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(天下人の象徴として飾られているだけであった己が刀剣男士として顕現して、刀を振るう事が出来て。そして修行を経てこの身に名を刻む魔王と向き合おうと、そう思えることが出来た。今は未だ彼を越えるのは難しいけれど、審神者の元でいつか乗り越えると乗り越えられると――そう思っていたのに、)いきなり土足で踏み入るなんて感心しませんね!(キンっと高い音を立て遡行軍の剣をはじくと胴に切り込み、一体撃破。しかし休む暇もなく次々に襲い掛かってくる遡行軍に刀を握り直した――何時までも続くと思っていた日常が、こんなにも呆気ないものだなんて知りたくなかった。どこから結界の綻びを見つけたのか、或いはより強い力で破ったのか。どちらにせよ遡行軍が奇襲を仕掛けてきたことには変わりなく、こんな日に限って本丸も手薄だ。今日は出陣部隊と遠征部隊は練度が高い刀剣中心で組まれており、本丸に残っていたのはまだ練度が低い―かろうじて特が付いているかどうかの刀剣ばかり。比較的練度が高い刀剣も数振いるが、極にいたっては己一振りであった。)っ主は!?主はどこにいますかっ…!僕は主を探します…!あなた方はここを任せます…頼みましたよ!……全員折れず、また後で落ち合いましょう!出陣しているものたちにも直ぐ帰還するよう連絡しました!持ちこたえて下さいよ!(一番練度が高い己がこの場の隊長として共に戦う仲間に指示を飛ばす。襲い掛かる遡行軍は止まること知らず、次から次へとキリがない。それでも何より気掛かりなのは己の主の安否で。この場で練度が低いものたちを残す事に一抹の不安が過るも、仲間を信じなくてどうする。きっと大丈夫だ――だから、己は審神者を探さなければ。誰よりも大切な、今生の主を。きっと執務室にいるであろうと目星をつけると走ってその場に向かい、そうして襖を勢いよく開けた。)…主っ!無事ですか!?

09/17 09:17*4

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(小さく美しい、光輝くガラス玉のような、本丸を覆う結界。それに罅が入るように、小さな亀裂が走るのを感じていた。何故、などと思いはしない。本丸の上にあった澄み渡る様な青は消え、代わりとばかりに暗雲立ち込めてどんよりと重たく。報告書に綴られた文字を追いかけていた瞳を瞼を下ろしてそっと隠し、数秒後には紙から手を離して出陣済の各部隊を呼び戻そうと試みよう。飛ばした鳩は窓から勢い良く飛び立って行ったものの、彼らの元まで辿り着けるかどうかはわからない。)――…騒がしいわね。(不気味な程に静まり返った本丸、執務室内。否、本丸の彼方此方で争いが起きていることぐらいは感覚でわかる。審神者なのだ、今が非常事態であると理解はしていた。鳩の消えた窓から机へと戻れば、椅子へと浅く腰掛けては瞳を閉じて記憶を探ろう。)…宗三左文字、薬研藤四郎、膝丸、静形、小狐丸、……。(その後も静かに、今居るものの名を口にする。最も練度が高いのは筆頭に名を挙げた彼だった。彼以上、または彼に近い刀たちは皆外へ出してしまった後だ。深く、深く、呼吸する。乱れそうになる精神を抑え、飛ばした鳩が無事に辿り着いたと信じるしかない。幸いなことにまだ繋がる先の霊力は一つも消えてはいないのだから、持ち堪えてもらうしかないのだ。ばたばたと騒がしい足音に面を上げれば、開く襖を正面から見据えた。白の代わりに現れた、淡く美しい桃色。一度外へと出、気持ちを新たに戻ってきてくれた刀だ。)問題ないわ、そんなに焦らないで。鳩ももう飛ばしたの。…無事に辿り着ければそう時間も経たずに各部隊も戻るでしょう。状況は?(心を撫でる嫌な感覚を払いきることはできないままだが、平静を装い尋ねよう。)……耐えられそうかしら。(気を抜けば曇りそうな表情は凛とした声音と態度の下へ隠したまま。)

