(スカウトの返事の期限が迫っている。今日中には返事を貰いたいというメッセージを確認し、小さく息を落とす。あれから審神者について調べてみたけれど、機密事項が多く、ほとんどわからないことしかなかった。審神者は刀剣男士を使役し、国を守る仕事をしている。薫という単語を頼りに、刀剣を探してみたけれども、彼に纏わる手掛かりも見つけられない。記憶が戻る兆しもない。結局彼に頼るしかないのだと、スマホを持ち直した。指定したのは、学校帰りの時間帯。とあるカラオケ。二人きりになれる場所が、いまいち上手く浮かばず、彼の言葉を思い返して採用させて貰った。此処ならば赤の他人による介入もないし、絶え間なく流れる音楽で誰かに盗み聞きされることもないだろう。ドリンクバーで白湯だけ汲んで、座り心地のいまいちなソファに深く腰掛けた。それから彼に部屋番号を送り、しかし歌う気にはなれなくて、BGMの音量は下げる。薄暗い部屋でぼんやりと明るい画面を見つめて待っていた。)……あ、来てくれてありがとう。(どうぞ、と何故だか畏まってテーブルを挟んだ向こう側の席を薦めて。)また今度の続き。記憶を取り戻す手伝い、してくれるんでしょ。(緊張しているのか、やたら喉が乾く。そっとマグカップを取り一口含んで、ゆっくりと流し込んだ。彼が次の機会に望ましいと思っている状況を用意したつもりだ。)
02/17 21:58*5
(あの日から常に携帯端末を気にしているのは、まるで令和の若者のようだった。今日は通知が二つ届いた。ひとつは彼女から、もうひとつは目を通してすぐに削除した。)……まだ時間はある。(自らに言い聞かせるように呟き、カラオケボックスへと向かった。部屋番号を確認して扉を叩き、一拍置いてからゆっくりと開く。)やあ、元気にしていたかな。呼んでくれて嬉しいよ。(薦められるまま向かい側に腰を下ろし、部屋を軽く見渡した。)へぇ、案外広いものだね。(初めて来る場所を観察してしまうのは先行調査員の頃に付いた癖だった。ここなら万が一、彼女が体調を崩しても人目に晒されることはなさそうだと安心する。)うん、それじゃあ早速始めようか。――審神者の君は、若くて優秀だと高く評価されていてね。君と一緒にいる刀剣男士は皆、誇らしかったさ。でも、それだけじゃない。他者を思いやる優しい君は皆から慕われていたし、僕は君という人となりを好いていた。(在りし日の思い出をなぞりながら穏やかに語りつつ、星の瞳を眺めていた。照度の低い部屋で血色の良し悪しの判別は難しいかもしれず、不調の兆しを見逃さない様に。)審神者は本丸に、大きな屋敷に住んでいるんだ。古き良き日本家屋と呼ばれている建物だね。心当たりはあるかな?(己の話の何かが取っ掛かりになればと問いかけ、何か気になることがあれば聞いてほしいとも伝えようか。)
02/18 00:14*13
(向き合って改めて彼を見るに、いい意味で人間の中に溶け込むことは難しいだろうという印象を受けてしまう。挨拶がてらに投げかけられた言葉に、少し考えて、一つだけ返した。)配信、聴いてくれてたでしょ?(聴いていたなら息災なことはわかる筈だ、の意をいたずらに込めてみる。ひとまずは彼に委ねるまま、耳を傾ける。背筋を伸ばし、両手を緩く膝の上で握った。──まるで自分のこととは思えない話だ。謙遜でもなく人違いではないのだろうかと不安も過ぎって表情は翳る。)……あるような、ないような……。(片っ端から記憶を探ってゆくうちに、微かだけれど、広い屋敷なのに笑い声に満ちているあたたかな空間が脳裏にちらつく──気がした。)……うんとね……そもそも、どうしてあたしは与えられた役目を放ったらかしてるの?記憶がないなら、 何か失うような切欠があった筈、だよね……?(仮に、彼が言う通りに慕ってくれていたとするならば、その彼らを置き去りにしてしまった理由がある筈だ。自分がそこまで無責任な人間だとも思いたくはないし、ひと先ずは一番気掛かりに思っていることを疑問として口にした。)
