(様々な主を渡り歩いた経歴はあるけれど、まさか路地裏で猫にまみれた経験はなかった。琴の次第はたまたま、その日は休暇だったからと万屋街まで出向いた早朝の折にまでさかのぼる。特段の用事もなくふらりと店先を冷かしては消えていく、そんな日常めいた所作でふらりと顔を出した路地裏で一匹の猫を発見した。見るからにやせ細っている小さな生き物へ、ほんの気まぐれで懐に入れていた握り飯を分けてやっただけだった。もうないよ、を両手を広げてアピールしたが一匹、また一匹と増えていくのは御礼なのか嫌がらせなのか。うぅん、だなんて声を一つ。愛らしい、甘えるような素振りに抵抗感も薄れ、衣類が汚れるのは特に気にせずに座り込んだ。)ほら、おいでよ。折角なら遊んでいきな。(ポン、と、膝を叩いてやればその上に数匹ノッて、膝の近くで丸くなるネコも現れた。今日は不思議な日だなあ、だなんて思いながらのどかな気候と膝の上の温もりに充てられて、自然と気は緩んでいく。)
09/11 00:38*54
(――幽けき猫の声。路地の片隅の飴屋に行く道であった。季節の果実を模した飴を土産にすると皆が喜ぶからと向かった先のことだ。少し細い道であったから荷物担当の連れは置いて、娘一人で店に向かう途中であった。)……?(細く聞こえた猫の声にひょいと覗いた路地裏に在ったのは思いも寄らぬ光景で思わず、)えぇ……?(声が漏れた。猫がいると思ってた。路地裏で猫が休んでいるみたいなよくあるそんな光景が在ると思ってた。ところがそこに在ったのは複数の猫達と和やかに時を過ごす刀剣男士の姿である。予想外のことに思考が追いつかなかった。)――……帰る前にちゃんと払うのですよ。(間抜けな声を思わず出してしまったから彼に気付かれただろうか。そのまま何もせずに素通りするわけにも行かずキュッと口を結んでなんとか涼しい顔を保てば、娘自身の本丸の刀剣男士に言うように小煩い一声を掛けることとなった。猫と仲良くなった分だけ猫の毛がたくさんついているのが見えたから。それらは彼の容姿と相まって、猫達の親愛の証のようにきらきらと陽の光に映えて、とても美しく見えたのは秘密。)
09/11 11:31*57
(何も与えてやらないにもかかわらず膝上を占拠する彼らにこちらも気まぐれに撫でてみたりやめてみたりを繰り返す最中、耳に届いたうら若き女性の声にそちらに視線だけを向けた。この状況に声を漏らすという態度からして敵とは思えず、あくまで自然体を保てば。)やあ。(朗らかな調子で笑みを浮かべて、軽く指先を彼女の方へと向けてひらりとして。膝の上で丸まっていた一匹が太刀の動きに反応して軽く首を持ち上げるが、すぐに睡魔に襲われたのか丸まりなおす。あくまで平和なその姿に、告げられた小言に吹き出すようにして軽やかに笑んで見せると。)ははっ。忠告ありがとう。虎にでも毛を逆立てられてはかなわないからねぇ。(などという軽口は当然のような性分で。縄張りにほかの獣の気配を持ち込まれたなら、いい気はしないだろうとは理解しているために彼女の言葉の正当性は認め。立ち上がることもなく、不意の思い付きを口にする。)キミも遊んでいくかい?(彼女の声に逃げ出すこともないようだから、猫たちにとっても問題はない相手だろう。誘う声は揶揄うようでいて、口元に浮かべるのは面白げな笑みだった。太刀はひと時の平和を謳歌する。)
09/12 00:12*68
(娘のうっかり漏れた声はきちんと届いてしまったようでかちりと視線が合う。困惑する娘に対しあちらは自然体のまま。揺蕩う陽光の中に微睡む猫たちと共に自然に在る風景、此方が異質だった。軽く向けられた挨拶には憮然とした顔で会釈を返す。至って平和な姿に向けたのは余計な一言以外何物でもなくて、正直頭の中では反省会を開きそうになった。だから嫌な顔されなかったことにほっと息をひとつ吐き出した。それに虎という言葉で脳裏に描く姿は等しかった筈。ふたつの本丸の共通点に少しだけ緊張が緩んだ。)――え、 えぇ……と、それは……、(投げられた不意の思いつきはこの光景以上に予想外だった。モゴモゴと口籠ったのは娘が猫が好きだったから。勿論遊びたい。けど人も待たせている。猫達が逃げてしまうかもしれない。ぐるぐると頭の中で思考を展開させた後に出した答えは、)少し……、見るだけ……、で。 ――ねえ、……小竜景光はみんな猫がお好きなの?(見るだけで終わったか否か。連れを待たせているからと暫しの戯れの間に、ふと尋ねたのは娘自身の本丸の小竜景光を思い描きながら。猫の飴玉が本日の土産となったのはまた別にお話。)
09/12 18:48*79