(晴れやかなお天道様に照らされ、万屋街は今日も今日とて多様なひとが行き交う。その一角で、いつにも増して賑わいを見せる催事場へと足を運んでいた。どうやら抽選会を行なっているらしく、買い物をすれば一定の価格帯毎に抽選券が貰える仕組みとのこと。偶然にも今日買い物をして仔細を知ったのだ。手には2枚の抽選券を持ち、列に並んで順番を待ち始める。抽選器は多角形の箱をぐるりと一回転させて玉を排出するという所謂ガラガラなるもの。残念賞はお馴染みポケットティッシュだが、当たりは1等の旅行券から、お酒や菓子折りなどの食品類、果てはよくわからないオブジェまでと実に様々。これが欲しい、という狙い目こそなくとも、運試しのような緊張感と高揚感は楽しいもので。前に並ぶ見知らぬ人に声を掛けるのも躊躇はない。)あなたはどの景品がお目当てですか?ちなみに私はスイーツ詰め合わせが良いですねえ……あの置物も中々味があります。(景品一覧を眺めながら、聞かれてもいない己の希望を口にする。と言うのも、)もしお互いの欲しい物を当てた際には交換しませんか?(人差し指をぴっと天に向けては、にこやかに持ち掛けて。返答がどうであれ、丁度良く順番が回ってきた相手の結果を見守る表情はどきどきと楽しそうに。)
09/14 11:43*101
(手元には三枚の券、並ぶのは一人。青空の下、手にした券の裏面に載る注意事項へと目を通していた。窓口が一つであるからか列がそう急いで進むことも無く、時折前方から聞こえてくる喜びの声はお目当てを引き当てたが為のものだろうか。涼しい色をした双眸が全ての文字を読み終えて暇潰しを失った頃、待ち列は如何程だろうかと振り返った先にて掛けられた声。)狙っているものなんて無いわ、何であれ持ち帰れば誰かしら喜ぶだろうし。個人的には調味料セットなんて気になるところかしら…ティッシュは論外ね。(初対面の相手でありながら、まるで既知であるかのような雰囲気がそう会話を続けさせる。思わぬ申し出にも静かな笑みで以て「いいわよ、スイーツ詰め合わせと調味料セットね。お互いの運に賭けましょう?」と二つ返事で返答を。次の方、どうぞ。促されると同時に会話を一旦終え、三枚の券を渡せばそっとハンドルへと触れる。からり、からり。回せば乾いた音と共に玉が転がり出て、その数が三つになると同時に手を止めた。異なる三色、それらが示すのはポケットティッシュ、スイーツ詰め合わせ、浅葱色の手巾の三つ。)ありがとう。(そう口にしながら景品を両手に受け取っては邪魔にならないよう少し移動しようか。詰め合わせ以外の景品を纏めている間に、彼女の運命を決める音が聞こえてくるかもしれない。)
09/14 15:58*102
(キャメルの髪がさらさらと流れ、遠くを見ていたまっすぐな瞳が己の方を向く。秋色の女性は、どこか冬の風采を感じさせた。知らぬふりをされるのも珍しくはない中、丁寧な答えを貰えたならそれはもう口も多く回るというもので。)調味料セットですか!なるほど、実用的ではありますし、色々な物が入っているお得感とこれで何を作ろうかという楽しみにもなりますね。ティッシュはある意味一番実用性はありますが、夢がありませんよねぇ……1年分くらいあれば経費削減にはなるやもしれませんがっ。(はきとした物言いで語るのは、長すぎる合いの手のようなもの。突拍子のない提案にすら賛同を得られると、いよいよ興奮気味な表情で彼女の行く先を斜め後ろから見届んとして。1つ、また1つと玉が落ちる度に其の色を見ては「ん!」「おお!」「なるほど~!」と逐一反応してしまうのはご愛嬌としていただきたい。そうして次は己の番。双眸に輝きを宿しながら、券を渡してむんと腕まくり。ハンドルに手を掛けると数秒、精神統一の如く瞳を閉じて。次いで瞼を上げたなら、ぐるん、ぐるんと2回転。落ちた2つの玉が示す景品は、異彩を放つ前衛的なオブジェと――)や、やりました!私たちの勝利です!(無事調味料セットを入手出来たと知るや否や、彼女へと向かってガッツポーズをしてみせた。よく通る声と相俟って目立っている事など気にも留めぬ様子で。2つの景品を受け取ったのなら、早速彼女の元へと。)ささ、それでは物々交換と致しましょう!……はっ、私としたことが申し遅れました。あざみと申します。どうぞよしなに。(己からすれば彼女は云わば戦友であるからして。当然のように名乗れば、聞くことも叶うだろうか。そうしたらきっと「お花仲間ですね!」なんて嬉しそうに笑っただろうけれど。互いの戦利品を交換できた後も、もう少し、とお茶の席に誘うだろうことは想像に難くない。)
09/15 23:00*119