(菓子を買い、雑貨屋へ行き、道中気になった店へとふらりと立ち寄る。途中カフェで休憩を挟んで、また二人現世を堪能して。久方振りの現世は、とても色濃い想い出となって脳裡へと刻まれることだろう。試食を見た時のように彼が知らないことがあれば知識として教えるだろうし、時には揶揄うようなこともあったかもしれない。終始笑顔のままそんな風に繰り返していく間に、少しずつ傾いていく太陽。頭上に広がっていた青空はいつしか紅に染まり、今となってはその姿を殆ど隠してしまっている。)色んなところへ行ったけど、あっという間だったねぇ。(手に紙袋を提げたまま、両手の指を後ろで組んで身体を伸ばす。いつもより間延びした声を夕暮れ時の空へと向けた後で、瞳が本日の主役へと向いた。)……そろそろ帰ろうか、目的の物も買えたし。他に寄りたいところとかない?(早く感じる時の流れの中、刻限は迫る。普段と大差のない涼やかな声音が、最後とばかりに問い掛ける。空へと向いていた、マカロンと同じ色をした海色の瞳は傍にいる彼の隻眼を覗くこととなるだろう。)
06/25 09:55*11
(彼女のいた時代が知りたいと望んだ結果出かけた現世であったが、現存していてもほぼ外など見る機会もなかった刀にとっては、彼女が連れて行ってくれるどの店や場所での光景も全てが真新しく、初めて見る物ばかりで驚きに満ちたものであれは、彼女の言葉通り時間が過ぎるのはあっという間であった事だろう。その間も彼女が常に笑顔でいてくれた事もまた、満たされた一日の一部となっていたが、表情に出す事はないまま共に茜色に染まる空の下帰路へとつく事に。)…そうだな。普段は一日は長いものだと思っていたが。――いや、おれは特には。というかこれ以上は情報量が多すぎて整理しきれなくなるかもしれん。(彼女の隣を歩調を合わせて歩いていると、海色の瞳が覗き込んで問いかけてくる言葉にはゆっくりと首を横に振って返事を返すだろう。だが、何となくすぐにこのまま帰ってしまうのも勿体ない気持ちになれば、少しの思案の後再び口を開くか。)…だが、そうだな。もう少しだけ景色を見て覚えておきたい。滅多に来れるものではないからな、おれは特に。なのでゲートまでは少し遠回りして帰っても構わないだろうか。(こちらも他の頼まれた品物が入った紙袋を片手に下げつつ問いかける言葉を放って彼女の様子を伺おうと。勿論、早く本丸に帰りたいと言われれば大人しくそれに従う心づもりではあるが。また遠回りと言ったが土地勘がなければ歩く道のりは彼女任せとなってしまうはずで。)
06/25 15:07*17
(そっか、と打った相槌はあっさりと響いて。首を横に振ると共に付け加えられた一言に唇からふはりと笑いが漏れ出る。「一つ一つメモでも取るしかないかなぁ?」そんな冗談は、少々間延びしながらやんわりと。彼から外れてするりと前を向いた視界には、ゲートへと続く道が真っ直ぐに映し出されていた。近付いてくる終わりが惜しいようで、寂しいようで。夜の足音が近付くと共に変化していく空気感の中、彼の提案に誘われるかのように再び海色が彼を見遣る。)…そっか、それもそうだね。私も久々に来たし、もうちょっとぐらいゆっくりしても悪くないかな。(真っ直ぐに続く道から、一つ右へと外れよう。ぐるっと迂回して辿り着く先は変わらずとも、二人で過ごす時間は増える。太陽は頭の先しか見えておらず、街が違った彩りに満ちていく。)今日一日色々と見て回ったけど、誉十個分の価値はあった?(夜に侵食されていく空を見上げながら、何でもないように問い掛けよう。――本当は。思った程じゃないだとか、つまらなかっただとか、そんな言葉が恐ろしくはあるけれど。)私はね、楽しかった。今正直に言うと帰るのが惜しいなって思うぐらいには楽しかったよ、鬼丸。…なーんて言ったらあっちこっちから顰蹙買いそうだけどね。(脳裡に過った一部真面目な男士の難しい顔をけらりと笑い飛ばしながら、一歩一歩をゆっくりと進めて行こう。)
