(夕方の電車は人が多いけれど、朝はもっと多いような気がした。駅に着くたびたくさんの人が降りては乗り込んでくる様は、観察している身としては興味深く、当人たちは行くべきところがあって忙しいのだろうなと想像する。己は会いに行きたい人にまだ辿り着けていないから、少しだけ羨ましくもあった。次に着いた駅では多くの人が乗り込んできたため、人波に押されて反対側のドアの方へと素直に流されていく。多少、鞄や肩が当たるぐらいどうということはなかったが、流されていくうちに己が誰かと当たりそうになるのは避けたいところ。ドアに手をついて、どうにか相手と最低限の距離を確保しようか。)っと、驚かせてしまったね。大丈夫?(相手の顔色を伺いながら、囁くように問いかけた。満員電車で不可抗力とはいえ距離を詰めてしまっているのは否めず、不快な思いをさせてやしないかとの確認を兼ねている。)ごめん、次の駅までこのままでいさせてくれないかな。下手に動くと、また押されてしまいそうなんだ。(己が背には確かな圧を感じていて、今の体勢を変えるのは得策ではないと判断した。たった数分されど数分、果たして相手はどう感じるだろうか。)
02/05 13:33*61
(毎朝の通学、初めのうちこそもみくちゃにされていたけれど三年間もそれを続ければ随分と慣れて潰されにくい場所や出ていきやすい場所もそれなりに覚えた。同じ白襟のセーラー服を身に付けた少女たちも複数見える中、今日も今日とてドアの近くに出来るだけ小さくなるようにして身を収めていたのだけれどどうやら今日も多くの人が流れ込んできたらしいと分かったのは身の周りのスペースが少し狭くなったから。ドアで体を支えているらしい腕の主から小さく掛けられる声に眼鏡の下で目を瞬かせる、律義なそれに僅かな驚きを覗かせながらも首を縦に振った。)私は、大丈夫ですけど、その、もし苦しいとかならもうちょっと寄れば一人くらいならここ、入れると思うので…。(自然と声を潜めながら自分の隣を指差した、ドアと座席を隔てる金属のポール、そこにもう少し身を寄せれば学生一人くらいならと。とはいえ詰め込まれた車内では動く事もままならないだろうか、横目に見た外の景色から自身の下りる次の駅まであと少しだと気付けば目の前の彼へと目を向けて、すぐに伏せた。)
02/05 14:45*63
(縮こまっている少女は小さく見えて、こんなかよわそうな子もこんな電車に乗って移動するのかと感心する。返事を聞いて安堵し、続く言葉に目元を和らげた。)苦しくはないけど……それじゃあ、もう少しだけいいかな。(厚意だけ受け取って断ろうとしたが、己の後ろにいる人たちも好きでおしくらまんじゅうしているわけではないし、隙間が作れるならば有効活用すべきだろうと思われた。少女が寄ってくれたならば、その空間の半分ほど進み出よう。停車駅に近づき減速する車体に合わせて揺れ動く人波を他所に、びくともしないのは体幹が強いからである。あまりにも不動では悪目立ちするが、この状況ならば違和感なく振る舞えているはず。視線を感じて反射的にそちらを向いたので、少女と一瞬は目があっただろうか。車内アナウンスを耳にして、ドアに付いていた手をそっと離した。)次はこっちが開くみたいだね。もう降りる? それともまだ先かな?(次で降りるのであれば心優しい少女が慌ててホームに降りないよう、気をつけてゆっくりねと声かけて見送るつもりである。まだ先というならば、己もまだだと適当に話を合わせて彼女を守る壁となろうかと。どちらにしても、己は暫く電車に乗り続けるのだ。審神者の気配を探して――。)
02/05 20:45*65
(首を縦に振ってまだ少し余裕のある鞄を押し潰し身を寄せる、人ひとり分空いたそこへ半歩踏み出す彼の分また更に人が押し寄せたような気もしたけれどこの満員電車の中では当たり前の事だろう。まだ電車というものが出来た頃に比べて揺れの少なくなった車両はそれでも完全に揺れを制御できたわけではなく、自身のように何かを支えにしていない乗客は大体が揺れに合わせて体を動かしている。視線を落としたお陰で傍らに近付いた足元が良く見える、周りと比べて安定したその足元に数度目を瞬かせるも丁度車内アナウンスが耳に届いて顔を上げた。)あ、降ります。えっと、良かったらここ、支えもあるし…あんまり人が詰めかけたりしないので……。(減速を続ける車両がやがて完全に静止する、音を立ててドアが開くと押し出されるように多くの人がホームへと降りようと圧が掛かるため優しく掛けられた声には残念ながら応えられなかった。車内の熱気交じりのそれではない空気を吸い込んで向かうのはバス停、見知らぬ優しい彼が少しでも楽に目的地までたどり着けていると良いけれどと道中ぼんやりと、そんな事を考えて。)
02/06 11:22*71