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(さあて困った。戦場でも内番の際でも、こうした私的な外出の際にも身に着けているマントであるが、幼子に掴まれてしまえば如何にも弱い。外向きの茶屋で一服してから帰ろうと、野点傘のもとでのんびりと茶をすすっていたらぽすり、と、マントに何かがぶつかる感覚がして、振り返れば顔にマントをぶつけていたらしい小さな子供が呆然としていた。声をかけようとした矢先にぎゅうっとマントの端を握るものだから困惑して、「どうしたんだい?」と努めて優しく声を駆けはしたのだけれど、何も答えてはくれなかった。)…ねぇ、坊や?お兄さん、それを離してくれるとすっごく嬉しいんだけどなぁ…?(と、そろそろとした調子で声をかけてはみたが何も反応がなかった。どころか、何やらマントで鼻をすすられたような。そのくらいは洗えば済む話だから構わないといえば構わないのだけれど、行動の理由も自分のマントが捕まった所以もさっぱりわからずにお手上げだ。嘆息交じりに目線だけをマントの先に流して。誰かの気配にふと顔を上げる。)…ねぇキミ、子供の相手は得意かい?(常日頃飄々とした刀にしては珍しく、逃がすまいとするかのようだった。)

09/15 21:04*118

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(細々とした私用を詰め込んだ結果、本丸を出たのは昼過ぎだったが気付けばもう夕刻だ。帰り道で今日付き合ってくれたお礼にお茶でも飲んで帰ろうと、そう傍らの骨喰藤四郎に提案したのは視線の先に茶屋と思しき野点傘を捉えたからで。頷きを以って同意を示す脇差に他の刀達には内緒よと言い添えて。先客の姿は遠くからでも把握していたが、段々と近付くにつれ一振だけではなく童をマントの先に携えている事に僅かに瞠目したが、話しかける度胸がある訳なく通り過ぎようとしたのだが―上げられた視線に捉えられ明らかにこちらに向けての言葉を受ければ、無視なんて出来るはずなかった。)……―子どもは嫌いじゃないのだけれど…どうにも好かれることは少なくて。(暫しの沈黙の後、淡々と連ねる言葉から“得意ではない”ことが一目瞭然だろう。瞳こそ細めてはいるものの如何せん感情の起伏が乏しいゆえに笑みと呼ぶには些か物足りないだろう。それでも本人的には努めて笑顔を心がけたのだが、僅かに引き攣っているのはご愛敬。)………坊や、どうかしたの?(その場にしゃがみ込み太刀のマントを掴む幼子に視線の高さを合わせて、意識して柔らかく問い掛けると「…お母さん、」と蚊の鳴くような声音で細々と返答が。そして幾つか質問を繰り返した結果導き出したのは)お母様とはぐれたみたいね…。(幼子の頭を撫でながら彼の顔を見上げれば、)この子が貴方のマントを掴む前のこと、覚えてらっしゃる?

09/16 00:40*123

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(骨喰藤四郎、審神者、そして自分。人間の子供と刀剣男士の短刀とはやはり違うものであるからして、そこそこ短刀にちょっかいをかける類とは言えども人の子の幼い姿に対して得意というわけではない。ぐずぐずと泣いている幼子であればなおのこと。救いを求めるようにして声をかけた彼女の産んだ沈黙にいささか下手を打ったか、とは緩やかな調子での笑みに隠したまま。)あぁ、分かるよ。子供というのは宝だけれど…宝だからこそ、触れ合う相手というのは選ぶのかもしれないね。(彼女の言葉に緩やかに頷いて見せては、こちらは肩をすくめて見せる。とはいえ、「とはいえ、俺よりはうまくやれそうだけれど」とは無言を貫く背後の幼子をさしてのことだった。彼女がマントの傍で幼子に話しかける姿に耳を傾けながら、子供を撫でるのを受け入れられていることからしてやはり自分より向いているように思えて仕方がない。)俺のマントが何か、この子の行く手を遮ってしまったのかもしれないね。…ひょっとしてお母さんを追いかけていたら邪魔してしまった?…お母さんが青い服でも着ているのかな?(最初の懸念には首を振られたが、こうしてマントに収着するというのはこの色が何かを表しているのかもしれない。そう考えれば肯定が帰ってきて、多少の前進はかなったようだと一つ息を吐き出した。)…キミ、少しこの子を見ていてくれないかな?(伺うようにして訪ね、了承が帰って来たならば身に着けているマントを外して子供に預け、同じ青を身にまとう女性を捜しに行こう。放浪することは得意であるからして、さほど時間はかからずに見つけられるはず。協力を得られないようであれば茶屋の主人にでも預けるつもりだった。彼女との別れ際には預かっていてくれた御礼か、幼子から話を聞き出してくれた御礼かはさておいて、彼女の手に金平糖でも握らせるつもりでもあって。)

09/16 21:25*125