笑いながら、空を見上げた。いつまでも主に目を遣っていては、落ち着くものも落ち着かぬであろうと配慮して。)
04/24 15:27*36
(喉の奥がきゅうと締まってじょうずに声が出ない。瞬きのたび静かに零れてゆく涙粒をおのれの袖口に吸わせながら、彼の話に耳を傾けていた。途中、肩背を包んだ上着のあたたかさに少し気持ちが落ち着いたなら――押し付けてしまった。申し訳ない。無様なもの。先の言葉を省み悔いているかのようなそれらを否定したくて、おおきく何度もかぶりを振る。)っちがう、違うんです……。(絞り出した一言はしかし、要領を得ないだろうとも。そのやさしさに甘えてゆっくり呼吸を整えたのち、今度こそぽつりと仕切り直そう。)……こんなわたしにも、できることがあるんだ、って。そう思わせてくれたのが、審神者のお仕事でした。(どこか遠くを見るように、ほんの昔語り。「だから、」)清く正しい主であり続けるのが、皆さまへの恩返しであり……自分を認められる方法でもあって。そこに私情を持ち込んで、揺らぐことがあってはならない。……そんなふうに、考えていたけど……。(生まれた気持ちは大切にしてほしいと、そう言ってくれた声を反芻する。七転八起。地道に、まじめに、諦めない。それだけが、おのが取り柄であるのなら。)――わたし。あなたとまじめに、恋をしたい。(いまばかりは恥じらいも捨てて、ただまっすぐにあかいひとみを見つめたい。彼が天を仰いだままであったなら、腕のあたりに触れて気を引こうともしただろう。)お慕いしています、山鳥毛さま。……これまでも、この先も変わらず。(信実な声音を、返事の代わりに。)望んでくださるなら……あなたの隣を、わたしにください。(いつの間にか、涙の気配は止んでいた。昨夜告げたことにも誓って嘘はなかったけれど、きちんと素の自分で、もう一度「すき」の想いを伝えたくて。)
04/25 18:32*46
(違うという否定の言葉すら、またも主に気を遣わせてしまっていると自責の念に駆られ、渋い顔をする。見守れない代わりに、耳をそばだてて様子を伺っていた。息遣いが落ち着いてきたのを察すれば、ひとまず胸を撫で下ろす。あらゆる雑念を振り払い、主の話に聞き入ろう。塞ぎがちだったと昨夜聞いたばかりの、主の物語だ。清廉潔白な在り様は素晴らしく、上に立つものとしては申し分ない。それが主の矜持に繋がるというのなら、一介の部下としては支持するのが正しいのだろう。だが、己は首を縦に振れそうもないなと悟った折――腕に伝わる温もりに、思わずそちらを振り返った。飛び込んでくる熱い言葉の数々に、愕然と目を剥く。)小鳥……。(こちらを見つめてくる瞳は、一点の曇りもない。雨上がりの澄み切った、よく晴れた空を思い起こさせる。観念したように、あるいは喜びに満たされるように、赤い目を細めた。)私には、小鳥を守りたい、力になりたいという思いがある。そこに、小鳥の望みを叶えたい、すきという気持ちに応えたいと……。いや、すきになってしまった。私も、君と恋をしたい。(彼女のうつくしい瞳に吸い込まれるように、熱い視線を注いでは一呼吸置く。恥ずかしさから俯きかけるが、ここで逃げては男が廃ると堪えて、やおら苦笑した。)初めてなのでな、至らぬところはお許しいただこう。(善処はする、と付け加えておき。まだ、彼女が己の腕に触れていたならば、その手を優しく拾い上げようか。離されていたとしても、こちらから拾いに行くことは叶うだろうか。彼女の指先を、己の唇へ寄せたのは遊び心からくる昨夜の意趣返しだ。そうして飾らぬ言葉を、初めての恋心に乗せて贈るのだ。)私の隣を君に捧げよう。その代わり、君の隣を私にくれるかな。……私たちは、分け合うのが丁度良いと思うのだが。
