(一つ、また一つ。少しずつ、けれど確かに増え行く誉は漸く両手の指の数と同じとなった。十。必要とされる数を満たした日の夜、主の部屋を訪れることとなるだろう。襖の前で膝をつけば、「主、一期一振です。」と向こう側へと声を掛けて。許されるのなら襖をそっと開くだろう、そうでないのならそのまま話を聞いてもらう心算。常と変わらず落ち着いた月色が淡茶の瞳へと注がれるかはさておいて。いずれにせよ、主の性格を考慮して十二分に距離は空けたまま。)夜分に申し訳ありません。主、十の誉と引き換えにお願いがあって参りました。…一日、主の時間を頂きたい。私の非番の日に付き合ってもらいたいのです。(物腰柔らかく、落ち着き払った声音が主への願いを紡ぐ。彼女の反応や返答がどうあれ、誉を集めたのは事実だからと爽やかな笑みで我を通そう。――して、非番の日。空は透き通るように青く、時折身体を撫ぜる風は優しい。正門前にて待ち人が来れば、僅か浮かんでいた緊張の糸など隠してしまおう。想い人の前で格好悪い姿を見せたくはなかった。)願いを聞き届けてくださること、感謝申し上げる。今日は楽しい日にしましょう。(一人と半分ほど開いたままの、彼女との距離。埋めてしまいたいのは山々なれど、逸る気持ちを抑えながら微笑みかけよう。)
06/17 23:05*39
(誉が十個の決まりごとは、自分から提案したもの。日頃の感謝を込めて。そして、自分のことで男士たちに気を遣わせているから、お詫びの一つになればとの思いで。今回誉が十貯まった太刀が夜に部屋を訪れたなら、驚いた様子で迎えただろう。夜空に浮かぶ月よりもその色が近くで見られたら、すぐに目を逸らしてしまったけれど。)は、はい。……えっ?(ひそかに思いを寄せるひとが告げた言葉が頭から離れなくて、布団に入ってもなかなか眠れなくて、次の日寝不足となる自分がいたのだった。――当日、急いで正門前へと向かえば既に彼の姿が。やさしい風を受けながら凛々しく在る姿は見とれてしまいそうだったけれど、そうもしてられない。)す、すみません、お待たせしました……!い、いえ、とんでも、ないです。……は、はい。よろしく、お願いします。(彼とは十分距離が開いているというのに、それでも緊張してしまう。――今日のことを初期刀と近侍に報告すると、服は、アクセサリーは、という調子で面倒をみられてしまった。「着物はやめておきなさい。きみ、何かやらかしそうだ」とのことで、白と水色のストライプシャツワンピースに袖を通し、靴は白のパンプスを。「アクセサリー持ってないの!?」とおしゃれの疎さを怒られもした。仕上げに薄化粧をほどこしてもらったこの出で立ちは、少しは大人っぽくなっているだろうか。)今日は、お買い物でしょうか……何か、お探しですか?(なかなか相手の目を見られないまま尋ねよう。楽しい日に、という言葉にうぬぼれないために。)
06/18 01:46*48
(誰に対しても一定の距離を保つ主。逸らされる瞳が寂しくもあり、誰相手でもそうである現実に安心してもいた。その瞳が誰かを見詰めて微笑むことが無いと言うのであれば、心に余裕を持たせられると言うもので。)そうですな、買い物と…甘味処にでも。これと言って明確に欲しいものは無いのです。暫しのゆったりとした休日を、主と過ごすことができたらと。(静かに輝く月のような金は、此方を向かない瞳へと微笑ましく向けられる。日頃よりも女性らしく映る主の姿――状況がそうさせているのか、はたまた彼女も少しは意識してくれたのか。)…普段よりも素敵に見えます。良くお似合いですよ。では、行きましょうか。一日は案外早いものです。(その姿に誰かの協力があったのかどうかはいざ知らず。嘘偽りの無い誉め言葉を真っ直ぐに告げたのなら、晴天の下を歩き出そう。彼女の歩幅に合わせて、ゆっくりと。)そう言えば。こうして誉と引き換えに、今まで何を望まれましたか?(二人分の足音が響く中、過った疑問をのんびりと口にする。殆どは興味本位であるものの、自分と同じような目的を持った刀もあるやもしれないと今更ながらに思ったからだ。)勿論、秘められるべきものであるのなら無理には聞きませんが。(かんばせに浮かべた笑みに苦色が混じるが、難色を示されないなら答えを聞いてみたいところであった。ずっと視線を向けられるのも息が詰まるだろうかと、双眸は前へと向いて。真っ直ぐに続く道と、澄んだ青。平和な世界が其処に在る。)
