主君、お迎えにあがりました。

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(戦とは異なった特命の重要任務――とはいえ、ひとりきりとなった瞬間につい一息吐いてしまうのは人も刀も同じか。いくら事前に時代講習を経ていたとしても、慣れない街並みでの人探しは骨が折れる。つい人の目を逃れ、辿り着いたのは何の変哲もない公園だった。)はぁ、何処もかしこも人が多い。これが我が主のいた時代か……。(思わずぽつりと呟いてはベンチに腰掛け、学ランの詰襟を僅かに引き上げる。その表情は普段に比べると些か気の抜けたものの筈だ。徐に両の手をベンチに突いた――その時、不意に指先へ触れた感触に首を傾げる。)……ん? ……これは、ハンカチか?随分と綺麗だな……忘れ物だろうか。(持ち上げてみれば女性もののハンカチで間違いないことは明白。となれば、律儀にも腰を上げ周辺を見渡し始めるのが水心子正秀だ。その最中偶々目が合ったか、それとも持ち主か、いずれにせよ居合わせた人影に声を掛けるまで然程時間はかからなかった。)失礼、少しいいだろうか。先程あそこでハンカチらしきものを拾ったのだが……心当たりはないだろうか。(四つ折りにされた白いハンカチを差し出すようにそっと見せては、少し強張った声色と引き締めた表情で切り出してみるが、さて。)

02/01 08:36*5

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(不意に声を掛けられて振り向く動作はゆっくりと、そして警戒心のかけらもない一般人のそれ。学生服姿の少年は今時珍しいほど固い言葉もあって、緊張しているような印象を受ける。差し出されたハンカチを確認するが、覚えがなく首を横に振った。)ごめんなさい、私には分かりません。持ち主の方が近くにいたらいいんですけど……。(公園内はそれなりに人が居る。しかしながら、全員に声を掛けて回るのはどうだろうかと少し考えてみて、それから少年を見上げた。)交番に届けたほうが良いと思います。でも、まだ近くにいるかもしれませんから、私も一緒に持ち主の方を探していいですか?(ただ申し出るだけでは断られそうな気がして、遠慮は要らないという代わりに微笑んだ。それでも固辞されたならば、せめてと最寄りの交番の場所を伝えようか。一緒に持ち主探しをさせてもらえるならば、声掛けは任せてほしいとお願いしてみよう。持ち主が女性ならば、同じく女性の自分が声を掛けたほうが円滑に進められるのではないかと。場当たり的に声を掛けていけば、そのうち持ち主にも行き当たるだろうか。――やがてハンカチが少年の手元を離れたならば、)おつかれさまです、良かったらどうぞ。(今しがた買ったばかりの飲料を手渡そう。お茶と水、どちらか好きなほうを選んでもらおうと両方差し出して。)

02/01 12:49*6

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(不意とはいえ、声を掛けた相手が優し気な人であったことは幸いであった。ただ、首を横に振られてしまうとつい残念そうに眉を顰める他無く。)そうか、あなたの物ではなかったか。引き留めてしまってすまない。他を当たって、……えっ、(それは慣れぬ場においては願っても無い申し出。されど、あまりにお人好しともいえる提案に生真面目にも少々考え込んでしまうだろう。結局彼女が続けた助言のおかげか、少しの間の後にうんと首肯を示そう。)……では、捜索の手伝いをお願いしたい。それでも見つからなければ、その時は交番へと案内してもらってもいいだろうか。(こちらから再度願い出たならば、恙無く捜索は開始されるか。女性たる彼女がいるからだろう、声を掛けた人々は皆好意的であり、忙しないながらにも穏やかな時は流れ――何人目かに声を掛けた女性が「ああ、それ私の物です!どうもありがとう!」と声を弾ませた時、ひと振りも思わず嬉々とした声を上げた筈。)わぁっ、やったぁ!(些か幼くもある口調を露わにした後、ハッと我に返っては「う、うむ、持ち主が見つかって何よりだ」と少々遅すぎる取り繕いの言葉を零す。そうして漸く一段落といった時、差し出された飲料には一瞬パッと笑顔を覗かせた。実のところ、慣れないことの連続で喉はすっかり干からびていたところ。ただ、次の瞬間には再び我に返り、ゴホンと咳払いひとつと共に調子を取り戻すことだろう。)……かたじけない。お気遣い、感謝しよう。(そんな堅苦しい一言の後、水を受け取ったならばその場でひとくち。潤う心地に一息吐いたならば、背筋を伸ばしつつ彼女へと向き直った。)こちらの事情に巻き込んでしまってすまない。……そして、ありがとう。あなたのおかげだ。(折り目正しく一礼をした後、「では、私はこれで」と踵を返そうか。そうして再び雑踏へと戻っていくひと振りの面持ちは、少しばかり晴れやかな様子であったとか。)

02/01 23:17*16

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(捜索という言葉ひとつ取ってみても、少年が真剣であるのは明白である。今時珍しいほどの殊勝さに、笑みが一層柔らかくなった。それから共に公園を歩き始め、訪ね回る先々で快く受け答えをしてもらえたのは一緒にいる少年の真面目さが伝わってのことだろう。やがて持ち主にハンカチを手渡すに至り一安心した折、喜びを露にする少年の声を耳にして目を瞬かせる。)……ふふっ、良かったですね。(年相応に見える反応が可愛らしく、つい小さく笑ってしまい口元を軽く押さえた。少年が気を悪くしていなければいいなと思いつつ、差し出した片方の水を受け取ってもらえたならば、自分は残ったお茶をいただこう。飲みなれた味も、不思議と美味しく感じられた。)どういたしまして。困ったときはお互いさまと言いますし、何よりあなたの頑張りがあったからですよ。こちらこそ、ありがとうございます。(手伝わせてもらったことは元より、ハンカチの持ち主を自ら探そうとする少年の行動力を目の当たりにできた感謝を告げる。会釈を返して、去っていく真っ直ぐな背なを見送ろう。ささやかでも、いいことをした後は気持ちが良いもので、足取り軽く家路へ。)

02/02 12:33*27