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(どうしてこんな事になってしまったのだろう。考えていても仕方のない事だとは分かっている。けれど、考えずにはいられなかった。昨日、漸く修行に出ることを決めて笑顔で手を振って行った、仲の良い昔馴染みの短刀を自分もまた「皆で待っているから、無事に帰って来るんだよ」と笑顔で手を振り返して見送ったばかりだというのに、今自分が見ている光景は一体なんだと。そう、立ち尽くすしかなかった太刀の青年を正気に戻させたのは、鋭く自身の名前を呼ぶ、やはり昔馴染みの鶴の名を持ち白い太刀の声だった。はっと我に返った時には、敵の打刀が目の前で刀を振り上げている姿が目に移り、反射的に自身も刀を抜いて相手よりも少し早く一撃に力を込めて斬り上げる。斜めに真っ二つになった敵の体が地面に崩れ落ちるのを確認して漸くこれが現実だというのを認識すれば、心配して近くに来た白太刀に向かって発した言葉はただ一つだった。)鶴さん!主っ…主は何処だい!?(突然の本丸襲撃。理由は分からないけれど、敵の一番の狙いなど容易い。一番邪魔な存在と言える審神者の命を奪う事だろう。必死に放った言葉に白太刀からの答えは、万が一の時を考えて審神者が身を隠せるように作っていた隠れ部屋に練度の高い修行待ちの短刀何振りかと共に隠れさせているが、今本丸に残っている刀達の殆どが特はついているが修行に行くまでは練度の上がっていない者達で、極めて練度が高いのは自分達二人と、今一身に戦いを引き受けてくれている蛍丸のみであれば最悪の事態も考えなければならないとの事だった。「俺達の中できみが一番練度が高い。主の所へ行ってくれ、そして、いざという時は」それだけ言って頷く白太刀に自身もまた頷き返す事しか出来ない。最悪の事態なんて考えたくはない、それでもと剣劇の音を耳にしつつ隠れ部屋へと。辿り着けば周りにまだ敵がいない事を確認し扉を開け。)主!皆も、ちゃんと生きてるよね!?

09/17 11:01*6

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っ、(ぴりりと、身体にえも言われぬ痛みが走る。体感するのは初めてでも、それが何を意味しているかは理解出来た。己が張った結界が破られたのだ。しかし一体何故――答えなどひとつしかないというのに、頭がうまく回らない。執務室で半ば呆然としていたさなか、突如雪崩れ込んできた短刀の存在に審神者としての意識が呼び戻される。)何ごとですか!(剣呑な空気を察すれば、表情が引き締まる。事情は移動しながら、という促しを受けて連れてゆかれたのは隠し部屋。有事の際にと定められていた其処は、掃除程度でしか訪れた事のない場所であった。その上最近は少しさぼりがちであった為に、やや埃臭い。こほ、とちいさく咳をする。)……ああ。いえ、心配ご無用です。やはり日頃から手入れを怠ってはいけませんね、カビの匂いがします。(不調を気遣われるもすぐに否定を入れた。常に声の大きな娘にしては酷く珍しい小声にて。それは当然身を隠しているという状況によるものだけれど、それだけが原因というわけではなかった。静かな密室には、遠くの音すらもよく届く。それを、どこか現実味のないままに受け入れる他なく。此処に篭もる前に、主力となる遠征部隊に鳩を飛ばしたが無事届いたのだろうか。咄嗟に持ち出した端末で各方面に連絡を取ろうとしても音沙汰がない。これは明らかに異常である。)一体なにが……、(言いかけて、ふつりと声を切る。「大将、」と共に潜んでいた厚藤四郎が己を庇うように前へ出て、後藤藤四郎が入り口の方へ近づいて構える。近付いてくる気配を察したがゆえだった。二振り越しに扉を見つめて――やがて現れた姿に皆一様に詰めていた息を吐き出した。)燭台切様……。ええ、私やおふたりは健在ですが……本丸の様子は?(声は潜めたまま、真剣な面持ちで問う。冷静に話せているのは、未だ悪い夢の中にいるような心地であったからだ。)