06/18 19:53*76
そうでしたか。一期さんは、あまり無駄遣いをするイメージはなかったですが……。いいですね、甘味処。……え?……な、なるほど。(衝動買いはせず、計画的にこつこつとお金を貯めて、熟考して、それでも欲しければ買う。そんな堅実的なイメージが勝手にあるものだから、彼の言葉が彼らしく感じる。甘いものが好きだから、『甘味処』というワードに顔を上げて。それが彼と目を合わせるきっかけとなったなら、そのまま目を丸くして彼の言葉を聞いていただろう。)そんな……きょ、恐縮、です。あ、ありがとうございます……。すみません、私ばかり……いえ、あの、一期さんも……その、はい、素敵です。(褒め言葉も然り。次第に頬に熱がたまっていくようで、手汗も出てきて、これ以上月色の瞳も見ていられない。この装いは自分一人ではできなかった。彼に相応しい大和撫子にはなれそうもなく、憧れることも烏滸がましいような。小声で伝えるのがやっとの思いが、無事に彼に届いていることを願うばかり。――万屋街を目指す歩みがゆっくりとしたもののおかげで、少しは落ち着きを取り戻す。)何を望まれたか、ですか?大丈夫ですよ、ええと、そうですね……、(ふとした疑問を尋ねられれば、どうだったかと思い出そう。彼の気遣いには、自分もそういう人になれたらと尊敬するばかりで。)休みがほしい、あれを買ってほしい、というものが多いでしょうか。あとは……私がこうですから、一緒にあれを食べに行きたい、ですとか……懐に入りたい、膝枕してほしい、だとか。ショック療法、でしょうか。(ぼかしつつも挙げた例だけれども、察しがつくものも混じっていたはず。思い返してみると実に様々で、ほんの僅か口の端を上げて。男士たちはいつも優しい、と。)
06/19 02:37*97
(元より物欲が強い方でもないもので、主の言う通り無駄遣いと言われるものはしてこなかった。ささやかな幸せが傍に在れば十分であると、交わる視線の先で月を細めて。漸く彼女の瞳に映ることができたと思えば心は喜びに弾むけれど、決して表情には出さず。)ありがとうございます、お褒めに与り光栄ですな。(まるで軽口を叩くかのように、涼やかな声音が笑いを伴って彼女の元へと返るだろう。誰に間を割られることもない二人だけの時間。大切に、味わうように少しずつ進む道の途中での会話の内容は自ら振ったものではあるけれど。)はは、休みが欲しいと思うのも何かが欲しいと強請るのも自由ですからな。(願いの内容としては一般的であろうそれらにはからりとした笑いを。後々に続いていった願いは、彼女曰く荒療治。ふと思考遮り胸を曇らせた感情は見て見ぬ振りをして、苦笑を浮かべると同時に唇から小さく息を漏らした。)主を思ってのことと言うのも理解はできます、主は皆から好かれていますから。…しかしながら私がとやかく言えるものではありませんが、あまり無理はなさらぬよう。無理なものは無理だときちんと告げるのも大切ですよ。(彼女が了承したのだから部外者が後々に口を挟むのもどうかとは思うが、この声色から心配しているのが少しでも伝わればいい。そんな風にゆったりと話をしている間に万屋街が見えて来るだろうか。)折角ですから主の気に入りの店など教えて頂きたく。思い付くものはありますか?(晴天に恵まれているが故かそこそこに人で賑わう万屋街、二人揃って足を踏み入れては、変わらずゆったりとした足取りのままでそう尋ねた。)
06/21 11:49*159