06/26 22:36*68
(メモを取るとの冗談めいた言葉には「おれは長谷部ではないから難しいな」なんてこの刀なりにの冗談で返しつつ、口元に微かに弧を描くか。自らの出した提案に、彼女がどう思ったのかまでは計り知れないが、応じてくれたことに安堵の息を小さく零して、迂回するように歩き出したその隣を歩きながら言葉通り景色を眺めようか少しでも多く記憶に刻めるようにと。)この時代は賑やかだか美しくもあるな。――ん?…ああ、そうだな。お…、充分過ぎる程に価値はあった。誉などどうでもいいと思っていた頃を撤回したいほどにはな。(景色を堪能しながら感想を口にした後に問いかけられた彼女からの言葉には、隻眼を穏やかに細め幾分か和らいだ表情で告げた言葉は嘘偽りのないもの。「おれの様な刀には」と言いかけた、再び彼女の笑顔を曇らせかねない言葉は心の中だけでしまう事にして。)……そうか。楽しい、と言うのか。この感情は。そうだな。…おれも、楽しかった。(続けられた彼女の言葉には、自分の中にあるどうにも満たされたような感情が何であったのかを理解して穏やかに告げた後は、再び少し沈黙を保つこととなり。)…なら、まだ帰らなければいい。どうせあいつらは今帰ったとて遅いと文句を言うのは目に見えている。あんたは好かれているからな。ならいつ帰ったとて同じ事だろ。……その、あんたが嫌じゃないなら、惜しいと思ってくれているならやはり、もう少しだけあんたの時間をおれに独占させて欲しい。…というのは駄目か?(先に彼女から問われた時には彼女が帰りたいと思っているならと控えていた言葉を、この刀にしては珍しく多弁に告げたのは、同じ様に惜しいと思ってくれているのならこれぐらいの欲張りは許されるのではないかという微かな期待から。彼女が応じてくれたのなら、視界の先に映ったアクセサリーが売っている露店を見つけてそちらを指さし。)ああいう露店なら、まだ見る時間もあるだろ。
06/27 13:41*83
(本丸で皆と待っているであろう、彼が口にした名前の持ち主を思い浮かべて。「長谷部にメモの取り方習う?」と冗談に冗談を重ねては、落ちつつある太陽の頭へと視線を投げよう。)きっとどの時代も綺麗だよ。時間が流れるに連れて変化はしていくけど、その時々にしかない景色があるもの。でもやっぱり現世が褒められるのは嬉しいかも。――…誉でお願いを叶えるシステム、こうしてみるとやっぱり良いね。私も何かできたら誰かがお願い叶えてくれないかなぁ。演練十連勝!とか?私の力じゃないんだけど。(見慣れた景色が褒められるのは心地良く、ご機嫌に細められた海色がちらりと隣を見て微笑みかける。途中途切れてしまった言葉の続きは、わからないまま。今のところ自分の願いは自分の手で叶えるしかないのだが、具体的に挙げてみた案は結局彼らの手によるものであるから笑みに苦みが溶け合った。何でもないような会話も、のんびりとした時間も、楽しいもので。彼もそう思ってくれていると言うのなら、これ以上のものはない。まるで初めて知り、気付いたかのように言葉を噛み締める彼へと静かな視線を投げ掛けて。「よかった」と。心底から感じたその一言だけを、柔らかな微笑と共に温かな声音で呟いた。会話が途切れてしまえば爪先をゲートへと向けたのだが、彼からの提案に身体はぴたりと止まり、スカートの裾をそっと揺らして彼へと向き合おう。)……いいの?(饒舌さを失えば、驚きと期待に睫毛が上下する。期待に揺らめく海色に彼を映し出しながら、かんばせは柔らかく蕩けていった。頬に差す赤は気分の高揚の所為にして。)じゃあ行こう、もう少しだけ。折角の特別な日だし、私にも鬼丸を独占させて!…って今日は鬼丸の特別な日なんだけど。私お誘い受けただけだしね。(照れたように持ち上げた指先で耳飾りを触って、露店へと歩き出そう。太陽の姿は既に見えなくなっていた。)