09/18 01:37*26

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(隠し部屋は普段はそれとは分からぬようにしている為、まだ見つかってはいない筈と思ってはいても、今現実に起こっている事が予想外の出来事だらけであればやはり不安は募ってしまうもので。扉を開けた先、こちらを警戒するように短刀を構えた状態の厚と後藤、そして、己の今の主である審神者の少女の傷一つない姿を確認するまでは表示要はかなり強張っていた事だろう。未だ無事である姿を見れば、漸く表情を和らげて隻眼の蜂蜜色でしっかりと彼女の姿を捕らえる。だが、続いた言葉に表情をすぐに真剣な物へと変え、)……この状況で嘘を言っても気休めにもならないから、本当の事を告げるよ。現状、本丸は半壊状態。遡行軍達は絶えず押し寄せてきていて、こちらは主力勢は全て出陣と遠征に出ていて未だ戻ってこず。残っているのは、今戦いを中心に引き受けてくれている蛍丸君と鶴さん以外は皆まだ練度の低い子達ばかりだからね。正直、このままだと敗北する可能性は高いよ。(放った言葉はきっと硬い声音のものとなったであろう。まだ若い彼女を大丈夫だと安心させてやりたい気持ちは山々ではあるものの、現状はそう甘くはない事もまた確かな事実であれば隠す事も難しいのだから。)…最悪に近い状況だね。政府とは連絡はつかないのかい?連絡が取れれば、遠征に出ている伽羅ちゃん達とも連絡が取れるだろうし。今はまだ誰も折れたものはい…っ!?(ないから、との言葉は続ける事は許されず、大きく隻眼を見開く事に。感じたのは、一つの命が消えた音、自分でも感じられたのだから審神者である彼女にはもっと強く感じられたであろう。彼女の様子を気遣うように見ながら、見えないところで拳を強く握りしめた後は真剣な表情で彼女へと告げる。)主、君には辛い事だろうけれど覚悟は決めておいて欲しい。いざという時は全てを置いて逃げる覚悟を。(その言葉に厚や後藤もそうするべきだと頷いて彼女を見つめるだろう。)

09/18 11:18*28

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……半壊?……は、いぼく……。(聞かされた言葉はどれも不穏に満ちて、これまで縁遠いとすら思っていた単語を呆然と繰り返す。自ずと視線が下がってゆき、手元の端末を見つめた。画面に映る画は相変わらず『WARNING』の文字のみ。ぐ、と息が詰まるような感覚に眉間を寄せる。)それが……先程から連絡を試みているのですが、一向に通じないのです。外も異常事態にあるのか、それとも……、(可能性のひとつを口にしようとして、口を噤む。弱弱しいながらも繋がっていたものが、静かに離れていくのを感じた。ひゅ、と喉が鳴る。くらりと眩暈に襲われるも、幸いにも座った状態では身体が揺らぐこともなかった。額に指先を添えて俯くと、震える呼気を吐き出す。彼の言葉も、二振りの眼差しも届いていたけれど、口を割るのは幾許か時間を要した。顔を上げて、細く息を吸う。)そう……ええ、そうですね。私が生き残りさえすれば、それこそが我々の勝利でしょう。ですが……、(応と素直に頷けるほど、物分りの良い娘ではなかった。さりとて、我を通す威勢の良さも今ばかりは鳴りを潜めて。そっと胸元の衣を握り締める。またひとつ、繋がりが絶たれた。)逃げると言っても、恐らくこの本丸一帯から出られはしないでしょう。外界との繋がりは絶たれていると言っても良い。……逃げ場などないのです。(静かに語る事実は審神者ゆえにわかることだろう。いつもより低い声色は、哀しみよりも憤りを孕んでいた。空虚な瞳に意志が宿り始める。)ですがもしかすれば、遠征部隊に飛ばした鳩は到着しているやもしれません。彼らの帰陣までにどうにか凌ぎきれば、或いは……。(望みの薄い道だとしても。諦めないことを選びたくて、)私とて無駄死にするつもりはありません。しかし、後方で皆様の手入れをするくらいは致しましょう。(そう告げて、本丸の主柱たる一振りを見上げる。唇は笑みを形作っていた。)