02/19 13:55*22
(そうだと信じて疑わないような問いかけには、面映ゆく頷いた。)もちろん聴いていたよ。だからって君のことが気にならないとは限らない。“本物”は心の在り様などお構いなしに、その時々で最高の能力を発揮するんだろう。(彼女が歌う意味や歌唱の才能は、本物と呼ばれる本業の者たちに引けを取らないと思われた。己の話はいまいち掴みが悪いようだが、簡単に思い出せるものでもないだろうと踏んでいたため平静を保ったまま。)誤解がないように言わせてもらうと、君が役目を放ったらかしてるんじゃない。仕方のないことなんだ。(君に非はないと、先んじて念押しする。今は一般人と見なされる彼女に切欠を話すべきではないのだろうが、仮にこのまま思い出せなかったとしても口外するような性格ではないのは分かっているし、荒療治として有効かもしれないと判断した。)僕らと敵対しているものたちに、本丸が襲撃されてしまったんだ。審神者の君を守ることはできた、……はずだったんだ。詳しい因果関係はまだ調査中なんだけれど、彼らは何らかの手段で審神者であることを忘れさせ、君を市井に送り出した。(知らずのうちに強く握り込んでいた両拳に気付き、さりげなく力を緩めて何でもない風を装った。)審神者と刀剣男士は、霊力と呼ばれる目に見えない力で繋がっているんだ。正確には、審神者から霊力を受け取っている。今はとても薄く感じられるけどね、僕の主は君だ。(そこまで話してから、まだ己の正体を明かしていないことに気付いて付け加えるように言う。)僕は刀剣男士で、審神者である君の持ち刀さ。
02/19 17:07*25
(彼の言う通り、苦しい時でも悲しい時でも、表現から逃げない人間が至れるのだろう。その域には未だ遠いかもね、と曖昧に笑って。少なくとも彼と言う気掛かりを残している今では、その自信は持てなかった。真実は、静かに聴き遂げる。不可抗力であると知れば安堵し、襲撃と聞けば不安を過らせる。わかりやすく表情を塗り替えていたが、己と彼との見えない繋がりを示されて、少し反応が鈍くなる。緩慢に相手との空間を見つめて、少し。目を凝らしてもやはり見える訳ではないのに、確かに何かを感じた──その、瞬間。)……清麿……?(教えて貰ったものとは異なる名が不思議と浮かび、口にすれば歯車が噛み合ったように馴染んだ。それを皮切りに、失われていた筈の記憶が蘇ってくる。自分の居場所を本丸に見つけたからこそ、居心地の良い場所にしようと尽力した日々も、それが襲撃によって呆気なく壊されてしまったことも──。)みっ……みんなは無事なの……?清麿も、具合は悪くない?(さっと血の気が引けていく。自分の不在の間、本丸はどうなっているのだろう。霊力が彼らの力の源であろうから、霊力の供給が薄いらしい現在、眼前の彼の容体も気になった。)やだ、なんで忘れてたんだろう。早く帰らなくちゃ……!(一気に思い出したせいで考えが追いついていないのか、慌てる様子を取り繕えもせずに。夢のことは忘れて、課された筈の責任が頭を占めていた。)
02/20 23:47*33
(主と離れていた時間は長くはないけどそれなりで、名前を呼ばれるのは随分と久しぶりな気がした。目を見開き、息を呑む。)――夜たか様。(臣なる物として、主の名を呟いた。様子を一変させた主の傍に寄って距離を詰めたならば、恐れ多くも主の細い両肩に己の手を添えようか。)主、僕をよく見てごらん。……ね、何ともない。みんなも無事だよ。心配してくれてありがとう。(大丈夫と気休めの言葉を掛けるよりは、直に確かめてもらうのが一番なはず。それでも気がはやるようであれば、添えた両手でぽんぽんと肩を優しく叩いてみよう。)落ち着いて一緒に考えよう。大事なことだからね。(その上で、決めるのは主だ。焦る必要はないのだと笑いかけて、触れていた手を放していく。ゆるく瞬きを繰り返して主の気持ちが整うのを待ってから、柔らかな声で話し始める。)歌でさみしいひとを慰めたいって言ってたけど、そう思うに至る切欠や出来事があったのかな。もしくは、聞かせたい人とか。(主がこちらで過ごすうちに、そういう特別な相手がいたとしても何ら不思議ではない。探りを入れているようで申し訳なくもあるが、あくまでも近況を尋ねているつもりだ。置かれている状況を整理することは、身の振り方を選択する上でも重要なことだから。)