06/27 15:33*85
確かにそうなのかもしれんが、おれにとってはあんたのいたこの時代が一番美しく見えるな。(どの時代もとの彼女の言葉には同意するように頷きながらも零した言葉の意味は説明しないままに、表情のみを和らげて見せるのだろう。冗談には「遠慮する」なんて軽く肩を竦めて見せるも、続く彼女の言葉には少しの思案の後、)ふ、あんたのお願いなら本丸の者達揃って叶えようと必死になるだろ。演練十連勝も容易いだろうな。(等と、誰が主のお願いを聞くかで張り合う光景が容易に想像出来れば、思わず笑みを零してしまう。そこには、張り合う連中の輪の中にはおらずとも密かに叶えようと企む己の姿もきっとあるのだろうが。問いかけに対しては、自分の発した答えに柔らかに微笑んでくれる彼女の姿を目にしては、秘めたる想いをまた募らせていくのを実感しながらなんとか平穏を装う事に努めるだろうか。だが、提案に対しての彼女の反応にはしっかりと頷き、)良くなければ言わん。…独占は好きなだけすればいい。それもおれにとっては褒美だ。(とだけ、けれどいつもの突き放すような声色ではなく穏やかなそれで返せば、浮かんだ彼女の表情には微かに眩しそうに目を細めてから共に露店まで歩いていく事に。)…ほう、手作りの物を売っているのか。どれも良く出来ているな。――…、あんたはどんな物が好みなんだ?(もう日も落ちて辺りは薄暗くなったが、それでもこの時代は建物等明かりのおかげか明るく思える中、露店の前へと。手作りとは思えないほど精巧で美しく出来たアクセサリーの数々を見て感嘆の声を漏らしつつ眺めながら、気になっている事を自然にとを装って問いかけてみる。やはり今彼女が身に付けている金の耳飾りのような物を好むのだろうか、などと考えを巡らせながら彼女からの返事を待っている間にも視線を走らせていれば、目に止まったのは幾つかある金色のブレスレットのうちの一つではあったのだけれど。)
06/27 21:10*96
そう?それは嬉しいかも。…じゃあ、また一緒に来ようね。(彼の隻眼にはこの時代が一番美しく映ると言う。和らげられる表情から読み取ろうとはするけれど、どうしたって都合の良い方にしか転がらないものだから次へのお誘いへと変えてしまおう。照れくささを隠すように、賑やかに張り合う本丸の皆を思い浮かべては。)やる気十分なのは審神者としてとっても嬉しいんだけど、編成決めるところから大変なことになりそうな気がするわ。(誰も彼もが癖の強い男士たち。限られた枠を取り合う姿が脳裡へと描かれれば、可笑しそうに肩を揺らして。そんな賑やかな場所へ戻るのをもう少しだけ先延ばしにしたのなら、)……そう思ってくれるなら幸せだな。(飾り揺れる耳元へと届いた声の穏やかさにつられるように、口元が緩む。ずっとずっとこんな時間が続けば、なんて願いは胸の奥底へと上手に隠して歩き出そう。露店を覗けば光受けて輝くアクセサリーの数々、瞳は首擡げた興味のままにそれらを映し出していた。)本当に、可愛いのから綺麗なのまで揃ってて目移りしちゃう。…んー?デザインがシンプルなのが好きかな。(返答を口にしながらも視線はアクセサリーへと向いたまま。ピアス、ネックレス、リングにブレスレットと種類も多々あれば色も様々。ふと思いついたように顔を上げれば、隻眼を見上げて唇を開こう。)今日の想い出に一つ買って帰りたいんだけど、…あの、良ければ鬼丸が選んでくれない?(自分で選ぶのではなく、彼に選択を委ねようと。今日と言う一日が大切で、本当に楽しかったのだと形として証を残したかったから。何でもないように口にしたかったのに、少し間が挟まってしまったのは失敗だったかもしれない。彼を見上げながら小首を傾げ、鼓動が急くのを感じながら返答を待とう。)