09/18 18:37*36

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(敗北の二文字に目に見ても分かる程に衝撃を受けている姿に、やはり嘘でも望みはあると伝えればよかったかといった考えが一瞬頭を過り眉尻を下げるものの、早かれ遅かれ現実を目の当たりにする事になる事は避けられない事であるのならば、余計な気遣いとしかならないであろう事に軽く唇を噛み締める。)……そうか、やっぱり駄目なんだね。いくら待っても誰も戻っては来ないから、そうかもしれないとは思っていたけれど。(頷き告げるも、やはり命が消えた音は間違いではなく、いつもは気丈な彼女も流石にショックを受けている様子を目にして、近くまで移動するとそっとひざまずいて彼女の顔を軽く覗き込むような体勢になり「大丈夫かい?」と様子を窺う言葉もかけただろう。けれど、自身の告げた言葉に、暫くの沈黙の後彼女が出した答えを耳にすれば苦笑を浮かべてしまうのは仕方のない事であれば、)…うん。そうだよね。君は、素直に頷いてくれないとは思ってはいたけれどさ。本当に頑固なんだからなぁ…。(呆れたように笑みを浮かべてしまうのもまた、仕方のない事。そういう彼女であるからこそ、自分達も命を賭してでも護りたいと思うのだから、それもまた仕方のない事かとすぐに表情を真剣な物へと改めた。)君が逃げてくれるのであれば、道なんて僕達がいくらでも作るものだよ。どんな事をしたって此処から出られる道を作って見せる。君が生きて、残っている皆と合流する事が出来るのであれば、折れてでもその道を作り出す。……君の意志が固いように僕達の覚悟も固い事は覚えておいてね。――それでも、君が此処で頑張りたいというのであれば僕は君の意思を尊重するよ。ただ、此処は流石に危険だから、もう少し安全な離れの方へ移動して欲しいというのは駄目かな?あそこなら手入れも出来た筈だし。(彼女を護りたい、けれど意思を尊重もしたいという思いからの妥協案に果たして彼女に届くだろうか。)

09/19 13:30*46

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(いつか来るかもしれない事態を、今日我が身に降り注ぐかもしれない、と置き換えて想定することは、未だ年若い娘には難しかった。衝撃をひた隠す術も持ち合わせていない。微かに揺れる瞳に映る、気遣わしげな様相を前に眉尻を下げるも、「はい」と頷く声ははきとして。冷静、とまではいかずとも、会話を続けられる程度の精神状態ではあった。心臓の鼓動は早いのに、身体はいやに冷えている。そんな中、齎される会話は少しばかり心を溶かすようだった。)……ふふ、頑固なのはお互い様でしょう?燭台切様も中々ですよ。(呆れの表情にも反省する様子もなく、むしろあなたもと相好を崩す。彼らは刀剣男士であって、物言わぬ道具ではない。なればこそ其の意志や思いを、無視することも否定することも出来よう筈もなかった。しかし、)なにか勘違いをされていますね。私は、逃げられるなら逃げます。けれど、その逃げ場が存在しないのですよ。この本丸だけが、切り取られたように孤立しています。(語る声は落ち着いたもので、誤解のないよう説明の言葉を重ねた。先に伝えたように、ただ命を散らすつもりなどない。退路があるならば彼の言うことも一考しただろうけれど、今はその道がないのだから答えなど限られていた。困ったように笑いながら、ひとつ息を入れたのち。)おや、隠れ部屋の方が安全なのでは……?あまり遠くにいては皆様の手入れが間に合うかどうか不安ですが……背に腹は変えられませんね。厚様、後藤様。私は燭台切様と共に離れに参りますので、手入れが必要な方はそちらへ来るよう皆様にお伝えください。(二振りに目配せをしては、頷いて。立ち上がり、埃のついた着衣を払ってから彼を見上げる。)ではその離れまで、私の護衛を。頼りにしております、燭台切様。(足が微かに震えるけれど、歩くことは出来る。彼が立ち回りやすいよう、指示を受けて移動を開始しようか。)