02/21 16:53*38
(忠臣のように呼ばうその声と宥めるような所作のお陰で、少しずつ落ち着きを取り戻してゆく。確かに目の前の彼が大事なさそうであるなら、己の情けなさにちょっぴり項垂れた。しかし、彼が己の選択を大事なことだと捉えてくれ、共に考えてくれるのであれば気落ちしている暇はないだろう。一度だけ深呼吸をして、面を強いてでもぐっと持ち上げた。まずはありがとうね、と置いてから。)……あたしもさみしかったからだよ。(なぜ、己の動画をあげようだなんておおそれたことをやろうとしたのか、始まりはとても曖昧だ。誰かに寄り添うことで、自分もまたそうして貰えると思ったのかも知れない。けれど今、見つけて貰って改めてこうだと思える理由がある。長めに溜め息を落として、顔を両手で隠すように覆ってしまう。)あのね、……ばかみたいかもしれないけど……見つけて欲しかったんだと思うの。あなたに。(記憶が失われていた以上、無意識の話でしかないけれど。いつ空いたかもわからない心の空洞を埋めてくれる誰かに対して──助けの求め方すらわからないなりに紡ぎ出したメッセージ。唯一己の歌を知る彼ならば、見つけてくれる気がして。)……だから、忘れてくれてもよかったのにって言われた時、ちょっとだけむっとしたかも……。(今更ながらの吐露を文句のように落としつつ、顔を隠したままなのは、あんまり彼に頼り過ぎて、気恥ずかしいからだった。)
02/21 22:59*42
(主が己と同じくさみしさを抱えていたというのは何とも言えない心地だった。主を守り切れなかった落ち度を痛感する中で、慎みに欠けた仄かな喜びが灯る。早く迎えに来れなくてごめんね、そう言おうとした口からは全く別の言葉がまろび出た。)――えっ。(頭を殴られたような衝撃があり、穏やかな表情そのままで固まってしまう。主の声がよく聞こえる都合のいい耳をしているものだから、思いがけない話を聞いてすぐに飲み込めずにいることしばらく。口元が緩むのを感じて咄嗟に手で覆う。主が顔を隠してくれていて助かったと、こっそり胸を撫で下ろしていた。謝るべきはところは別にある。)ごめん、君の気も知らないで……。しばらく離れているうちに、僕はどこかおかしくなってしまったのかもしれない。君の機嫌を損ねてしまったのが、ちょっと嬉しいんだ。(口元を覆っていた手を退けて、はにかみながら素直な気持ちを伝える。恥じらいを引きずりながら、そうっと主を覗き込んでみよう。まだ可愛らしい顔が隠されたままであればそろそろ見せてほしいとささやかに願い出て、既に両手が取り払われているなら幸いと、しばし見詰めては微笑んだ。)君は歌でひとかどの人物になれる。好機は何度も巡ってくるものじゃない。生業にするなら難しいことも多いと思うけれど、簡単に為せることは高が知れているからね。僕は応援するよ。(おもむろに背筋を伸ばし、ゆるく瞬いては間を置いてから続けよう。)歌に打ち込んでもさみしいのなら、僕と一緒に本丸に帰ろうか。時々こっちにきて、配信しても良いかもしれないね。(さすがに本丸で行うのは憚られるが、こっちで配信を続けるぐらいならば許されるのではないかと提案する。)
02/22 17:02*47