06/28 10:05*115
(また一緒にと告げられた次への誘いの言葉には「おれでよければ是非」と返すも声色に自嘲めいたものはなく。褒美に対する彼女の言葉にも容易に枠を巡って主張し合う仲間達の姿を想像出来れば再び口元に弧を描いた。皆今の主である彼女の事を心から大事に思っている事は、この刀なりに理解しているがその上で自身もまたそれらに負けぬぐらいの思いでいれば、)なら、一枠はおれで埋めておけ。悩むのが一振り分減るだろ。(等と他の刀が聞けば抜け駆けだと言いかねない事をさらりと事も無げに告げたりしながら赤眼を可笑しそうに笑う彼女へと向けた。自身の返事に対して零された彼女の言葉には、彼女がそう思ってくれるのであれば何も言う事はないと表情をより一層穏やかに和らげるだけに留めたけれど。)…ふむ。シンプルな方が良いのか。(露店に辿り着いた後は、己の問いかけに対する彼女の返事を耳にして赤眼はシンプルな装飾の物を映すも、自身に選んでほしいと言う彼女に言葉には隻眼を軽く瞬かせた後、)おれが、か?構わないがセンスはないぞ。(前置きを入れるも、何がいいかと物色する目は真剣そのもので。幾つか目ぼしい物にあたりをつける中最終的に選んだのは、先程目を惹いた金色の細めのブレスレット。一部分だけ桜の花の柄が描かれており花弁の部分が彼女の髪色を現す桃色の石が埋め込まれているもの。)…これはどうだ?あんたによく似合うと思うが。(と彼女の方へと差し出して意思を問うように見つめる。彼女が了承してくれたならそれを彼女よりも早く店員へと手渡し支払いも済ませてしまうだろう。だが包装された品物を受け取る時店員から微笑ましげに「彼女への贈り物ですか?」と告げられると、咄嗟に開きかけた口を少し戸惑う様子を見せた後一旦閉じて軽く頷き、)ああ。いい品がないかと探していたんだが見つからなくてな。…ようやく見つけた。(と放った肯定の言葉は彼女にどう届くのか。)
06/28 13:58*121
(彼で良いのではなく彼が良いのだとは口が裂けても言えないまま、笑顔の裏へと押し込めて。この先頭を悩ませることになるやもしれない編成については、きょとりと鳩が豆鉄砲を食ったような姿を見せた。)じゃあお言葉に甘えて編成しちゃおう。ついでに隊長でもいい?(一番初めの一枠を彼が埋めてくれるののなら、これ以上なく安心だ――と言うのは他の男士には秘密のお話。いつからか特別になっていた彼と言う存在と一緒に過ごした今日一日。本丸に戻ればきっと今まで通りの二人になってしまうのだろう。けれど。彼が選んでくれた物が傍にあれば、ずっとずっと心強い気がして。)センスなくてもいいよ、気にしない。そう言いながらセンスあるもの選ぶんだろうなと思ってるから。(本当か否かはわからないが、例え何を選ばれようと否定するつもりはないとからりと笑う。お願いごとにしては大胆だったろうかと刹那後悔もしたけれど、どうやら選んでくれそうな空気感に口角が緩んだ。アクセサリーを見る彼の横顔をちらりと見遣っては幸せに浸り、声を掛けられたタイミングでふと現実へと返ろう。差し出されたそれへと視線が落ちれば、ライトに反射してきらきらと輝く金色のブレスレットを映し出す。)やっぱりセンスあるよ、鬼丸。すっごく気に入った。(彼が選んでくれた特別な品、それを店員へとお願いしようとした矢先のこと。)え、ちょっと?(スマートに進んでしまう会計に躊躇いながら、ぽかんと置いてけぼりの状態だった。予測していなかった彼の行動を目で追い掛けながら、店員の言葉に肩をぴくりと揺らす。)――!?(合わせる返答に言葉を失えば、空気を求めるかのように唇を震わせるだけ。急ぎ始めた鼓動を抑えるべく胸元へとそっと手をあてては、店員にお礼を告げてから店先を離れよう。動揺が顕著に表れた結果、少しばかり早足だったかもしれない。)…あの、さっきの、…ちょっと自惚れそう、かも。