09/19 19:24*52

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(気遣うように声をかけた後の返事を聞けば、まだ彼女は大丈夫だと確認して微かに安堵の息をつく。大丈夫だとは言っても、まだ会話する意思を持ち合わせている。といった大丈夫であり、彼女の気丈さがそれを保っているだけである事は解っているけれど、自分が不安そうにしていては彼女もまた不安は静まらないだろうとの判断の元、返された言葉には小さく笑みを浮かべて一つ頷いた。)…そうかな?ならきっと君に似てきたのかもね。刀は持ち主に似るというから、今の唯一の主である君に似ても可笑しくはないよね?(と告げた言葉は、彼女を安心させる為か、どこか揶揄いめいた響きを放っただろう。だが、続いた彼女の言葉には隻眼を数度大きく瞬かせてから再びゆっくりと口を開けば、)えっと。君の言いたい事は解っているつもりだよ。今の状況が異常だという事も、退路がないのも事実なんだろうね。けれど言わせてもらえるなら退路がないから何?空間が切り取られているというなら斬って穴を空けてでも元の場所と繋げればいい。道を作るというのはそう言う事だよ。(困ったように笑う彼女の姿を真剣に見つけて放った言葉には、揶揄めいたものは一切なく、冗談ではなく告げている事は伝わるだろうか。)……そうしてでも君を助けないと、僕は彼らに申し訳が立たないからね。(直後に軽く俯き静かに告げた言葉は、彼女の事を自分に託し今にも消えて行こうとしている彼らの遺志を引き継ぐものであるからには、無茶苦茶だと言われようと譲る気はなかった。今も命の音は消えて行っているのだから。)…本丸が無事な状態なら安全なんだけれどね。今はいつ攻め込まれても可笑しくはないから。勿論護衛は引き受けるよ。歩けるかい?(立ち上がり短刀達に指示を出す彼女の姿を見やれば、そっと手を差し、彼女を連れて向かうは裏庭を抜けた先にある離れへと。) 知ってたかい?この離れには、南海先生が作った仕掛けがあるのを。

09/20 00:25*60

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それはあるかもしれませんね。常々、刀剣男士の皆様は頑固な方が多いと思っておりましたから。(彼の意見に異を唱えるでもなく、あっさりと同意を渡す口振りは日常的な響き。刀剣自体の特性と思っていたことが、己の影響なのやもと聞かされたなら存外に悪い気はしないもので。納得をして――次いで彼が大真面目に語る思考もまた、己の影響なのだろうか。まるで年端も行かぬ子供のような、夢見がちなことを語る彼を前に思わず瞳を丸くした。双眸をしぱしぱさせながら、発する言葉に詰まったのは先程とはまるで違う理由から。)……こ、これは驚きました。燭台切様は意外とロマンチストさんなのですねぇ。(ここに来て新たな発見だと、場違いにもころころと笑ってしまった。からかうつもりはなくとも、どこまでも真剣な彼には失礼だったかもしれない。けれど、少し血色がよくなった。)それほどに、私を生かそうとしてくださっている、ということなのですね。ありがとうございます。あなたの、いいえ、あなた方のお気持ちは、たしかに頂戴しました。(自然と声も凪いで、穏やかな笑顔が浮かぶ。不安や恐怖、そうした抱いて然るべき感情すらも上手く感じ取れていない今、ほのかに胸に広がるあたたかさだけが己の現実だった。歩行の確認へは、ひとつ頷いて。)走ることもできるかと。全速力とは参りませんが……。(彼の手を見て、暫し迷った末に補助を乞うことはしなかった。「一人で問題ありませんとも」と明るく告げたのは、手を塞いでしまわないために。短刀の二振りを見送ったのち、さあいざと。いつもは賑やかな通路も庭も、いやな静けさに覆われている。あちこちを眺めながら、離れを前に足を止めた。)仕掛け、ですか?いえまったく……何も聞かされておりませんが。(はてと首を傾げながら、仔細を求めるよう彼を仰ぐ。)

