(出陣や内番を除き、本丸内における山姥切長義の主な仕事といえば事務作業が中心である。元監査官という肩書きは決して己だけのものではないけれど、これも適材適所なのだろうと納得していた。故に、万屋街に足を運ぶ機会は他の刀たちよりも少ない。主に声を掛けられ、「俺についてきてほしいのかな?」と聞き返す程には久しぶりの外出。本丸の皆に託けられた品を見て回り、数軒目の店内にて。)……さて、どうしたものかな。(とある文房具店の筆記用具が並ぶ棚の前で、片手を腰に当て緩く首を傾ける姿がひとつ。己が主は他のコーナーを見てくると言い残しその場を立ち去っている為、零す言葉もただの独り言だ。やがて辺りを少し見渡し、諦めたような溜め息を伴い傍に居た第三者へと声を掛けた。)――そこの君、ちょっといいかな。(辺りには店員の姿も無く、埒が明かないとばかりの苦肉の策だ。不審に思われぬようなるべくの微笑みを携えて、適切な距離から話し掛けようか。)書類などの記入用にボールペンを探しているんだ。君のおすすめがあれば教えてほしい。(言いながらチラ、と視線を向けた先の棚には様々なボールペンが陳列されている。いちいち試し書きをすることも格好が付かない気がして憚られている、というのはこのひと振りの内心にのみ。顎に片手をやりながら「……本丸の備品にもあるにはあるんだが、書き心地がどうにも、ね」と愚痴めいた一言は雑談的に付け加えられ、今はただ助言を待つばかり。)
09/09 13:56*5
(「主君、おやつがありません……」と酷く落ち込んだ声で話しかけられたのは半刻前、じゃあ買いに行くか!と高校生らしいフットワークの軽さでその短刀の手を握り「夕餉までには戻ってくるように!」と背中へ投げ掛けられる声に空いた手を振って意気揚々と出掛けた万屋街。多種多様な菓子類の詰まった袋を提げた短刀がにこにこと上機嫌に笑う顔につられて笑顔になりながらもふとそこでひとつ思い出す事があった、)悪い秋田、ちょっと寄り道。(はい!と元気よく返事をしてくれる短刀を引き連れてやってきた文房具店で探すのは事務仕事を担ってくれている刀達がそろそろなくなってきているとぼやいていたボールペンの替え芯で、さて本体はここにあるけれど替え芯はと見回す中掛けられた声に振り返り。)ん?えー、俺書類仕事あんまりしたことないんだよな…あっでもこれこれ!うちの長義が気に入って使ってるやつ、松井とか長谷部にも好評っぽいから悪くないんじゃねぇかな。(どうやら困った様子のかの打刀の言葉にううんと唸って目を向けた先、本丸で見掛けた覚えのあるメーカーのペンを見つけるとそれを指差し。隣で手を繋いだままの短刀と一緒になってこれだよなー、そうですね!なんて。)書き心地気になるよなぁ、俺もシャーペンすげぇ拘ったもん。あ、俺からも聞きたいんだけど替え芯の棚って見掛けてねぇかな。(本体の立ち並ぶ棚、この近辺にあるだろうことは予測できるが如何せんこの高校生は探索より答えを先に欲しがるタイプで。)
09/09 16:20*6
(咄嗟とはいえ声を掛ける相手となれば少々慎重にもなるもの。秋田藤四郎を傍らに連れ立たせる男の姿はどう見ても審神者であったし、柔和そうに見える様子からしても声が掛けやすかった、というのが事実だ。その見立て通り、己の名に加え事務作業に明るい刀剣男士たちを挙げる様は信用に値するものだろう。グローブを纏う片手で己の顎をひと撫でし、感嘆はごく自然に零れ落ちる。)へぇ、へし切長谷部に松井江か……俺の本丸でも彼等とは共に事務周りを担当している。それに、他ならぬ“俺”が使っているなら話は早いな。(指を差された方へと手を伸ばし、ボールペンを手に取る動きはスムーズに。カチ、と試しにノックしてみれば、その軽いタッチには満足気な頷きをひとつ示した。)そうだな、使う頻度が高い道具程良い目利きが物を云う。評判ではなく中身を、偽物ではなく本物を。それこそペンも、俺たち刀剣も??なんて。 ……ん?ボールペンの替え芯か……ああ、こっちじゃないかな。(些か含みのある物言いは彼が気軽に寄越した言葉とは裏腹のものだったやも。次ぐ問い掛けには一瞬片眉を上げたものの、すぐに周囲を見渡していた。棚の端、替え芯がひっそりと束ねられて陳列されている様を見ては掌を差し出すようにして示してみせるだろう。)まさか君も似たような目的だったとは、どの本丸も随時書類仕事に追われているとみえる。……是非、そちらの俺に『優』を与えてやってくれ。(笑み交じりに冗談めいた、それでいて本音でもあるような口調で、かつてを彷彿とさせる一言を。そして踵を返すと共に「助かったよ、ありがとう」と言い残し、その歩みは真っ直ぐにレジへと向かっていった。――主との合流後、本丸へと戻ったひと振りはまた事務仕事へ。その中で、新品のボールペンの書き味が評判となったことは言うまでもない。そこには何故か得意そうな顔をした本作長義の姿もあったとか。)
09/09 20:44*18
(どこの本丸も書類仕事を任される刀剣男士というのは決まりがちなものなのだろうか、ボールペンを手に取る白銀の打刀を眺めながら自身の本丸で今まさに小難しい書類と対峙しているだろう同じ顔を思い浮かべる。ボールペンを確認する動作ひとつですら様になって見えるのは持ち前のあれやこれやのお陰かとごくごくありふれた一般男子高校生審神者は感心したように彼を眺め、続く言葉に目を瞬かせた。)刀剣にも偽物があんの?あ、そっか価値あるからスペア?みたいなもんがいんのかな、そういう意味なら俺も偽物偽物。っと、お、替え芯。助かる、こんな小さいと見落とすんだよなー。分かりやすくでかいポップとか貼ってくれたらいいのにさ。(暢気な高校生は彼の言葉にやはり暢気な言葉を返しつつ、掌で示された陳列棚にずらりと並ぶ各社各商品に対応した替え芯の袋におおと嬉しそうな声を上げた。見慣れたメーカーの見慣れた商品に対応する替え芯を見つけるのは隣に立っていた短刀の方がずっと早い、「主君!ありました!」宝物を見つけたかのように明るい声と小さな手で示された袋を手に取って、)長谷部にだけ頼ってたからさあ、長義がうちに来てくれて助かったんだよな。俺も優貰ったし長義にもめちゃくちゃ優やんねーと。俺の方こそありがとな、すげー助かった!(踵を返す背中へそう声を投げ掛けて人並みに紛れて行く姿を眺める、今度は彼の打刀を連れて来てみるのも良いな等とそんなことを考えながら短刀に促されるまま別のレジへと足を向け――それからも寄り道、寄り道を繰り返しすっかり日の傾いた頃。本丸に戻るや否や「遅い!」と落ちる雷をすり抜けて駆けていくのは書類仕事を担当している打刀たちがいるであろう作業部屋、少なくなってただろと補充される替え芯に感激と申し訳なさを募らせる一振りを横目に白銀の打刀へ耳打ちをした。今度一緒に万屋行こうぜ、なんて。)
09/10 20:06*41