06/30 13:58*169
他の連中を護っている余裕がなくてもいいならな。(隊長との言葉には枠の位置には特にこだわりもなければ返す返事はいつも通りのもので。だが、選んでほしいと願われた後の言葉には微かに眉目を潜め、)おい。ハードルを下げたいのか上げたいのかどっちだ。(なんて軽口めいたツッコミをからりと笑う彼女へと送ったはず。どうしたって自分には今日の服を選んでくれた燭台切の様なセンスがないのを自覚しているも、彼女の頼みとあれば選ぶ姿は真剣にならざるおえず。最終的に選んだのは自身が彼女に一番似合うと思った物となったが、どうやら彼女のお眼鏡に叶う程の代物ではあったようだと内心安堵の息をついたのも束の間、彼女より先に代金を支払ったのは、それが本来の目的であったから。それよりも問題なのはその後に発してしまった己の本心だろう事を理解すれば彼女の反応は見れないままにこちらも足早に露店の前を離れる事になるのだろう。けれど彼女からの言葉には、足をピタリと止め、)…そういう意味で言った。と言ったらどうする?包丁達の事は誘うただの口実で、こうしてあんたを独占する時間が欲しかったと。…そう口にしたら、不吉な刀が何を不気味な事を、と気味悪がって距離を取るのか?(かつて刀でしかなかった己を手放した彼らのように。静かに抑揚のない声で問いかけ彼女を見据える赤眼はどこか寂しげに揺れていたかもしれず。だが、彼女が答えを発するよりも先にふ、と表情を一変して穏やかに笑むと、)…すまん。意地の悪い事を言った。本当は分かっているんだ。想いを受け止められずとも変わらず他の刀達と同様に接してくれると。…そういうあんただから想いを抱いたのだしな。(穏やかに告白を交え告げた言葉は偽りはなく、手にした包みを差し出す。)…まだ、言うつもりはなかったんだがな。……おれの想いを受け取れずともいい。だが、これは受け取って欲しい。此処に来た本当の目的だったから。
06/30 21:59*183
(彼らしい返答に笑いながら、演練十連勝を目指すのも悪く無いと改めて思う。この件については本丸へ戻ってから再度話題に出すとして。「どっちかって言うと上げたい?」と正直なところを首傾げて明るく口にすれば耳飾りが揺れた。二人で出掛けた、今日の想い出を彩る一つになればいい。そんな軽い気持ちであったし、願いであった。ゲートへと遠回りで向かう途中にこんな話題が上ろうとは露程にも思っておらず、突然の展開に瞳は泳ぐ。勘違いだ、自惚れるなと自制をかける自分と、もしかしたらなんて淡い期待。それを彼が全て打ち壊していけば、いよいよ頬に止まらず耳元まで熱が広がるのを感じた。幸い太陽は落ちているし、そう目立たなければ助かるのだが。一つ一つ、彼の言葉を聞いては脳が必死に理解しようと試みる。これは夢なのだろうか。指先がスカートへと触れる感覚は確かにあるのに、足元がふわついているようにも思えて妙だった。)……っ、い、(差し出されたそれよりも先に、海色に彼だけを映して一歩を詰めよう。声が震える程に必死だった。一度途切れた声を絞り出すようにして、彼を見上げながら唇を割る。)言うわけわけないでしょ!?いつ私が鬼丸のこと不気味だなんて言ったの!(彼の表情が穏やかなのがより一層此方の感情に波立たせる。箍が外れてしまったかのように、人一人分の距離も空けない程に詰め寄れば間近で彼を見上げて感情のままに言い返そう。)…もしも本当に私のこと好きだって言ってくれるなら、……一緒にいて欲しい。今度は万屋街にも行きたいし、意味なく二人でゆっくり歩いたりもしたい。私の特別は鬼丸だけだから。(恥ずかしさのおかげで、先程までの勢いが嘘のよう。声が急速に小さくなっていく。)…審神者なのにこんなこと思うの、気持ち悪いって思わないで、欲しいよ。(ぽつりと、願いと一緒に視線が落ちる。包みは受け取れないままだった。)