09/20 22:05*69

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ふふ、元々頑固な人も多いけれどね。――でもそう考えると少し嬉しいかな。大事な主と共通する性格が持てているという事だからね。どんな性格であろうと。(頑固なのは時に悪い事だはないし、と微かに笑みを浮かべた。今の状況では場違いな反応かも知れない事は分かっていたが、諦めたわけではない以上この位の余裕は持っていたいと納得して頷く彼女を見ていれば、続いた自らの言葉に対する反応には、思わず自分の言動を思い返し自分でも恥ずかしくなってきたようで隻眼を微かに逸らしただろうか。)っ…!そうだよ。僕は結構ロマンチストなの!いつだって格好良く決めたいと思っているしね。ーーうん、そうして思ってくれるなら、君も諦めずにいてくれるなら、僕も皆も迷わず戦える。(恐らくは今も一番恐怖の中にいるのは間違いなく彼女であろうが、その彼女が少しでも自身の言葉で気持ちを持ち直してくれたのであれば、これほど嬉しい事はないと思うのも事実で、少しだけ和らいだ彼女の表情を見ると小さく安堵の息を零した。歩けると手を取らなかった事に対しては特に気にした様子も見せずに、一つ頷き返すと敵の気配を探り警戒しながら先導するように離れにまで移動するか。)だよね。有事の際にって事で知っているのは、数振りだけだったから。えっと寝、実はこの離れの居間には地下に隠し部屋があって、その扉を開くにはある仕方が必要なんだけど……っ!?主!すぐに中に入って!(仔細を求められると穏やかな声音で説明していたが、ふと何かが此処まで走って来るは気配を感じれば、すぐさま表情を引き締めて刀を構え彼女を庇う様に前に立てば指示を飛ばした。それと間を置かずしてこちらにやって来たのは重傷状態になった厚を支えながら自らも中傷の体でいる後藤で。「すまない大将…もう敵はこの近くまで…」と悔しそうに報告するか。)…二人の手入れをお願い出るかい?僕はここで見張っているから。

09/22 11:17*87

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ええ、私もそう思います。我々が出会えたからこその変化なのだとしたら、とっても素敵なことですから!(にこりと笑って、同意を示す語調はしっかりと。窮地であれ――否、窮地だからこそ。今は言葉を惜しむまいと、笑ってくれる彼を見てそう思えた。常日頃より格好良く、と唱える彼の意外とも取れる一面。それを発見できたのは、勿怪の幸いともいえようか。気恥ずかしげな仕草とて見逃さず、より笑みが深まった。)もちろんです、私も諦めたりいたしません。頑固者は諦めが悪いと、相場が決まっているのですよ。(ふふん、と誇らしげにさえ語ってみせるさまは、この期に及んで戯れのように。危機感を欠いたわけではない。ただ、曇天よりも蒼穹を好むような娘であっただけのことだ。未だ襲撃を受けた様子のない離れは、彼が言うよう隠れ場所として最適なのだろう。からくりに耳を傾けるなか、「主に内緒でそんな……」と仲間外れにされたような不服さを嘆くも――一瞬で塗り換わる空気に、思わず身を固くした。指示通り離れへと入ろうと踵を返す視界に捉えたのは、)……っ厚様!後藤様!(一度足を止め、二振りの元へと駆け寄った。苦しげな報告が痛ましく、つり眉をぐっと寄せながら「よくぞお伝えしてくださいました」とせめてもの労いを。もう既に、敵はすぐそこまで来ているという。どうすべきか、惑うよりも先に彼から次なる指示が与えられて顔を上げた。)わかりました。……ですが燭台切様も、折を見てお入りください。隠し部屋の行き方を、教えていただきませんと。(取ってつけた理由は、本当は二の次で。一番は彼を案ずる気持ちに他ならない。それでも己には審神者としての役目がある。二振りと共に離れへと入っていけば、薄暗い建物の隅に腰を下ろすよう促そう。予備の手入れ道具を持ち出して、微かに震える手が重症の厚藤四郎に触れる。手伝い札の使用もできぬ今、時間との勝負になるだろう。)