04/26 10:38*54
(こんなにも誰かを想うことを教えてくれたひと。丁子の花蕾にも似た色のひとみがまあるくなって、そして細まる様さえ大切に焼きつける。緩慢な瞬きとともに眦をほころばせては、)うれしい……。既に数えきれないほど、山鳥毛さまには力となっていただきましたが……こればかりは、叶わないものと。……ほんとうは、ずっと秘密にしておくつもりだったんです。わたしの気持ち。(添えた一言は少しおかしげに、内緒話を打ち明けるみたいに。それから、どこか逡巡した様子の彼を不思議そうに見遣って間もなく。やさしく掬われた手。指先へと熱が触れたとき、真剣になるあまりひとたび捨てて――もとい忘れていた恥じらいなど、いとも簡単に舞い戻るのだと思い知る。「ず、ずるいです……」頬をあかあかと染めての呟きはしかし、昨夜の自分がした手前、なにも言えやしないとわかっての精いっぱい。観念するようにひとつ熱っぽい息をついてから、混じりけのない言葉へほほえみとともに頷こう。)――……はい。わたしの隣も、もちろん山鳥毛さまに。今日からはんぶんこ、……させてくださいね。(お互いの右隣と、左隣。その証というわけではなくとも、少し腰を浮かせて、隣り合う距離をちょっぴり詰めてみたい。)さっきは驚いて……あんまりうれしくって、泣いてしまってごめんなさい。(誤解があったのならと思い至ればすまなそうに眉を下げつつ、照れたようにもちいさく笑った。そうして、)……だ、大それたことを言うようですが……。たくさんに目をかけながら、長として振る舞うあなたの……拠りどころや、癒しになっていけたら。……なんて。(ときには一対の翼。ときには、ゆっくりと羽を休められる止まり木のように。主として以外にも、彼に対してできることがあったらいい。そんなひとりのむすめの、心のうち。)
04/26 23:26*63
(ひそやかに告げられる心の端に、ゆっくりと瞬きを返す。)もし、そうであったなら。私は、恋を知ることがなかっただろう。おかげで、君をもっとすきになれそうだ。教えてくれてありがとう、夕虹殿。(主としてよりも彼女個人を尊重すべく、その美しい名を口にした。己が記憶が確かであれば、初めて音に変えた響きである。余韻に浸りつつ、昨夜受けた熱を上手く返せたならば、染まりゆく彼女の頬を眺めながら満足げに笑った。受けるのは恥ずかしくてたまらないが、こちらからするのはとても気分がいい。肩と肩が触れそうなほど、近い距離を享受する。)……うれしくて?(思いがけない言葉に、つい鸚鵡返しをしてしまった。彼女に無理を強いて悲しませたものと捉えていたが、真逆の意味だったとは、安心したやら情けないやらで無性に泣きたくなった。己の目元を覆うように、片手を顔へ添える。古めかしい感性で、さすがに泣きやしないが――)それでは、早速お言葉に甘えるとしよう。(彼女のほうに体を傾けていく。体格差は重々理解しているため、肩を借りるにしてもほんの少し触れる程度に。)私は、君のこととなると冷静さを欠いてしまうようだ。悲しませたのではなかったと知って、とても安心したよ。人はうれしい時にも涙する、と覚えておこう。(自戒めいた、存外に穏やかな声で呟く。視界を塞いでいた手をそろりと退ければ、外の景色に見えた"あるもの"を思い出した。)小鳥よ、あそこの木に巣箱があるのが見えるかな。あれは私が作ったんだ。君に、友を紹介しよう。(片手を宙に伸ばせば、やや不格好な巣箱から顔を出した小さな鳥が飛んできて、己の手を無視し、彼女の肩に留まろうとするだろう。)おや、珍しいな。五虎退や謙信にも、まだ近づこうとしないんだが。それはヤマガラで、人に慣れる鳥だ。小鳥の優しさが、彼にも伝わったのだろうか。……妬けてしまうな。(と言いつつも、微笑んでいた。)