(実は、反応が気になって指の隙間から覗いていた。彼が固まるところは思い返しても目にしたことがなく、新鮮な気持ちを覚えると共に盗み見した罪悪感がほんの少しだけ。流石に口許まではは目視叶わなかったけれど、その言動に呆れが滲まないことを確認して、そろそろと指を下へずらし、瞳ばかりを覗かせて。)……いいよ、あなたなりにあたしのこと、考えてくれたんだよね。(尊重してくれること自体は嬉しいのだ。何だか思い上がってしまいそうな言葉たちには困りきってもごつくだけだったが、微笑みからは何とか顔を逸らさないまま、「見過ぎ……」とだけ、悪態をついた。)……うん、ありがとう。あたしね、一つ後悔があって。前向きな理由で審神者になれなかったこと、なんだけど。……この機会に、改めて、あたしの意思で、皆と一緒に頑張りたい。(始めは気の進まないままに本丸を訪れた。懺悔を過去に話したこともあっただろう、それもあって尚更彼は自身を思い遣ってくれるのかもしれない。だからこそ、今度は自分の意志で彼たちと共に在りたがった。その上で、と相談事を打ち明けるよう、少し緊張の滲ませた顔にて、)清麿は、どれかひとつを選ばなければいけないわけじゃない、って言ってくれたでしょ。……両立って、できると思う……?(彼らの主を誰にも譲る気はない。どちらかのみを選ぶのなら、答えは決まりきっているのだけれど。遠慮がちだが、提案までしてくれる思慮深い彼の意見を聴きたかった。)
02/23 19:40*53
(憎まれ口は信頼の証と受け取って、悪びれる様子もなく。かつて悔やんでいる話を打ち明けてくれたときは、周囲に期待され止むに止まれず審神者になったうら若い彼女が不憫でならなかった。表面上は落ち着きを払っていたものの心中は穏やかでいられず、審神者の待遇について懐疑的に思うようになったのもあの頃からだったか――。過日に目を伏せたのは僅かばかり、先を見据えた主を歓迎するような喜びの表情を向けた。)主の意思に、僕は報いる。どんなときでも必ず君の力になると約束するよ、これからも一緒に頑張っていこう。(審神者としての義務や責任に駆られてではなく、主の意思であるならば当然に応えたくなる。続く話に耳をそばだてたのち、まずは深々と一度だけ頷いた。)君が心から望むのなら、やってできないことはない。僕にできることなら何も手伝うし、実際に始めてから見えてくる問題は一緒にひとつずつ解決していこう。君ならできると僕は信じている。だから、君は君を信じて。……もし、君自身を信じるのが難しいときは、僕を信じてほしい。(少しの間を置いてから、慈しみを以って述べた。出過ぎたことであると自覚しつつ、己の本音を隠しはしない。彼女がもう二度と後悔しない人生を歩めるよう尽力する心積もりだ。さて、主の決意は固まっただろうか。敢えて尋ねることはせず、告げられるのを静かに待とう。選び取ったのがふたつであろうとひとつであろうと、主の意向を尊重するのは間違いなく。)
02/23 23:52*55
(思い出せもしない内から、彼だけは自分の味方だと感じたことは、事実だったと確信ができる。どこまでも親身に寄り添ってくれる彼の気遣いが嬉しく、強張りがちの表情も少しずつほどけてゆくだろう。いくらか安らかそうに見えるのは、本丸に居場所を見つけられた、襲撃前の審神者の姿と相違なくなっている筈だ。自分に自信の持てない娘に向ける言葉で、これ以上に響くものがあるだろうか。彼ほど心強い相手はいない。そう信じられるからこそ、真っ直ぐに彼を見据えて伝えよう。)こうなったからには……審神者としても、歌手としても、頑張ってみたい。絶対に皆のことは疎かにしないし、だからと言って歌で中途半端なこともしない。あなたの信頼に応えたいから、あなたのことを信じる。……清麿。これまで以上に迷惑もかけるかもしれないけど……これからも、夜たかのことをお願いします。(始まりこそ望まぬ形だったかもしれないが、今となっては彼らとの出会い以上に価値ある宝物は見つけられない。頭を深く下げ、再び持ち上がった双眸には決意の色が色濃いだろう。)ひとまずは、一回帰ろうと思うの。お土産買って行こうかな。買い物付き合ってね。(長く空けてしまった本丸が気掛かりだ。詫びの品がてら、様々買い込んでから帰ることを決めるが、ああそうだと思い出したかのように手を叩き。)今回は戦った訳じゃないけど……あたしを見つけてくれた清麿が誉を貰えるべきだよね。何かご褒美……欲しいものってある?(自身を探して令和を探索したのであれば、様々なものに触れただろう。この時代は物が沢山あるでしょ、と添えながら──なんでもひとつ、叶えるつもりで。)