09/23 06:09*95

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そうだね。君にはこれからももっと僕達に色々と影響を与えて貰いたいと思っているから。――そう、これからも色々と。だから、そう言って、諦めないと言ってくれるのであれば僕達も最後まで諦めずに頑張れるよ。(共有する事に喜びに同意してくれる彼女の姿をどこか嬉しげに見守った後は、諦めないとも断言してくれる誇らしげな姿にまた笑みを浮かべてしっかりと頷き返そう。諦めるにはまだ早い。まだ何も終わってはいないのだから。だが、隠し部屋に関しての説明に不服そうな姿には、微かに眉尻を下げてみせ、「絶対の秘密だったんだよ」なんて口にするのも束の間、一気に急変した状況に先程までの穏やかな時間はすぐに消え去る事だろう。咄嗟に下した自らの提案を了承してくれた彼女の言葉に自分もまたしっかりと頷き返す。)オーケー。僕もすぐにいくよ。(告げて中に入る姿を最後まで見届けた後は、戦闘態勢で警戒したまま周囲へと視線を配る筈で。審神者と共に中に入った後藤は手当てを受けながら「…突然今までに見た事もないでかい遡行軍が姿を現し弱っていた者達は全員…。俺達は鶴丸さん達に助けられて…」と彼女に伝えただろう。外で見張っていた自身にまでその声は聞こえなかったけれど、聞く必要もなかった。彼女達が部屋の中へと入って間もなくして、こちらへと吹き飛んで来た鶴丸と蛍丸の姿と共に大型の遡行軍が姿を現したのだから。)鶴さん!蛍丸君!(二人は何とか中傷で堪えてはいても疲労は隠しきれない様子で。自身の姿を見た白太刀は立ち上がり「光坊。例の作戦を」とだけ告げて敵に向かって再び斬りかかって行く。その姿を唇を噛み締めて見やりながらも部屋の中へと飛び込み、)主!今すぐ地下へ!(告げて三つの仕掛けを手早く解除してしまおう。床が重い音を音を立てて大きく開き下へと続く階段が見られる筈。)いいかい?扉はすぐに閉めてね。内側からしか開けられない仕組みになっているから。

09/23 18:25*103

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(明日を迎えられるかもわからないのに、未来を語るのは滑稽だろうか。それでも諦めないふたりであれば、当たり前の会話だった。絶対の秘密、なんて面白い物をひた隠していた数振りへも文句を言ってやらねば気が済まないのもある。たとえ困難な道だとしても、またやり直せることが出来るのなら悲観すまい。万全の用意のない此処で出来る処置は限られているが、破壊が免れるならばと手を休めずに。無情な現実を知らしめる報告には「そう、でしたか」と些か重い声が落ちるけれど。下を向くことも、自責の念に囚われる事も許されない。そんなものは、生き残った後にするべきだ。集中をしながら手入れを進めていく中、突然の轟音に動きを止めた。外でなにかが起こっている事は明白で、)燭台切様、一体なにが……っ!?(彼が飛び込んでくる際、戸の隙間から見えた風景に息が詰まった。手入れを施していた指先を一度離し、促されるままに移動をする事となる。現状を正しく把握出来ぬまま、唯一わかるのは既に本丸中が危機に瀕しているという事だけだった。階段を見下ろす瞳が、僅かに揺れる。)ですが、それでは……!(見捨てる、という単語が浮かんでは口を噤む。今この判断を拒んだとて、他に何が出来よう。縋るような言葉が零れ落ちる前に、唇を引き結ぶ。痕が残るほどに握り締めた拳を、ゆるりほどいて。伸ばした手が端整な容貌へと向かって、叶うならその頬を撫でるだろう。)ご武運を。たとえこの瞳では見えなくとも、私はあなたの活躍を見届けます。(黄金の瞳を見上げる眼差しは、まっすぐと迷いなく。名残惜しげに指先を下ろし、ひとつ、呼吸をしたのなら。)まいりましょう、後藤様、厚様。(手負いの二振りと共に、階段へと歩み出す。姿が見えなくなる頃、一度だけ振り返って。「きっと、迎えに来てくださいね」そう呟いては、開かれた扉の中へと踏み入れて――ゆっくりと、静かに、重い扉を閉めた。)

