
山伏国広
口を開けば修行だ筋肉だと暑苦しい単語が飛び出す山伏姿の出で立ちの刀、それこそが山伏国広である。明朗快活。見目に違わぬ豪快な性分であり、その声量は他の刀剣たちと比べてもかなり大きく幾つか部屋を挟んでもしっかり聞こえるほどだ。日々鍛錬を怠らず、近侍に任命された時すら審神者に山籠もりを強請る悪癖もありながら、けれども許可が下りなければ勝手に本丸を離れないあたりにこの刀剣の為人がよく現れていよう。肉体は然ることながら特筆すべきは窮地に陥ろうとも呵々大笑と笑い飛ばして仲間に激励を送るその精神の強靭さであり、如何なる時も笑顔を絶やさぬ刀だ。肉体派と言えども一直線に敵陣に飛び込むようなこともなければ激情に身を任せるようなこともなく、戦場においては常の暑苦しさが嘘のように思慮深く冷静な一面を見せて仲間を鼓舞するなど、単なる脳筋でないことを知れるだろう。遂に練度も上限となり本丸で留守番や近侍を言い渡されることも多くなったが、それに対して文句を零すようなことはない。他の刀剣たちが嫌厭しがちな馬当番や畑当番も率先して引き受けてみせたりと、時間を共にすればするほどにこの刀の懐の広さを窺い知れる筈だ。