02/24 01:59*59
(穏やかな面持ちを懐かしみ、愛おしむような目を注ぐ。主に頭を下げさせるなど本来あってはならないことだが、彼女なりの誠意ないし決意として受け止めよう。)頑張る君に置いていかれないように、僕も精進するよ。迷惑だなんて思ったことは一度もないさ。僕は望んで君の傍に居るんだ。これからもどうぞよろしく、夜たか様。(新たな輝きを宿した瞳を快く迎え入れて、敬意に一等の親しみを込めて唯一の名を呼ぼう。審神者と歌手、どちらも大切な彼女であって切り離すことなどできるものか。先刻まで年相応な女の子の顔をしていたのに、凛とした姿が眩しく見えた。)君が手づから選んだ土産となれば、皆きっと喜んでくれるだろうね。(買い物にはもちろん付き合うと頷いて、善は急げと立ち上がりかけたものの軽く打ち鳴らされた音に腰を下ろして。)褒美かい? では……君に歌って欲しいというのは聞いてもらえるのかな。(考えるような素振りを挟んだが、欲しいものと問われて真っ先に浮かんだのはひとつだけだった。)端末越しじゃない、君の歌を聴かせてほしい。……好きなんだ。(最後にぽろりと溢れた一言は、紛れもない己が心のひとかけら。さみしさを慰めてもらうためではなく、再び出会えたよろこびを歌にしてもらえたらとは思うものの、こればかりは彼女に委ねるばかり。もしも聞き届けられたならば目を閉じて歌声に集中したくもあるが、どんな表情で歌っているのか気になって見入ってしまったやもしれず。歌い終わりには惜しみない拍手を送っただろう。――此度の任務期限については直前まで伏せておくつもりだが、制服を着たふたりが出歩ける時間となれば、その範疇に十分納まるはず。)
02/25 00:58*65
(ある種の生き辛さを拭えずに生きてきた娘にとって、彼らの側は息のしやすい拠り所だった。羽休めをするに相応しいその場所が、自分を待ってくれているというだけで強くなれる気さえする。主としての立ち振る舞いはすべて、彼らに教えて貰ったようなものだ。彼らに恥じない人間でありたいと、願うからこそ。この時代の多くの人間がその名を知るけれど、彼の唇がなぞってやっと、“呼ばれた”という自覚が芽生える心地がした。引き結びがちの口許が笑みを模る。)ありがとう、清麿。迎えに来てくれたのが、あなたでよかった。(数多く共にある同志たちのうち、なぜ彼が選ばれたのかは預かり知らぬところだが、恐らくは日頃彼を頼りにしていることは周囲にも筒抜けだったのだろう。そう思えば少し照れ臭い気もしつつ、彼の尽力には何としても報いたかった。本来なら一刻も早く帰るべきなのだろうから急くようにも見える彼の動きは間違ってはいないのだけれど。)いいよ。……なんだか、そう言われる気もしたの。(珍しく躊躇いや逡巡もなく頷けたのは、そう言われるのを待っていたからなのかもしれない。ちょうど音源を確保できる場所でもあるし、騒ぎにもならずに済む。彼だけの為に歌うには、これ以上にない場所だ。)あぁ……あたしの歌がね!?(思わずひっくり返りそうになったが、ありがちな勘違いだとすぐに冷静になった。好きでやっていることを気に入って貰えるのは、これ以上になく自信に繋がってくれる。歌えるのが嬉しいという心からの喜びに支えられ、立ち上がった。──選んだのは、自分と共に歩んでくれるひとへ、感謝のメッセージが込められたとある一曲。あなたと共に同じ時間を過ごすことの幸いを歌い上げ、最後には照れ臭そうに笑うだろう。)
02/25 23:47*73