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(短刀に連れられて万屋街へと足を運ぶのはこれで何度目になろうか。はじまりこそ無理矢理とは言え、ぶつくさと文句を垂れながらも最後まで共を付き合う辺りにこの男の為人がよく現れていよう。)……で。燭台切はなにを買えって?(今日も今日とて主君! と腕を引かれてしまえば為す術なく、斯くして太陽の下に引き摺り出されたというわけである。不機嫌な声色を隠すこともせずに渋々と歩みを進めながら傍らに控える短刀、本丸で第二の古株である前田藤四郎へと言葉を掛ける。目的地が複数あることは半刻前ほどに交わした燭台切との会話で理解をしているのだが、購入するものに関しては全て傍らの短刀に任せていた。メモへと視線を落とす短刀の横顔を一瞥し、あとはメモの内容通りに店を巡るだけであったのだが――ひゅうっと吹き抜けていった突風がメモの書かれた紙を短刀の腕から攫っていってしまった。「しゅ、主君! このままでは飛んでいってしまいます、追い駆けましょう!」)いやだね。前田、お前ひとりで行って来いよ。第一メモが飛んでいったのはお前の責任で僕は――ま、待てっ! 袖をぐいぐい引っ張るな莫迦! 肌蹴るだろうが!(まるで他人事のような物言いで無関心を決め込もうとしたのだが、無論それがこの刀に通じる筈もなく。風に巻き上げられて飛んで行ったメモ用紙を走って追い駆け、追い駆けて、メモ用紙がひらりと舞い降りた先に居た人物へと声を掛けた。)お、おい、おまえ! そ、っ……その紙、おまえの、足下の  やつだよ……っ! それは、ぼくのだ……っ踏むんじゃないぞ……!(ぜえぜえ。ちょっとの距離でも運動不足が祟って息を切らす体たらく。必死に息を整えながら、その足下に落ちているだろう紙へと酸素不足で震える指先を突き付けた。)

09/10 18:51*38

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(午前中の大通り、毛利藤四郎は主の付き添いで買い物に来ていた。近々、親しくしている主の友人の審神者が本丸を尋ねてくるから、もてなすときのためにお茶やお菓子、それからちょっとした料理の材料を揃えるのが目的。――が、主は他にも忘れていた買い物を思い出したようで、すぐ買ってくるからこの辺りで少し時間を潰していてほしいと言い渡され、その通りに時間潰しで辺りをきょろきょろしながら歩いていた。――が。あと一歩を踏み出しかけたその時、とても切羽詰まった声が何処からか飛んできて、おやっと足を止める。)……え?ええと、僕ですか?……あ、ああ。これですね。危うく踏んでしまうところでしたが、寸前で教えていただいたので、この通り無事ですよ。よかったです。……ただ、落ちてしまったので…少し、汚れてしまいましたけど…はい、どうぞ。(自分にも身に覚えがある買い物メモにふっと瞳を細めながら、優しく拾いあげたそれを丁寧な手つきで差し出して。)それより…とても息が上がっていますが、大丈夫ですか?どこかに腰を落ち着けて、少しゆっくり休まれた方がいいと思いますよ。(尋常じゃない息の切れ方だったから、心配になって控えめな口ぶりのお節介が口をつく。)

09/10 19:45*39

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(幸か不幸か、眼前に居たのは刀剣男士でも比較的穏やかな気性の短刀だった。両膝に手をつき、息苦しさに前屈みで腰を曲げている態勢であれば多少の身長差があれども差し出された紙を受け取ることは易く、手にしたメモ用紙へと視線を落として。)……ああ。文字が読めれば、それでいい。(地面に擦れた所為か、彼の言うように微かに汚れてはいたものの文字を読む分には問題なかろう。呼吸も次第に整い始め、前屈みの姿勢からやっと背筋を伸ばす。親切にしてくれた彼に対し謝辞のひとつも紡がずに、男の口から零れるのはぶっきらぼうな音だった。)お前に言われずとも……そうする、つもりだ。これじゃあ、満足に買い物も出来ないんでな。(彼の助言にも余計なお世話と言うようにツンと不遜に双眸を逸らす。男の態度は稀に見る最悪であろうが、「主君~!」と遅れて前田藤四郎がやってくれば事態も多少は好転するだろう。)前田、こうなったのも元はと言えばお前のせいだぞ……! そこの甘味処で少し休憩する、僕は喉が渇いた。(走り回った身体はくたくただ。近くの甘味処によろよろと歩いてゆく男の瞳に彼は映っていないものの、主人よりもずっと出来た短刀が男の代わりに「あの。主君がご迷惑をお掛けしてすみません! 御親切に紙を拾ってくださり、ありがとうございました。」と彼に頭を下げるだろう。顔を上げたのちは甘味処に入ってゆく主人の背を追って、ぱたぱたと元気に駆けて行った。)

09/10 23:57*52

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(倒れてしまわないかと心配になるほどの息の上がり方から、それだけ必死でメモを追ってきたのだろうと想像を巡らせ、真っすぐな人だなと微笑ましくも思いつつ。汚れを手で払ってから渡したが、それでも元通りとはいかないそれを受け取る反応をそっと窺って。)そうですね、買う物さえ分かればお買い物は出来ますし。綺麗な字で書かれていますね。(返された答えに胸を撫で下ろして笑みを深め、ついでに他愛ない感想も添えて。しかしまだ息苦しそうな様子が完全に治ったとも思えず、)それならいいですが…近くのお店でお水、貰ってきましょうか。折角お買い物に来ているんですし…。(つんと視線を逸らす彼にくすりと笑って、ぶっきらぼうな台詞にも動じた様子はなく。自身の本丸にも素直じゃない刀剣男士は少なくないから慣れていた。すると、其処で駆け付けるのは――毛利の大好きな、小さい子。)ふぎゃー…小さい子が、一生懸命に走ってくる…可愛くて、可愛くて…はぁ…。(途端、目を奪われるのは彼の連れの小さい刀剣男士。目がハートマークに変わりそうな熱視線を送りつつ「いえ、いえいえ…小さい子のためなら、泥の中からだって拾いますよ…!こちらこそ、ありがとうございました!」と最後は緩みきった顔で彼と前田藤四郎に別れを告げる事となろう。その後も暫し尊い二人の遣り取りを思い出してにやにやしまくり、迎えに来た主に何があったのかと驚かれるのは別の話で。)

09/11 15:30*60