09/23 22:10*106

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(飛び込んだ刹那に聞こえてきた声に、答えている余裕は流石になかったが、かろうじて「見た事もない大きな遡行軍がすぐそこまで攻め込んできてる…!」と後藤が説明したような事を報告は出来ただろう。とにかく今は彼女と、短刀二人を地下室へと誘導するのが最優先であれば、再び困惑しているであろう彼女の揺れる瞳を蜂蜜色はしっかりと捕えてからやんわりと穏やかに微笑んだ。)大丈夫だよ。主。諦めないって約束しただろう。戦いが終わったら声をかけるから、僕がもう大丈夫だよって、必ず声をかけるから。(だから、大丈夫だと微笑んだまま、頬を撫でる手は望んで受け入れる事だろう。暖かい彼女の手の感覚を隻眼を閉じて受け止めるも、離れていく手は幾ら名残惜しくても引き留める事はしなかった。再び開いた隻眼は彼女の姿をとらえたまま、告げられる言葉にはゆっくりと微笑んだまま頷こう。)うん、しっかり見届けていて。君が、この中で見ていてくれていると感じられるだけで僕は頑張れるから。…厚君、後藤君。主の事頼んだよ。(この窮地の中では似つかわしくない程に穏やかで落ち着いた表情でそう告げる。短刀達も複雑そうな顔はすれど、止める事無く彼女と共に地下へと身を潜ませる道を選ぶのだろう。彼女以外の生き残りとして少しでも彼女の心の傷を和らげる為にも、命を賭して懸命に戦った仲間達の最後を戻ってきた仲間達に伝える為にも。扉が閉まる前に呟かれた彼女の言葉にも微笑んだまま一つ頷いた。)必ず、迎えに行くよ。――だから、全てが終わったらもっと色々な事を共有して欲しいな。…出来れば、僕とだけ。(扉が止まる直前告げた言葉は彼女の耳に届いたかどうか。閉ざされた扉は内側からは開く事は出来ず、本当は外からの仕掛けのみで開けられる事に彼女が気付くのはいつの事か。彼女は怒るだろうか嘘つきな自分を。そう思いつつ刀をしっかりと握り直せば無言で部屋の外へと足を向けて。)

09/24 01:36*112

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(信じられない、というのとはまた違う。彼の忠心や実力を知っているからこそ、どうしたって考えてしまうひとつの結末。けれどもう、進む道が決まっているのなら。)――はい。お待ちしております。(ただ力強く頷いて、そうなる未来を思い描くのみ。頬に触れたぬくもりを、穏やかな眼差しを、己が為に紡がれる言葉を。余さず胸の深くまでしまいこんで、そうすることでまた歩み出せる。扉を閉める間際、石造りの空間に反響するテノールが告げた言葉は、しっかりと耳に届いていた。)……ずるいひと。(閉じた扉に背を預けながら、ぽつ、と呟いたのは弱りきった笑みと共に。けれどそれは僅かな時間。直ぐに凭れた身体を起こし、二本の足でしっかりと立った。陽の届かぬほの暗い一室は、快適とは言えずとも滞在を想定された造りのようで、隠れ部屋よりも気が詰まらずに済む。)さあ、手入れの続きをいたしましょう。(努めて平静を装う声色で呼び掛けたなら、途中であった手入れの再開をしようか。戦うことが本分の彼らにとって、この場で待つことは不本意であろうけれど。)私を一人にしないでいてくれて、ありがとうございます。(微笑んでそう伝えながら、出来る限りの処置を施していこう。指先の震えは治まって、隔離された室内は静かなものだった。それが如何にも不気味で、絶えず何か話し続けながら、どれ程時間が経っただろう。たった数分の経過が、数時間のように感じられる。やがて後藤藤四郎が用心を重ねながら、外の様子を窺おうとするも――びくともしない扉を前に、ようやく優しい嘘に気付いただろう。怒りはない。ただ、只々、彼らの無事を願って祈るだけだった。霊気を研ぎ澄ませ、彼らの奮闘や戦功を可能な限りに“見届け”よう。そうして、扉の外から声が掛かることを、彼らの帰りを迎えられるその時だけを、信じて待ち侘びる。)

