(本当に人が多いなと感じる瞬間がいくつもあって、その象徴ともいえるのがスクランブル交差点だ。正面にも斜め向こうにも、平行線の向こうにも多くの人が青信号を待っている。それぞれが群れのようでありながら、ほとんどは単独なのがまた不思議なところだ。秩序や規則を守る姿勢に多少の差はあれど、皆が等しく青信号を待っている。令和の世ならば、過日のように主が危険にさらされることはまずないのだろうなと思った。やがて青が灯り、可愛らしい音が交差点に響き渡ると人々が一斉に歩き出した。己も流れに乗って、前へ。)――あれは、(人をかき分けながら物凄い勢いで、斜め向こうから走ってくる人を見つけた。どんな事情があるにせよ自分勝手な行動を好ましく思う人がいる筈もなく、己もまた眉を顰める。あの分だと、もうすぐこの辺りに突っ込んできそうだ。)危ないよ、こっちに。(一応は先に声を掛けたけれど、近くを歩いていた人が巻き込まれないように手を伸ばして、安全な位置へ軽く引っ張ってしまおうか。)
02/06 19:43*75
(久々に会う旧友との待ち合わせの場所はこの信号を越えた先。何時ものように洋服と和服を組み合わせたコーディネートに、気合を入れて頭物はボンネットにした。プリムが何時もより視界を狭べていたのと、期待に心躍らせて意識が既にそっちへと向けられていたから――こちらに向かって来る脅威に気付かなかった。注意を促す声に反応するよりも先に手を引かれれば、高めのヒールのブーツを履いていたこともあり多少はよろめいてしまったものの、仁王立ちのように足を肩幅に開いて立とうか。)走るのは悪くないが周りをちゃんと見てくれ!危ないぞ!(すぐに振り返えれば、遠くなっていく背に向かって苦言を呈そうか。それは叫びにも近い音量で、道行く人々の視線が注がれるが気にも留めず、それよりも点滅を始めた信号に傍らの少年に「早く、」と促そうか―その際どっちに向かうかを伺い、自分も一先ず同様の場所へと向かおう。そして渡り切れば、胸に手を当て軽く頭を下げた。)…礼が遅くなってすまないな。ありがとう。私の注意力が散漫だったが…まったく、自分勝手なやつには困ったものだ。(少し乱れた裾を直しながら、眉根を寄せて大きな溜息をひとつ。)
02/06 22:14*77
(不躾に手を引いた相手が体勢を崩しかけたならば、もう片方の手を添えて支えようとしたけれど、華やかな装いの女性が力強く立つ様は見事なものだった。女性が口にした言葉は皆が思っていることでもあったはず、向けられたのは好奇の目ばかりではなかっただろう。)……すごいね。(心のままに零れた呟きは、雑踏に紛れていく。先を促されたならば方向を指さして、足早に渡り切ってしまおう。何となく掴みっぱなしになっていた相手を放したのは、無事に横断してからになった。)こちらこそ、ありがとう。さっきの言葉は胸がすっとしたよ。(さほど変わらない目線を合わせながら、愉快そうに笑う。背の高い女性だと思っていたけれど、落ち着いて向き合えば足先にもお洒落に余念がなかったらしいと分かる。)自分勝手といえば、僕も同じだね。君を引っ張ってしまったから。――うん、綺麗だよ。(一歩引いて相手を上から下まで見遣れば、もうどこも直す必要はないと頷いてみせた。)これからお出かけなのかな? なら、この後も気を付けていってらっしゃい。(きっともう大丈夫な気はするけれど念のための言葉を添え、ひらりと手を振って早々に離れよう。先のような危険があるのならば、早く主を見つけなければと逸る気持ちを抑えながら。)
02/07 19:51*81
(男勝りが過ぎるだとかもう少しお淑やかにだとか。昔はまわりに聞き飽きるほど口酸っぱく言われてきたけれど、いつの間にか諦められて言われることはなくなった。言いたいことを我慢するのは性に合わないし、我慢する道理はない。何を言われても何処吹く風を貫いているけど、やはり褒められれば嬉しい訳で。)言わないとわからないだろう、ああいう輩は。これからちょっとは周りを見てくれると良いんだがな。(愉快そうに笑う彼を前に、つられた様に笑い声をあげて大きく頷いた。)確かにそう言われればそうかもしれないが、君の行いによって私は助かったことは確かだからな。私は少年の思いやりを自分勝手であると言いたくはないな。(確かに彼の弁は一理あるかもしれないが、先程の男とは違うし第一一緒にしたくない。真剣な面持ちで彼を真正面から見つめると視線を逸らさずにはっきりと告げるが、すぐに頬を綻ばせた。)ありがとう。少年も…Have a nice day!(手を振り去っていく彼に答えるように手を挙げて。そして遠ざかっていくの彼の背を数秒その場に立ち止まり見つめた後、自分も待ち合わせ場所へと急ごうか。友人と合流すれば先程の出来事を報告しよう―なんて思いつつ。)
02/09 23:39*88