(本丸に属する神様、というものはやはりやさしいものであるからして。薬研藤四郎を伴い買い出しに出掛けた折、ぎっくり腰を起こしている老婆を発見したならば迷いなく介抱に移った彼に、審神者自身は彼の指示に従って老婆の家族の連絡や物資の調達に励んだ。そうして無事に老婆を自宅へと送り届けたなら、どうやら彼女は団子屋の御隠居だったらしい。折角だから、と、外向きの野点傘の下で休ませてもらうことにして。いくらかの団子を包んでくれた店主にまた邪魔するぜ、と請け負ったのは薬研藤四郎の方だった。)……、平和ね。(風の様に過ぎ去った朝のひととき。穏やかな時間を過ごしている団子屋の人々を背に、短刀と並んで団子を楽しむ。その時間を平和、と称した審神者に短刀はさっぱりとした笑みを浮かべていた。やがて団子を食べ終えたならば、湯飲みは店主に戻そうと店内へ。そこで目にした誰かには、小さく会釈をすることで挨拶として。)
09/14 20:45*107
(走りでは負けないと豪語するとある一振が、本丸の近くを走った際に見かけたという秋の草。もうそんな時期になったのだなとしみじみしながら、それらを摘んで向かったのは馴染みの団子屋だった。)こんにちは。今年もよく茂っていたのでお裾分けに来ましたよ。(近侍と自分がそれぞれ抱えていたのは、ススキとワレモコウ。どちらも月見には欠かせないもので、月見の日が過ぎたとしても店先に飾って雰囲気を楽しんだりはできるはず。あの方にも少し持って帰ってもらおうかと店主が呟くものだから、つい首をかしげてみたり。御隠居がぎっくり腰になったところを助けられた話を聞き、なるほどと頷き返した。そうして湯飲みを持って現れた相手を、店主は手招きして呼び寄せるだろう。)この方が恩人さんですね。私からも、ありがとう。(恩人たる相手の歳が自分と近そうだと思えば途端に砕けた話し方をするものだから、横にいる店主はちょっと驚いていたかもしれない。)今、店主と話していたところなんだけど、秋の花はお好きかな? 良ければどうぞ。(ススキは散ると掃除が大変なので、ワレモコウだけ数本ばかり手渡そうか。)
09/15 15:17*109
(湯呑を返し、礼を述べ、そのまま別れることとなるだろうと思っていた。同世代だろう彼女も単なる客であるという認識であったため、呼び寄せられたのならば素直にそちらへと歩みを寄せながらもかすかな疑問は蒼い眼もとに乗せられていただろう。)恩人は私というより、私の薬研よ。気付いたのも介抱したのも薬研だもの。(腰をやった老婆に対する知見などは、伴った短刀に及ぶべくもない。他の刀を連れていればこうもうまくはいかなかっただろうと軽く首を振って。)花は……、…(ためらいがちになるくちびるを促すように、「貰ったらいいじゃねぇか、喜ぶぜ」と促す声にそうかしら、と下方に一度視線をやってから。)では、ありがたくいただくわ。…お団子も頂いたのに、此処までしていただくのは申し訳ないのだけれど。(数本の吾亦紅を手に取れば、花を活けるのに向いた刀を数振り頭の中に思い浮かべる。こうした部分はどうしても刀たちの方を頼りがちであったために。わずかな苦笑を浮かべはするものの、とはいえ好意をむげに断るというのも極まりが悪い。)あなたは、花が好きなの?(そうして訊ねる言葉はほんの雑談めいたそれ。穏やかで平和な、甘い香りと目を楽しませる花。それをもたらした月に通じる日とともに過ごすひとときは、つかの間の平和の象徴のようでもあり。)
09/15 20:03*116
(突然呼ばれた相手の懐疑的な雰囲気は至極もっともであり、謙遜する様子から人柄の良さが伺えて微笑んだ。)全ての薬研藤四郎が必ずしもそうするわけじゃない。あなたの薬研だから、じゃないのかな。(薬研も、その持ち主である相手も、どちらも恩人ではないかと。初対面とはいえあちらも審神者ならば、刀剣男士と自らの結びつきは多少なりとも理解を得られるだろうか。花を手渡しかけた姿勢を崩さずに、途切れた言葉の続きを静かに待った。)この花は、近くの山にあるのを取ってきただけさ。(この店の団子ほど価値はないと笑いながら花を差し出して、助け舟を出してくれた刀には目くばせで無音の感謝を伝えておく。)花が好きというよりは、そうだな……花を愛でるものが好きなんだろうね。(愛でる人と言わなかったのは、相手や自分の傍らにいる彼らにも花を愛でる心が存在することを知っているから。花に何か思うところがあるらしい相手には、もしかしたら悪いことをしてしまったのかもと内心反省しつつも、相手の元に集った刀剣男士達と季節を間近で感じてもらえたならば幸いだ。)
09/16 00:29*122