06/30 23:18*187
(正直なところを言えば、彼女へと送った恋慕の言葉の数々は、また口にするつもりではなかった。今日、この時までは。本当に二人だけの逢瀬の時間を過ごして彼女に何か贈り物が出来ればと、そう思っていただけではあったのだが、口にしてしまったものを撤回する事は出来なかったし、する気もなければ後は彼女の反応を待つしかない。が、彼女の口から零された言葉は、己の想像とは全く違ったもので隻眼は大きく見開かれる事になり。言い返された彼女の言葉には、)……は?(なんて思わず間の向けた声を零してしまうこととなるのだが。)い、いや、だからあんたが不気味がらないとは分かっていると言っているだろ…いや、そこじゃない。……おれで、いいのか?(彼女の言葉が何を意味しているのか、女性の気持ちの機微に詳しくはないと言っても理解できない程鈍くはなければ、放つ言葉には動揺と信じ切れずにいる色がありありと感じ取れていた事だろう。差し出した手はそのままに。)好いていると言ったおれがあんたの事を気持ち悪いと思うはずがないだろ。……そうか。…おれは同じ事を言ったんだな。(小さくなりながら告げられた言葉には、憮然とした様子で返すもすぐに自分が言った事が彼女にとって同じ意味を持つものだと理解すればそれでも特別だと、共にいたいと告げてくれた彼女の想いに泣きだしたいような気持ちを抱きながらも発した言葉は、微かに震えていたかもしれず。)……すまなかった。だが、もう一度言わせてもらえるなら……おれも共にいたい。誰よりも近くにいて一番に護っていたい。二人だけの時間も今日だけではなくこれからも持ち続けたい。……本当は想いも受け入れて欲しい。特別だと言ってくれるのならこれはおれの気持ちとして受け取ってくれないか?(言葉を選びながら告げた告白は、この刀が表せる精一杯の真剣味をおびたものだが彼女に届くだろうかと窺う赤眼は微かな期待と不安に揺れて。)
07/01 03:26*194
(己は審神者であり、越えてはならない一線があることは理解していた。それでも好きなものは好きだし、感情を綺麗に制御できる程熟してもいない。ぐらぐらと揺れる不安定な心を、彼の言葉がより一層傾けていく。金ピカな初期刀と一部にバレバレだった恋心は、もう隠せるものではなくなっていた。足元を見ていた海色がおずおずと上へと戻れば、まずは彼の言葉を正すところから。)鬼丸“が”いい。(妥協しているわけではない、彼が彼であるからこその気持ちなのだと伝えるように海色が彼を射抜く。彼のことを不気味がるはずがないように、彼もまた此方のことを気持ち悪いとは思わない。きちんと届く声を聞きながら唇を引き結び、緊張に震えそうになる手の指先へと力を籠めよう。――まるで夢のような、ふと気付くと布団の中で目が覚めてしまいそうな妙な心地のまま彼の言葉を聞いていた。徐々に視界が滲み始めたのは御し切れない感情の所為。そっと深く呼吸をすれば、夜の空気に少しだけ緊張が解けたような気がした。)…私も鬼丸と一緒がいい。他の誰かじゃなくて、鬼丸じゃないと嫌なの。これは審神者じゃなくて、私個人の望み。私の特別は鬼丸だけだよ。(先程受け取れなかったそれを彼の言葉と気持ちと一緒に受け取るべく、ゆるゆると持ち上げた指先が彼の方へと伸ばされる。反して、鼓動の方は急いていた。)……いつから好きだったかははっきり覚えてないんだけどね。気付いたら特別になっちゃってたの。だから、今日誘ってもらえて本当に嬉しかった。蜂須賀にも色々相談しちゃったぐらい。(磨かれた爪も、色々と考えた服装も、少しでも彼の隻眼に良く映ろうとしてのこと。困惑と照れが混在した、柔らかな微笑が浮かぶ。指先が困ったように頬へと触れれば、伝わる熱を冷ますかのようにすぐにはたはたと扇いで。)
07/01 22:56*216