09/17 18:11*15

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(焦燥感に駆られ飛び込んだ執務室―その場で審神者の無事な姿を確認すれば安堵から強張った表情が一瞬緩まったが、すぐに引き締めて。一度納刀してから、肩で息をしながらも彼女の元へと近付き、その場で片膝をついた。)……良いとは言い難い状況です。如何せん遡行軍の数が多くて。(こんな非常時でさえ平常時と変わらぬ姿を見せる審神者の姿に、自らも平静を取り戻すと己が得てきた情報を的確に簡潔に伝えよう。そして問い掛けに微かに唇を噛み締めた後、)―…耐えてみせますよ。僕も、皆も。修羅場なんて今まで嫌になるぐらい潜り抜けてきました。だから今回も、…大丈夫です。貴女の刀は皆そんなにやわじゃありません。(言霊という言葉がある。耐えれるかもしれないと耐えれないかもしれない、紙一重の言葉の後者に万が一転がってしまったらと思うときっとやたぶんなんて推測でしかない言葉は使いたくなかった。そして心の奥底のどこかで考えてしまう最悪の事態を振り切るように、何時もと変わらない笑みを携えながら告げる返答は、自らに言い聞かせるような決意表明でもあった。)この本丸を、主を…守るのが僕の役目です。遡行軍などに踏み荒らされたら堪ったものじゃありませんからね。今の戦力で完全勝利は難しいけれど、出陣している面々が戻ってきたらこっちのものです。それまで絶対に耐えてみせます。(彼女の顔を真正面から強い眼差しで捉え、大きく一度頷いた。―不安に慄く心を押し殺し平静を装っていることぐらい、短くもない付き合いなのだからわからない訳ではない。けれどそれを態々指摘するほど野暮な刀ではないから、代わりにその気掛かりを少しでも取り除けるようにと言葉を尽くそうと。)主は少しでも安全な場所にいてください。ここに…執務室に結界を新たに張ることは出来ますか?

09/19 02:41*40

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(杞憂であれと抱いていた一縷の望みが音を立てて消えて行く。本丸を覆う結界、それも既に完璧では無いと言うのに。)……でしょうね、タイミングも悪すぎるわ。狙われていたのかしら。(覚えた頭痛を振り払うように波打つ茶髪を後ろへと流し、求めた言葉を返す彼へと微笑を浮かべた。不安に揺れていた心は心強い言葉を得たことで既に落ち着いている。)……そうね、皆文句も言わずにきちんと仕事をしてくれる子たちだもの。けれど今回の報告書は大変そうね、今から気が重いわ。(後々のことを考え乍ら肩を竦め、まるで何でもないかのように口にしよう。未だ大丈夫、繋がる先は一つも欠けてはいないから。瞼を下ろし感覚を研ぎ澄ませれば、少しずつ押されていることぐらいは読み取れる。ふう、と吐いた息には重たさがあった。)言ったわね、なら護りきって見せて。私も何も惜しまないわ、出来ることは全てやるから。後は…そうね、遡行軍の編成や力量も纏めておきたいわ。可能な限り情報を政府へ流すの。(――それは、万一志半ばで折れてしまった時の為に。後に来るであろう彼らへ、遺せるものがあればとの願い。)と言うわけなのだけれど、一旦此処から出ても良いかしら。結界を張るなら可能な限り広い範囲の方が良いでしょう?この非常時にあなたたちだけ戦わせて自分だけ結界の中の執務室から高みの見物だなんて気が狂うわ。(引き出しの最上段から髪留めを取り出し、動きやすいようにと手際良く一つに纏めよう。非常時に持ちだす袋を机上へ置き、二段目最奥から護身用の小刀を引き出しては少しだけ鞘を抜いて鋭い銀色を確かめる。状態の確認を終えれば手元へと提げ、今この場で最も強い刀へと向かい合った。)……非現実的だと思う?でもね、私は本気よ。宗三左文字。(今この瞬間にも重傷を負う刀がいる。彼の隣を通り過ぎ、廊下へと向かう。日常とは掛け離れた、地獄のような空気の中へと。)

09/19 16:21*48