04/27 19:18*70
(じん、と胸を震わす響きに睫毛が揺れた。他でもない“わたし”へ向けられた、はじめての呼びかけ。昨晩語らった大切な名が、いっとう宝物になる瞬間。)どういたしまして。……わたし、山鳥毛さまをすきになって……伝えられて、よかった。(情けないほど緩んだ頬を隠しもせずに、もっとすき、を分かち合える喜びを噛みしめる。次いで意想外といった復唱を耳に捉えた矢先――参ったような、弱ったような彼の仕草に驚いて。押し寄せたのは不安にさせてしまった反省と、それほど想ってくれている感慨が半分ずつ。半身にかけられたかすかな重みをいとおしみ、やわくその背に触れよう。)あなたのどんな姿でも……見せてもらえたらうれしい、って思います。……大丈夫。お優しい山鳥毛さまに悲しまされるだなんて、これっぽっちも想像できませんから。(自信すら滲む断言ののち、「……友?」こたび復唱はこちらの番。彼の声に誘われるよう、示された先を眼差しで追いかけて間もなく――近づく羽音。肩に感じたいのちの温もりに、ぱち、と瞬いて。「か、」まろび出る一音からの、)かわいい~~っ……。(みるみる輝く双眸は、きら星がごとく。)わあっ……すてきなご紹介、ありがとうございます。この子、男の子なんですね。わたしともお友だちになってくれるかなあ……。(“彼”と呼ばれた一羽にそっと指先を差し出しながらも、注がれるほほえみにはたと動きを止める。「妬けてしまう」を真に受けて、睦む口実にしてしまいたい。人目につかぬことを確かめてから、)わたし、鴉もすきですし……そ、添い寝……は……心臓がもちそうにないですが……。あの、…………お嫌でなければ。(くだんの詩をなぞった暁に、ぽん、とおのれの膝を叩く。彼の枕になろうだなんて、却って不遜かとも思ったけれど。言葉を借りるのなら――“番い”として。捧ぐ特別の座でもって、その御心を満たせたら。)
04/28 03:29*76
……温かいな、君は。(背に添えられる手も、寄り添おうとしてくれる心も、どちらもが温かい。もたらされる安らぎは、想像の遥か上をいく。数百年も一般には姿を見せなかった内気な気質の己にとって、どんな姿でも、という言葉がどれほど救いになることか。)願わくば、君の信頼と共に在らんことを。(彼女の心強さには純粋に尊敬の念を抱き、頷くようにひとたび頭を擦り寄せてみた。友である鳥の登場に、目を輝かせる彼女のほうが余程可愛らしい。無邪気な表情を間近で見られる特権を、今は静かに満喫しておく。ヤマガラは彼女の肩から指先へと移ろぎ、特徴的な地鳴きをしただろう。初めてでここまで懐かれている彼女にこそ、己は少しばかり妬いてしまっていた。これでも鳥に好かれる自負はあって、それでも彼を友と呼べるようになるまで多少は時間を要したものだ。不意に挙げられた「鴉」に疑問を抱き、続きを聞けば合点がいった、が――)小鳥、小鳥……、あの詩の添寝というのは……だな……(制止するように小鳥と重ねて呼ぶも、はっきり説明すべきか、あるいは分かっていて言っているのか、口にするのが躊躇われて尻すぼみしていく。お互いたっぷり間を置いて、これまた可愛らしい動作で膝を示されならば、一気に肩の荷が下りた心地だった。ヤマガラの彼は、いつの間にやら巣箱へと戻って姿が見えない。)嫌ではないが、重いかもしれないぞ。つらければ教えてほしい。(断りを入れてから、おそるおそる彼女の膝へ。仰向けに頭を預けよう。彼女を見上げる機会は、もしかしたら初めてか、あっても数える程度だったはず。そっと手を伸ばし、彼女の横髪を小さな耳へと掻き揚げてみよう。もっと、彼女の顔がよく見えるように。)とてもいい眺めだよ。至福、というのはこういうときを指すのだろう。そちらはどうかな?(照れもそこそこに、喜びに満ち足りた表情で問うた。)