(鬼丸がと訂正された言葉に、自分の中の何かが満たされていくのを感じる。自分が良いと求めてくれる者などもう二度と現れる筈もないと思っていたし、自分の想いが報われる事もないと思っていたのだから。けれど、彼女からの一言一言で、凝り固まった思想が少しずつ溶けて行くのを実感すれば、自然の浮かんだ表情はきっと今まで一度も浮かべた事のない満たされた穏やかな笑顔であった筈で。)……そうか。有り難う。おれを望んでくれて。――おれにとっても、特別なのはあ…遊月だけだ。主としては勿論だが、一人の女性として愛しく思うのも。(彼女以外いらないのだと。己の中で一番大切だと想う人物は。はっきりそう告げる口調は先程よりもずっとしっかりしたもので。包みを受け取ってもらう瞬間もしっかりと赤眼で捉えれば、ほっと安堵の息をつくも、想いを告げた事に対する気恥しさは左程感じないのは告げてしまった強みからか、それとも、本丸に戻り一人部屋で思い返した時に一気に溢れてくるのかのどちらかなのだろう。恐らくは後者ではあるのだが。)…それはおれも同じだな。いつからと問われるとはっきりとは言えないからな。…そうか、だからあいつまで…。(と、微かに苦笑して零したのは、彼女を誘ってから今日まで意味深な笑みを向けて来た刀達の一人に蜂須賀の姿も見られていたから。)…言っておくがおれは一度欲しいと望んだものを手放す気はないからな。覚悟しておけよ。(と告げて照れ臭げに扇ぐ彼女の手をそっと自らの手で取り、避けられなければその手の甲へと口づけようと試みよう。手の甲への口づけは純粋な愛情の現れ等を意味するものであれば彼女の反応を窺うように赤眼を向けた筈で。その後はその手を放さず握ったまま、)……帰るか。(静かに告げて手を引くように歩き出すのだろう。戻れば考えるべき事は色々とはあるのだろうが、後もう少しだけは満たされた気持ちに浸りたいと願いながら。)
07/02 02:52*226
(彼が良かった。彼だけが持つ色、声、心。その全てが大切で、愛しくて。言い返すように訂正をしたけれど、名前で呼ばれれば次に硬直するのは自分の方。はたと時を止めたように、瞼を上下させることも忘れて彼の穏やかな笑顔を瞳に映していた。数秒、もしくは十数秒。恥ずかしさが徐々に首擡げ始めれば、心が何処かそわそわと落ち着かない。)そう直球で言われるとちょっと恥ずかしい、けど。…嬉しい、これ以上ないぐらいに幸せ。(愛しいと思う相手に愛しいと思ってもらえる奇跡に、眼が細められる。未だ夢のような心地のまま、手の中にある包みをじっと見ていた。今日と言う一日が確かにあった証は、明日からすぐに手首に輝くことだろう。)案外、恋ってそういうものなのかもしれないね?…帰ったら色々聞かれそうだからその辺覚悟しとかないと。(気付けば咲いてしまっているものなのだとくすりと笑いはするけれど、本丸に帰ってからあれやこれやと聞かれるであろうことを想像すると何とも言えずに眉が下がる。親身になってくれた彼らに早く伝えたいような、やっぱり恥ずかしいような。頬の熱が冷めないままだと言うのに取られた手に疑問を覚えながら、海色が彼の方へと向いて。油断していた視界に飛び込んできた光景と手の甲へ触れる温もりに、双眸が綺麗に丸くなる。落ち着きつつあった鼓動が再び駆け出してはふるりと唇を震わせた。耳元まで赤くなるのも致し方のないことだが、手を引かれるままに足は力なく一歩を踏み出した。)…私だって手放すつもりなんてないし、もう嫌って言われても絶対離れてあげないから。(手を引かれ、半歩後ろを歩きながら彼へと告げよう。赤いままの頬では強がりに聞こえるかもしれないけれど、確固たる決意である。空いた半歩を埋めるように少しだけ足を速めれば、繋ぐ手はそのままに身体を寄せ隣を見上げては微笑を浮かべよう。幸せな日々は、まだ始まったばかり。)
07/03 20:56*259