(行き交う往来を眺めながら、この全員がどこかしら行く先があることに思いを馳せている。大凡の人間が休日に類されるという日曜の朝でさえ、忙しなく動き回っている人間が、この時代には多い気がした。それに反して、目的はあっても自身は迷子のようなものだ。朝から動き回っていても主や他の審神者に繋がる手掛かりは見つからず、短くため息を落とす。らしくもない。また移動するかと足を動かしかけたところ、ぱらと雫が一粒額を打った。)……っと、なんだ?雨……?(見上げる空は快晴というのに、これが天気雨というものだろうか。やり過ごすためにも雨宿り先を求めて、あるバス停へと辿り着いた。大きな道に広く場所が取られていて、屋根もついており、停留所としても休憩所としても利用できるようだ。有り難く使わせてもらおうと、己の後にやってきたか、それとも先客としてベンチに座っていたか、どちらにせよ話しかけても違和感のない距離にいる相手に声を掛けよう。一休みするために腰を下ろしながら。)変な天気だよなあ。これってなんつーんだっけ?狐の……。(ここまで出てんだけどな、と喉元を示しながら。すっきりしたくて、つい助けを求めてしまう。)
02/02 01:26*24
(見渡す限り人で溢れ返っているとはいえ、目的の人物――とりわけ、自身の主が見つからないとなれば焦りは生まれる。さらには通り雨に降られるという散々な顛末に大きな溜息が零れ落ちるばかり。所持していたタオルを頭上に掛けながらこれ幸いと停留所に駆け込んだのがつい先程の話だ。先客がいたことはタオル越しに気配を察知していた為、軽い会釈の後にベンチへと腰掛ける。そのまま静かに雨が過ぎるのを待つ筈が、まさか向こうの方から声が掛かるとは思わず、その快活な声に導かれるようにタオルを下ろしながら顔を向けよう。)『狐の嫁入り』、だろう?通り雨の通称だが――、(彼の発した問い掛けの答えを口にした、その唇が驚きから空を切る。何せ、そこにいたのは己と同じ刀剣男士であったのだから。)なっ、ぶ、豊前江か!? 何故あなたが……いや、それにしても全く気が付かないとは……不覚だった。(思わず後退るように動揺を露にするものの、同じ身であるとわかれば何ということは無い、すぐに佇まいを直し背筋を伸ばしていた。)……確かに不思議な天気だな。日が照っているというのに雨が降るとは。(ぽつりと呟いた視線の先では徐々に雨が弱まりつつある。やがてその向こうに七色の架け橋が姿を現したなら、思わず瞳を輝かせては取り繕うことも忘れ前のめりのままに彼の袖を引く筈だ。)わあっ、ほら、虹だ……!
02/02 04:46*26
(視界に映した時点で同志とこちらは察していたのだけれど、相手方はそうでもなかったらしい。驚かれてぱちとこちらも瞬きを重ねたが、胸のつかえが取れた爽快感で上書きされた。仰け反りそうな相手に対し、勢いで少し前のめって距離が縮まるか。)そう!それだ。嫁入りな。縁起がいいんだか悪いんだか、よくわかんねぇやつな。(そうだそうだと一頻り頷き、さすが水心子と称賛を送りつつ。)……というか、気づいてなかったんかよ。でーじょーぶか?疲れてねぇ?止むまでは、ちっと休憩しようぜ。(すぐ気を取り直したようにも見えたけれど、案ずるようにその横顔を眺める。まだ一振りで彷徨っているということは、己と同じく成果に乏しいのかもしれない。とはいえ別本丸の個体に明け透けには吐露できないかと、それ以上は深入りしなかった。どういう仕組みなんだろうな、と他愛ない会話をひとつやふたつ交わしていると、やがて空に虹がかかる。おおと感嘆の声が漏れるよりも先に袖が引かれ、視線を空から隣へ移すと、先ほどよりもよほど肩の力が抜けていそうな様子である。ふっと和やかに、口許が緩んだ。)ほーと、きれいけねぇ。……しかもすっげーでか!すげぇ!あれの根元ってどうなってんだろうな……!?(揃ってはしゃいでいたら、いつの間にか雨も止んでいた。彼の手が袖を離れる頃、入れ替わるように手を伸ばし、ぽんぽんと鼓舞の意も込めて肩をやさしく叩く。)いいもん見れたなあ。んじゃ、お互い頑張ろーな。(いいもん。そう告げる時、明らかに瞳は空の虹ではなく、隣の青年を微笑ましげに見つめていたことはさておくとして。ひらりと手を振って立ち上がり、再び捜索へと戻るのだろう。)
02/03 00:26*36
(彼の正体にやっと気が付いた時には、向こうは既に前のめりという状況に翠の双眸は見開かれるばかり。けれど、そんな距離の近さが不思議と嫌ではない――というのは、きっと気風の良い彼の性質故なのだろうとひとり納得の心地を得る。ただ、気づいていなかったことに対して言及が及んだならば、少々バツが悪そうに詰襟を上に引き上げる他無く。)うっ、……慣れぬ地で、知らずに気が緩んでいたのだろう。面目無い。 ……けれど、……そうだな。あなたの言う通り、少し休んでいくとしよう。(未熟さを指摘するような相手ではないとわかってはいても、自ずと気になってしまうのがこのひと振り。硬い一言の後、休息を受け入れたのは相手が彼であったからこそかもしれない。とはいえ、きっと互いに状況が芳しくないことも事実。「うむ、実に興味深いな」などと通り雨について他愛もなく話すことが、どうか互いの息抜きとなることを祈るばかり。――その矢先、虹の出現に嬉々とする様子をまさか見守られているとは露知らず、訛りの混じった彼の言葉にはブンブンと首を縦に振るだろう。)うん、綺麗だし、すごく大きい!根本まで行ってみたいなぁ……! ――ハッ!?(あどけない声を散々漏らした後ふとその痴態に気が付けば、そこで漸く彼の袖口から手を離し「ん゛んっ!」とわざとらしい咳払いを一つ。背筋をシャンと正したなら、きりりと表情を引き締めて改めて向き直るだろう。)大変失礼した。実に貴重な体験だったな。……ああ、あなたの方も健闘を祈る。(彼の指す“いいもん”の正体になど気が付く筈も無く、素直な言葉と共に一礼を。けれど、爽やかな一陣の風のような彼とともに過ごした時間は間違いなく貴重なもので――再び探索へと戻るひと振りの良い気分転換となっただろう。)
02/03 20:21*44