主君、お迎えにあがりました。

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(刀剣の付喪神とはいえ、人の身であれば相応に腹は減る。それはたとえ重要な任務の最中であったとしても同じこと。ただ、令和の世ともなればその選択肢はあまりにありすぎる。相変わらずの詰襟姿、ただひとり腹を擦る水心子正秀は小さく溜め息を吐いた。)参ったな……この辺りの店は全くわからない。どんなものがあるんだろう……。(政府では食堂があり、本丸では厨当番が献立を決定してくれることもあり、自らが店から選んで食事をするという機会は思いの外少ない。徐に辺りを見渡すものの、やはり決定打らしいものはなく腕組みをするばかり。しかし、こうしていても埒が明かないのも事実、よしと決意を固めたならば比較的声を掛けやすそうな人へと近づいてみようか。それが男性であれ女性であれ――人か刀剣男士かという判別は二の次である為に、声色は至って真面目そのものの様子だ。)失礼、少しいいだろうか。昼食を摂りたいと思っているのだが、私はこの辺りに詳しくなくてだな……何か店を紹介してもらえると助かるのだが……。(少々歯切れが悪いのは、あまりにも唐突である自覚があるからか。せめて折り目正しくと背筋はピンと伸ばしたままの筈。)

02/05 10:23*58

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(駅前で軽く昼食を済ませようかと、この少女もまた数ある選択肢に悩まされているうちの一人だった。何度かこの辺りの飲食店は利用したことがあるが、一度訪れて味が確かなところを選ぶか、それとも新規開拓か──写真でも見ればそそられるものもあるかと、案内板へ行きかけたところに声が掛かり、振り返る。)あ……たくさんあって迷いますよね。この辺りは割となんでも揃ってますよ。よかったら、こっち……。(ちょうど向かう先だったから、案内がてら止めた足を再び動かし、レストランの一覧と料理の写真が掲載されている目的の場所へ。)ここの定食屋さんの鯖の味噌煮、美味しいです。デザートのあんみつもおすすめ。洋食だったらここのパスタが安いのに美味しかった。あとは……。(ひとつ、またひとつと指差しながら店の紹介を。なぞってゆく最中、ふと指がおにぎり専門店の文字に留まる。)……。おにぎりって好きですか?ここのおにぎり専門店、色んな具があって、握りたてで、豚汁もあって。あたし、ずっと気になってたんですよね。(しみじみ呟けば、自分の行き先は決まったようなものだ。彼はどうだろう。隣を伺い見ながら問うてみる。)見てみて、気になるところはありました?

02/05 14:03*62

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(この人ならば、と選んだ理由としては、急いでいるように見えなかったことが大部分を占める。けれど、その佇まいからしてきっと何かしら答えをくれるのではないか、という勝手な期待が込められていた。その願い通りか、彼女が案内をしてくれるままにレストランの一覧表示の前へと足を運ぶ。そして指を差される箇所ごとに視線を注ぎ、ひとつ、またひとつと熱心に説明へと耳を傾けた。)ふむ、ふむ……成程、和洋共に取り揃えているのだな。どれも美味しそうだが……、――ん?(ひと呼吸置かれたその間につられるように視線を上げ、隣を見遣る。己とそう変わらないか、寧ろ少しだけ高い位置にある彼女の口から『おにぎり』とのワードが出たならば、先程よりもひとつ踏み込んだように興味を示すだろう。)おにぎりに専門店があるのか! ほん、……いや、“学校”でもよく口にするが、色々な具が選べるというのは実に興味深いな。(つい『本丸』と口走りそうになり、慌てて自身の設定としての所在地を口に出す。その表情は少し焦りが滲むものの、店に対する興味は本物だ。うんとひとつ頷き癖のように詰襟を引き上げては、改めて彼女へと向き直り一礼をしよう。)協力、感謝する。やはりこのおにぎり専門店が一番気になるところだが……そうだな、あなたさえよければ一緒に行ってはどうだろうか?この案内の礼をさせてほしい。(表情を引き締めながらの問い掛けは至って真面目。ただ、一拍の後ハッと瞠目しては「け、決してナンパではないぞ!?」と間の抜けた一言が付け加えられる。さて、あとは彼女次第だ。断られたなら潔く引き下がるつもりだが、もし共に過ごすこととなったなら、そこには様々なおにぎりや豚汁に瞳を輝かせるひと振りがいるかもしれない。勿論、会計は自分がと譲らないつもりで。――空腹が齎したひょんな出会いは、焦り渦巻く任務の最中でも幸福な一幕として記憶される筈だ。)

02/05 18:27*64

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(いい食いつきだ。お眼鏡にかなったものを選べた安堵に加え、興味関心が重なるというのが嬉しくもあって、眦が緩む。ほん、という何かしら言いかけた痕跡には不思議そうにするも、焦りようからして言及はせずに置いた。)前を通りかかったことがあって、いっつも美味しそうな匂いがしてるんですよね。釜で炊いたご飯って、家では食べる機会がないからいいなって思ってて。味噌とかもあるんですよ。(話せば話すほど、空腹をおにぎりで満たしたいという欲が溢れてくる。お礼があれば役に立てて何よりと緩やかに首振って、真摯な誘いに瞬きの回数が増える。その驚きはどちらかと言えば、ナンパと解釈したのではなく、自分もご一緒にどうですかと誘うか一瞬悩んだからだったのだけれど。)……ふっ……ふふ。そんなに大したことをしたわけじゃないけど……行き先は一緒ですもんね。喜んで。(因みに身長のこともあって、地方から受験の下見などで訪れた年下の男の子なのだろうな、という印象である。それゆえ誘われたとしてもナンパには結びつかなかった。逆であれば危うく逆ナンだったのかと冷や汗をかくところだ。ともあれ彼の様子は愛らしく、「大丈夫だよ。行きましょうか」と安心するように柔らかな笑みを浮かべるよう意識して、件の店へと連れ行こう。定番から変わり種まで、ここにおいても結局何を選ぶか迷ってしまうほど、具の種類は豊富だった。負けじと熱心におにぎりを見比べながら、厳選したものを幸せそうに頬張っただろう。会計は任せられないと何度も首を振ったが結局甘える形となり、それならばせめてとお礼に唐揚げをひとつ買ってあげようとした筈だ。食事はこの生を豊かにしてくれる。そう思わせてくれる和やかな時間となった。)

02/06 00:26*68