04/29 00:06*87
(擦り寄る頭と頭がひとたび触れる。喜びと少しのくすぐったさに、あえかな笑み声を零しつつ。この先もこんなふうに心を預けてもらえるよう、あたたかで在りたいと思い新たに。うつくしく愛す可し彼の友との親交にはすっかりはしゃいでしまいながらも、おのが膝を示したあと――途中、窘めるような呼びかけがあった意図に遅れて気づき、ぴたと固まる体たらく。)えっ。 あっ、ちが……、いや、心臓の危機にはちがいない……じゃなくてっ……! い、いまのは話の流れで、ただ文字通りに……っ、(要するに。本来の意は解しているものの、膝を貸すことばかりに気がいって深く考えていなかったわけである。はしたない。募る後悔のさなか、そも、ささやかに焼かれた餅の対象すらおのれだったのでは? と追い討ちの可能性にも至ってしまえば――項垂れて撃沈。彼にも飛び去ってしまったちっちゃな友にも、申し訳ないやら恥ずかしいやら。よもや過ぎた羞恥によって、再び涙目になろうとは。)も、もう~~っ……ほんとうにだめですねわたし……。のぼせて舞い上がって、ぜんぜん慎ましくいられてない……。で、でも……膝枕の撤回はしません……。(弱々しくもこの際ちょっぴり開き直って、膝上に彼を迎えたい。流れ落ちた髪の一条を掬われてあらわとなるのは、面映ゆさと幸福に満ち満ちた顔ばせ。)こんな格好つかないわたしでも……こうしてあなたが、そばで笑ってくれるなら。……しあわせです。とっても。(卑下ではなかった。とろけそうな笑みが、ありのままを許される幸いをただ物語ろう。そっと伸ばした指先で、その無防備な目許の刺青を撫ぜてささめく。)……いとしい山鳥毛さま。よろしければ、なのですが……のちほど皆さまに、お伝えしに参りませんか。(わたしたちのこと。主としてひとつの“けじめ”のつもりもあるけれど、彼に否やがあるようならば、無論秘めたる恋もいい。)
04/29 05:13*91
(慌てふためく彼女の言葉ひとつひとつに、小さな頷きを返していく。文字通りの添寝であり、他意がないことは十二分に伝わっていると無言で訴えた。心臓の危機をも分け合ったように、居た堪れなさを感じていたが、彼女を見習って己も一声かけさせてもらおうか。)私も、君と同じ気持ちだ。どんな姿でも見せてもらって構わない。それに……今の君の姿も、私は好きだな。(涙で潤んだ瞳も、心情をそのまま口にしているような素直さも、全て抱きしめてたいほどだった。さかさまの視界が、しあわせそうな彼女でいっぱいになる。嗚呼、鴉を殺さずとも添うことは叶うのだ。撫でやる指の感触が心地好く、彼女の眩しさに笑みを深めた。)それは名案だ、小鳥よ。若鳥たちは驚くだろうが、理解してくれるだろう。些か気恥ずかしくはある。しかし、堂々と君の隣に立つことが許されるならば、これほど喜ばしいことはない。(彼女の口元に、己の人差し指をやんわり立てたなら――聞こえるだろうか。巣箱のほうから、二羽分の囀りが。そろりと指を下ろしながら、穏やかに語り掛けた。)我が友には、生涯を共にする相手がいる。死ぬまで添い遂げるそうだ。私たちも、そうなれたらと。(なろう、と言い切れず格好がつかなくても、きっと思いは伝わると信じていた。この話をするために、友たる彼に協力してもらったのだ。睦み合うヤマガラの囀りが止む。静まり返る縁側で、改め想いを口にした。)君を、愛している。(真剣な表情で確かな熱を告げたなら、ふっと力を抜いて柔らかな雰囲気を纏う。)さて、愛と恋の境目が分からなくなってきたな。恋するふたりですることがあれば、ぜひ教えてほしいところだが。
04/29 20:55*104