(小声の思いも相手にしっかりと届いてくれたようだ。ほっとすると同時に、前向きな気持ちになれるような。また機会があったら、ちゃんと伝えよう。そう決意する最中も、かちんこちんに硬い表情だったはずだけれど。)誉の決まりごとを設けてよかったです。好かれて……もらえていたら、嬉しいです。私も、みんなと仲良くなりたい。い、い……い、一期さん、とも……。(手をぎゅっと握りしめて。――よし、言えた。ひそかに少し自信をつけると、言葉を続ける。)無理は……そうですね、意を決して、という時もありましたが。でも、できた時、私も嬉しかったりするんです。みんなと打ち解けられたかも、って。……ありがとうございます、一期さん。気持ちが、楽になります。(彼が伝えた言葉からも、声からも主を思いやる心が窺えた。彼の言葉を忘れないようにしたいと思う頃、万屋街が見えてくる。ゆったりした雰囲気はそのままに、お気に入りのお店を問われ浮かんだ店は、)えっと、本屋さんにはよく行きます。お菓子作りに力をいれたくて、料理本を見たりだとか。あとは雑貨屋さんと、食べ物屋さんに……。(本屋は万屋街の端の方、雑貨屋は中間あたりにあった。食べ物屋は、道中話に出た甘味処が好き。それから、)あ、ここのお団子、食べたことありますか?(賑わう大通りの始まり近くにある団子屋を指差して。その場で買って食べられる店もお気に入りだったのだが、彼も食べたことがあっただろうか。ふたり空いた距離のままで尋ねてみるけれども、万屋街の賑わいを目の当たりにすると、振り向いた先に彼がいるのか不安になってしまって。「一期さん、」と探すような声で呼んでしまっただろう。)
06/21 21:52*173
(主が本丸の者に好かれるのは彼女が彼女であるが故だろう。同時に、皆彼女に好かれたいと思っているし、この一振りとて同じこと。硬い表情は変わらずとも主の唇から紡ぎ上げられた願いはどのような色を持つものだろうか。月色がはたりと瞬いて、すぐに緩やかに細められる。)……主がそう願われると言うのなら、勿論。仲良くなりたいと思うからこそ、こうして時間を頂戴しているのですから。(わかりきったことを改めて口にするのは、少しでも気付いてもらいたかったから。慕っているのだと、他よりも近い距離にいたいのだと。見守るような色をした優しい月が二つ、主を映し出していた。――気持ちが楽になる、だなどと。穏やかな水面が僅かに波を立てるような心地だった。ただの独占欲が齎した言葉を密やかに反省しながら、にこりと笑みを返すことで答えとしよう。ゆっくりと進んで行く時間の中、ここからは彼女のことを知りたがる。)なるほど、では時間が許す限り順に回っていきましょうか。(考え込むように白の手袋に包まれた指先を顎へとやりながら、主へと言の葉を向けよう。大雑把な予定ではあるけれど、その方が楽しみも増えると言うもの。付かず離れずの距離を保ったまま、次なる話題への答えを紡ごうとしたのだが。)此処に。主を見失うような真似はしません、どうぞご安心を。(主が振り向いた先には、右手を胸に添え穏やかな微笑を携えたままの男士の姿があるだろう。周囲のことを見ながらも主の姿を失うことだけは決してしない。)…もう少しお傍へ寄っても?(あくまでも彼女の安全の為に。そう言い聞かせながら、賑やかな万屋街に負けないよう彼女の元へと声を届けよう。)
06/23 09:16*225
(仲良くなりたい、そんな思いを抱いていたのが自分だけではなかったのだと、しっかりと分かってしまった。気苦労させてばかりの男士から言われたなら嬉しくないはずがなかったし、それも彼からの言葉であったなら。握りしめていた手からじんわりと汗が出て、頬も熱い。なんとなく優しい瞳がこちらを見ている気がすると、顔を隠すように少し俯いて。スカートに手のひらを擦り付ける。)……一期さんも、歩いている途中で気になるお店があれば、言ってくださいね。よく寄るお店などがあれば、そこも、その、わ、私も……知れたらと……すみません。(なにやら考え込んでいる様子を感じ取ると、隙ありとばかりに彼の横顔を見上げる。万屋街を回るルートが大体決まったものの、自分ばかりが楽しいような気がして。彼のお気に入りのものが知りたい。その主張は主として少し出過ぎただろうか。思いびとが相手だからこそ気掛かりで、いつもの癖が口から出た。――そんな必要以上の不安だって一つの要因だったのだろうか。不安で慌てて振り返る、けれど。)あっ……ありがとうございます。(微笑みをたたえて、心強い言葉をかけてくれる太刀の姿。もう、大丈夫な気がしてしまう。)は、はい。……あ、いえ、私が、そばに、寄りますっ。(そうだ、自分からも行動しなければ。手を握りしめ、仏頂面でじりじりと彼に近寄る様子を通りゆく人が、団子屋の店員さんが不思議そうに見ていたかもしれない。彼も驚いているかもしれない。ただ隣に並び立つ。普通なら一瞬でできるその行為に数秒かけ、彼を顕現して初めて、ふたりの間を人が通れないほどの距離で並ぶ。)……この、距離で……ちょ、挑戦してみても、いいでしょうかっ。
