(所用があって朝から万屋街で過ごしていたが、昼時となれば腹ごなしも必要となってくる。適当に選んだ蕎麦屋の中に入り、注文を済ませたならば料理の到着を待っていたが。)相席?(料理を待つ間に不意にそんな言葉を投げかけられて語尾を上げる。込み合ってきたが故の依頼になるほどとうなずき、問題ないことを示して見せた。見知らぬ誰かと一緒では即時も喉を通らないというほどに繊細な性質でもなし。深々と頭を下げて去っていった店員を眺め、席に座る相手に笑うさまは愛想の良さが洗われていた。そうして他愛ない会話を向けながら待つ間、月見そばと、注文していなかった甘味が添えて運ばれてくる。)…おや、これは?(どうやら相席への謝礼らしい。からりと笑った。ありがとうと手をひらひらさせて店員を見送ったのなら、)……キミ、甘いものは好きかい?いや、俺も嫌いではないのだけど。折角の出会いだ、これを分け合ってみるのはどうだい?(だなんて、気安い調子の提案を。)
09/12 12:56*73
(ワーカーホリック気味の出不精審神者が珍しく独りで本丸を飛び出した理由はひとつ、刀剣男士たちから逃げる為だ。追い駆けて来た刀剣たちを撒く為に足を踏み入れた場所こそが昼時で賑わう蕎麦屋。相席のみ案内可能であるという触れ込みも好都合、案内された席にて小竜景光の姿を見遣れば一瞬己が本丸の刀を思い浮かべてドキリと心臓が跳ねたものの、)……ふん、僕の本丸の小竜なわけがない。第一あいつは人を追い駆けるような性分でもないしな。……此処、座らせてもらうぞ。(己に言い聞かせるように呟いては、納得したのちに彼の前の席へどっかりと腰を下ろそう。腹は空いてはいないものの入店した以上は頼まねばならぬ故に軽めのざる蕎麦を注文し、間もなく運ばれて来る料理を我関せずといただこうとした折。齎された提案にわさびを取ろうとした箸を止めて彼を見た。)はあ? それはお前への礼の品だろ。……僕を気に掛けての提案なら気を遣う必要はないぞ、嫌いではないのなら尚更独り占めしたいもんじゃないのか。(訝しそうに眉根を寄せる。出会いの記念にと彼は言うけれど、偶然居合わせた赤の他人に心を砕く必要などなかろうと。ただ、)だが、まあ……僕も甘いものは嫌いではないし? どうしてもというのなら半分……いや、少しなら食べてやっても構わんぞ。少しだけな。(無下に出来ぬものもあるからこそ素直になれない言葉が零れた。)
09/12 16:00*74
(こちらの姿を見て何やら様子を異にした青年にささやかな疑問は抱くものの、その呟きを聞き取れば何やら追いかけられているらしい。「キミの本丸にも俺はいるのかい?」だなんて差し向けた言葉はどこか面白げだ。それに対する返答がどうであれ、構うこともなく相席前の挨拶にはどうぞと笑う。ほかほかの汁に浸されている二八そばへと箸を伸ばす前のひととき。折角の機会なのだからと会話に興じる構えの太刀が浮かべる表情はやはり朗らかだった。)キミが来なければ、俺がこのお礼を受け取ることもなかっただろう?独り占めを…したいとは、あまり思わないかなぁ。(言葉を返すようにして笑う調子はさして気負うような調子でもなかった。断られるのであればそれまでだが、初手の遠慮は断られるという判断の内には入らないという認識の刀であるのでそのまま言葉を重ねて。独り占め、の言葉にはさてと首をひねる。「キミはあるのかい?独り占めしたいもの」と人の子の考え方を知りたがるようにして首をかしげた。手元に置きたいものや大切にしたいものがあったとして、それがすなわち独り占めしたいにはつながったことがなかったために。)…ははっ、ありがとう。キミは優しい子だねえ。(そうして彼が受け入れてくれる姿勢を示したのならば、それこそ嬉しげに笑みを浮かべて、口をつける前の橋で割った芋羊羹を半分ほど彼の方へと寄せた。しれりと少しだけ、の主張をスルーするのは、この太刀のふてぶてしい部分の一つだった。なにはともあれ昼食はやはり、楽しい時間をたぐるように。)
09/12 20:21*80
ああ、居るな。といってもあいつが今頃なにをしているのか皆目見当もつかないが、……僕を追い駆けまわすような奴じゃないことは確かだな。お前たちも他所の“自分”は気になるのか?(己の本丸に居る彼の飄々とした一振りを思い浮かべては、小さく肩を竦めて溜息する。彼らの中にも別個体という認識はあるのだろうが、斯く言う男は未だに違和感が拭えずにいるものだから問い返すような言葉が口を突いて出た。他所の本丸の刀剣男士と言葉を交わすというのは珍しい事では無く、演習で、任務で、研修や会議の場で、そして万屋街で。他の審神者が連れている刀たちと話す機会は此れまでにも何度も在ったが、直ぐに別個体だと割り切ることは歳月を重ねても未だに難しい。初期刀なんかはその筆頭だ。言葉の合間に蕎麦を啜る。食欲が無くとも存外するりと喉を通っていった。)なんだ、付喪神ってのは慾が無いのか? 僕はもちろん在るぞ、独り占めしたいもの。人間なら誰にだって誰にも取られたくない・奪われたくないもんのひとつやふたつあるもんだ。それが無い奴なんてのは、よほど恵まれて育ったんだろうな。(欲深い人間と付喪神の違いは此処に在るのだろうか。首を捻る様相見遣れば訝しそうに眉をひそめ、当然だろうと太々しく言葉を紡いだ。とはいえ斯様に分けられるものがあることも事実であるから、)……そんなこと初めて言われたぞ。(意外な言葉を掛けられれば驚愕に瞳を丸くさせたものの、決まりが悪そうに視線を逸らしては蕎麦を食べきってしまおうと。芋羊羹の皿を見遣れば「おい、どう見ても少しじゃないだろ。」と文句を付けもしたが、きっとそれものらりくらりと交わされてしまうのだろう。)
09/13 22:47*97