自分が自分ではないようで、だいぶ恥ずかしいものの……あなたがすきと言ってくれるわたしを大事にしよう、って思えるから……山鳥毛さまの言葉の力は、すごいです。(らしからぬ姿は、この先も彼だけに見せる特別であるに違いない。ありがとうございます、と穏やかなほほえみを湛えて、のちほどの目処もついたのならほっとひと息。やはり真っ先に伝えるべきは、はじまりのひと振りや一文字の面々だろうか。)……ふふ。驚く顔が目に浮かびますが……皆さま、きっと祝ってくださいますね。なんだかんだと、今夜は宴がはじまってしまうかも。(さすれば次は、かの左腕仕込みの葡萄酒で乾杯もいい。そう思いめぐらせた折、くちびるに触れた指先にどきりとして口を結ぶ。瞠目も束の間に耳を澄ませ――のどやかに響く囀りと、夢のような想いをうつつの中で聞いていた。彼の顔を濡らしてしまわぬようにと堪えながら、泣き笑いの様相で一語ずつを大切に告ぐ。)――……はい。いのちの果てまで、変わらずそばに在りましょう。二世の縁では足りないほどに、……わたしもあなたを、愛しています。山鳥毛さま。(ほとんど一方的なものと語った恋も、双方向であるのなら――それは愛と呼べるんだろう。曖昧な境界さえもいまは慈しむように、恋も愛も捧げていたい。)いまなら自信を持って隣を歩けそうなので……次のお休みに、ふたりでおでかけできたら……うれしいなって。(ほんのりと誇らかに、“恋するふたり”でする逢瀬の誘いを。「……それから、」――片手を彼の頬に添え、ゆっくりと背中を丸めるようにして顔を近づけてゆく。吐息のかかってしまいそうな距離でひとたび静止して、)……あなたの口づけが、ほしいです。(“愛するふたり”でもあるのならと、甘いおねだりひとつ重ねてはにかんだ。晴れやかな日々の軌跡を、幸いを、昨日までとは違うふたりではじめよう――隣を分け合い、いついつまでも「すき」を紡いで。)
04/30 01:45*111
宴か。まるで祝言を挙げるようで、高揚してしまいそうだ。(賑やかな面々を思い浮かべては、期待に胸を膨らませた。筋を通すなら、はじまりのひと振りである彼の刀へ最初に声をかけるべきか。彼の許しを得られたならばそれで良し、そうでなくとも彼女を傍を離れるつもりは毛頭ない。)……君は、あまり飲みすぎないように。(彼女の体調を気遣ってのものでもあるし、昨夜のように深く酔った姿を他の刀には見せたくないという独占欲が見え隠れしていただろう。喜びの雨は未だ来たらず、代わりに愛の言葉が降り注いだ。緩む頬は、止まることを知らない。)君が望むならば、私はどこまでも共に行こう。もし、どこかで逸れてしまっても、私の本能が君の元へ導く。(帰巣するは本丸にあらず、彼女の美しい魂が在るところ。確信をもって断言した。刀剣に宿った心が彼岸を渡れるのか、などと疑問に思うこともなかった。彼女が行くなら、己も行く。但し、それが随分先の話であればよいと秘かに願うのだ。逢瀬の誘いに快く頷いた。)分かった。君の隣を歩くものとして、せいぜい粧し込むことにしよう。休みの日が待ち遠しい、な。(言葉が途切れたのは、優しい影に覆われて驚いたからだった。呼吸を肌で感じ、思わず息を呑む。甘美な囁きにいざなわれるまま、少しばかり頭をもたげて彼女の唇を迎えにいった。己の一文字に結んだ口と、彼女のやわいそれが重なったなら、瞳を閉ざしてしまおう。髪や指先に口付けたときよりも、多くのしあわせを分け合っている気がした。やがて羞恥に追いつかれるまで、ずっとそうしていただろうか。離しどころが分からなかったと弁明するだろうが、離したくなかったのが本音であった。――これより、彼女と分かち合う日々を、互いを思い遣りながら過ごしていこう。この愛よ、常しえに。)
04/30 16:16*117