09/24 17:34*117

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(彼女が"見届け"てくれている。それだけで戦える理由は十分だった。恐れる事は何もない、戦う事に対しても、その末折れる事になるとしても。――護りたい者が護れるのであれば、それは自信の存在理由としてなんと誇らしい事だろうか。そう考え、真っすぐに前だけを見据えて未だ戦っている二振りの助太刀をするため敵の前へと走りだし、刀を構えて対峙するか。)長船派の祖、光忠が一振り。参る!(声音高くそう告げれば、後はひたすらに、無心に戦うのみ。邪念は刀を鈍らせてしまうだけ。少しでも、長く時間が稼げるようにと。願うならば、目の前の強敵が倒せるようにと、ただ一心にそれだけの為に自身の名を持つ刀を振るい続ける。三対一、数だけ見ればこちらの有利とも思えるが、自信以外の二振りが、重症に近い状態で果たしてどこまで持つのだろうか。しかも最悪な事に、大型の敵の背後からもう一体同じ体格の遡行軍達が迫って来ている事が見えてしまえば、状況はこちらが圧倒的不利なのは明らかで。それでも諦める事なく、刀を振るい続けるのは「必ず迎えに行く」と約束したから。)最後まで格好良く決めたいよねえ!!(敵の一撃を気合いを込めて受け止め弾き飛ばせば、敵の方へと先陣を切って斬りかかっていく。が次の瞬間、自分の名前を強く呼ぶその声に、大きく隻眼を見開いて立ち止まり振り返るのと同時に、自分の代わりに敵へと飛んで行ったのは刀装兵達の攻撃で。ふり返った先に立っていたのは――。 どれぐらいの時間が経ったのだろう、地下室の扉は静かに開かれる。開いた先にいるであろう彼女の姿を捕らえる蜂蜜の持ち主が、)約束通り迎えに来たよ。もう、大丈夫だから。(ボロボロの姿でそう告げたのが、自分であったのか、知るのはその後すぐに倒れこみ失われてしまった意識が戻った後か。他の刀達からの説教の後かもしれないがそれも悪くはない。時間はもう失れる事はない筈だから。きっと―ー。)

09/25 02:17*126

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(どん、と地上から震動が伝わってきたのは一度や二度ではなかった。その度に両手を握り締めて、閉ざしたくなる意識を奮い立たせる。たとえ感じられる気配が減っていったとしても、まだ抗い続けるものがいる限り。――重い扉の向こう側、近付いてくる足音を察したのは短刀二振りだった。ゆっくりと、音を立てて開かれる扉の先を、構える二振り越しに双眸に映し出したなら。)ッ……燭台切様!(待ち望んだ姿に視界が滲んで、震える声で名前を呼んだ。傾いた身体を支えようと駆け出して、抱きとめようとするけれど己一人ではそれも叶わず。共に倒れてしまいそうなのを防いでくれたのは、彼の後ろから来た援軍の刀剣達だった。途端に、堰を切ったように涙が溢れ出る。)皆様、よくぞ、お役目を果たしてくださいました。ありがとう、ございます。(噛みしめるような呟きは、この本丸に在る全てのものへ。涙声でありながら、それでも一言一句に想いを込めて紡いでゆく。共にいてくれた短刀二振りへは、特別な感謝と賛辞を添えて。意を決し地下を出て、そこで目にした光景は、想像以上に酷く心痛むものであったけれど。)……手入れが必要な方は手入れ部屋へ。動ける方は、力を尽くした方々をお迎えに行って差し上げてください。(赤みが滲む瞳は、ただ前だけを見ようと俯くことを許さない。何故なら、私はまだ生きている。またいつ今際へと追い込まれるかわからぬのならば、次こそ全てを失わぬよう精進を重ねるのみ。――彼が目を醒ましたのなら、慌てて手入れ部屋へと駆け込んだだろう。息を切らした慌しい姿を、彼に咎められようとも。)おかえりなさい、燭台切様。(その言葉を伝えられる喜びを、頬の熱に灯しながら万感の笑顔を浮かべて。これからのことを話し合うのは後で良い。今はただ、最後まで“格好良く”護りきってくれた一振りへ、感謝の気持ちを伝え続けたい。そんな、ひとつの運命を乗り越えた日のこと。)

09/25 18:00*130