06/24 00:29*245
(叶うのであれば、誰よりも主と近い存在でありたかった。近くに寄るのが難しくとも、心だけは。そう思い始めたのはいつの頃だったか、記憶は朧気だけれど。主のことを知りたいと願うように主もまた此方のことを知りたいと言ってくれるのであれば、都合の良い勘違いを引き起こしそうでもある。)えぇ、勿論。よく寄る店…でしたら茶の美味しい店があります、其方はもう少し先ですので後で寄るとしましょう。(気付かれないようそっと深く息をすることで気持ちを整え、主の願いへと首を縦に振ろう。知りたいと思ってくれることは嬉しいもので、月色が喜色滲ませ細められる。気分が高揚する中でも冷静さは保っているし、より彼女の存在に集中しているとも言えるだろう。普段通りの距離でも見失ったりは決してしないが、許されるのならと――思ったのだが。得られた許可に礼を告げようと開きかけた唇は、続いた彼女の声音に遮られる。意を決したような、聞き間違いのような。幻聴だろうかと思いながらも、確かに二人の距離を縮めようと努める主の姿が月色に映る。少しずつ、時間を掛けてゆっくりと。何も知らない人が見れば不審かもしれない、目を引くものかもしれない。彼女が掛けた数秒を、口を閉ざしたまま見守っていた。今初めて並び立つ、主と自分。普段よりも近い距離で主を見下ろしたのなら。)…えぇ、勿論。主が自ら歩み寄ってくれたこと、とても嬉しく思います。(普段とそう変わらない声音で届けたかったけれど、柔和でありながらも確かな喜びが滲み出てしまっていた。上から見下ろす月色に、今までで一番大きく主の姿が映り込む。許されるのならその姿をもう少しだけ瞳に焼き付けて、落ち着いた頃に歩き出そう。二人きりの時間はまだ始まったばかりなのだから。)
06/25 10:25*270
(男性に対しての恐怖心は時間と共に和らいでいた。もし自分が審神者でなかったら。男士たちとの関わりがなければ、彼との出逢いがなければ、苦手意識はもっと拗れていたかもしれない。もっと、自然の成り行きに任せていたかもしれない。仮定の話が次々に浮かんでくるくらいに、今の自分は変わろうともがいている。)お茶、お茶……緑茶ですか、紅茶もお好きですか?いいですね、ゆっくり過ごす時間も必要です。……お茶のお店、楽しみです。(快く教えてくれた彼のお気に入りの店を忘れないように、何度も心の中で唱える。少しずつ、彼のことを知っていく。ちょっとした会話のつもりでも緊張を伴うものだけれども、知れたらやっぱり、嬉しい。彼との距離が近づけば、もっと、きっと。)……ふう。……あ、いえ、ため息ではなくて、き、緊張しています……!(いつの間にか息をつめていたようだった。普段では考えられないくらい近い距離で並び立てたら、忍ぶこともなく息をついて。それから正直に今の気持ちを打ち明けた。)……う、嬉しいですか?……よ、よかったです。私も、同じ気持ちだったから……。変な主ですが、あらためて、よろしくお願いします、一期さん。(彼の言葉が、普段以上に感情が露になっているようで、どきりと心臓が跳ねる。そろりと見上げると、すぐそばで月色の瞳がやわらかく輝いている。自分も同じだと伝わるように、目を逸らさずに言葉にしよう。少しずつ、浮かべる表情も仏頂面から力が抜け始めているはず。)……では、行きましょう。……あ、そうです、一期さん、あのお団子屋さん知っていましたか?(――そうして歩き出して、当初の聞きたかったことを思い出して尋ねてみる。なにが好きで、どんなことに興味があるのか。少しずつ、ゆっくりと、おたがいを知る時間は始まった。)
06/25 17:30*272