ハプニング!目の前を歩く人が何かを落とした。お財布のようだ、教えてあげなくちゃ!
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(外出の際は必ず誰かを伴うように、という言い付けは本丸の幾人かからのもの。というのも、すぐに彼方此方へ寄り道をしてはなかなか帰って来ないからである。だからこそ付き合いの良い刀を捕まえて度々夕方まで遊ぶのは、きっと審神者が年頃の娘である証拠。本日は秋田藤四郎を伴って現世に出掛けた後、ついでの買い物にと万屋街まで戻ってきたところ。「とってもわくわくしましたね!」という無邪気な言葉には同様のテンションで頷き返し笑顔を向けた。)ホント、わくわくいっぱいだったっスね~!秋田さんは何が一番良かったっスか?(一緒に巡った流行りの飲食店や景色の良い場所を思い浮かべながら大通りを歩く。問い掛ける言葉じりも柔らかで、夕暮れに相応しい今日の終わりを感じていた、その時だった。)――あれ?(目前の地面に突如現れたものは紛れも無い財布。反射的に拾い上げ首を傾げていると、隣の秋田が前方を指差し「主君、あの方の落し物です!」と言葉を発した。導かれるように向けた視線の先、背中はまだそう遠くはないだろう。咄嗟に「ちょっと行ってくるっス!」と一言を残し、駆け出すまでの時間は非常に短いもの。きっと背中にだってすぐに追いついたことだろう。)あの、すいません其処の方!落とし物っス!……あ゛っ、びた一文たりとも取ったりしてないっスよ!?(財布を差し出すのは勿論のこと、在らぬ誤解を招かない為にも身振り手振りで否定の言葉を付け加えた。嘘でない事を信じてもらえるよう祈りつつ、今はただ相手が口を開くまで待つばかり。)
06/09 20:00*86
(万屋街へ行くのはいつもわくわくする。何故ならまだ見ぬ人妻との運命の出会いがあるかもしれないと性懲りもなく行く度に期待を抱くからだ。――が、人妻とお菓子にばかり目が行き過ぎた結果、お菓子が詰まったウエストポーチの片隅に適当に突っ込んでいたお財布への注意が疎かになったのが全ての元凶。頼まれたお使いの品と一緒にセルフご褒美として好きなお菓子を幾つか購入し、あとは人妻がいれば完璧だと上機嫌で帰り道を辿ろうとしていた――無論、財布を落としているなど気づかぬままで。)……ん?落とし物って、俺の?…うわぁ、本当に俺の財布だ…!間違いない…!いつの間に落ちたんだ、全然気づかなかったんだぜ…。(差し出されたポップな色味の財布は間違いなく自分に渡されていたもので、反射的にそれを受け取りつつも落とした覚えが全くないと不思議そうに首を傾げて。)とにかく感謝するぞ!お礼に…俺の大事な大事な飴玉を一個あげよう。どれがいい?(とウエストポーチから取り出すのは苺と桃と葡萄の三つの味の飴。)
06/09 20:12*89
(振り返った男士の姿に、あ、と声を上げたのは娘の方だったか、それとも後方の秋田だったか。何れにせよ無事に財布の返却が叶ったならば分かり易い安堵の息が吐き出される。述べられる感謝の言葉にはつい片手を左右に振った。)いえいえ!そんなそんな!こういう時はお互い様、ってやつっスよ!(ちょっとお姉さんぶった態度で謙遜を述べたとて、僅かに得意げな所為できっと台無しに違いない。続け様に見せられた飴にはついぱちぱちと瞬くこと数度。)えっ、折角のお菓子……いいんスか?(恐る恐る断りを入れたのは、自身の本丸の包丁その短刀を思い浮かべたから。普段から口にする言葉といえばお菓子そして人妻だからこそ、何だか受け取るのも申し訳なく感じてしまう次第。――と、)あっ!私、いいこと思いついたっス!(まさにピンときたと云わんばかりの表情で、後方の秋田に向かって来い来いと手招きを数度。「どうしたんですか、主君?」と首を傾げながらやってくる秋田に少々耳打ちをしたならば、納得したような秋田が取り出したのは色鮮やかな個包装のグミ。)包丁さん、私たち今日これいっぱい買ったんスよ。だから一個ずつ交換ってことにしません?(グッドアイデアとばかりに笑みを浮かべて提案しては、秋田から受け取ったグミを掌に出してみせる。もし交換が叶うならば、うーんうーんと幾度か唸った末に苺味の飴を指差す娘の姿があることだろう。)
06/09 21:17*96
それもそうだな!けど助かったから感謝してるんだぜ。(にまっと少年らしい生意気さの滲む笑みを向け、得意げな彼女の様子にますます気を良くしたのか、拾ってもらった立場のくせに褒めてやろうと言わんばかりの偉そうな態度で胸を張る。)普段は滅多にあげたりしないけど、今日は助かったから特別にいいぞ!ご褒美もらえると嬉しくなるだろ?(なんだか心の広い大人になった気分を一人で味わいながら、それはもう満更でもない顔してうんうんと大仰に頷いて見せる。その仕草がむしろ子供っぽく見えてしまうだろうことを少年はもちろん知る由もない。)え?いいこと!?もしかして人妻を紹介してくれるのか!?それなら何十人でも何百人でも大歓迎だぜ!(まだ若く見える彼女に人妻との伝手がありそうには見えないが、人は見かけによらぬものだと期待を込めた眼差しを向ける――が、当然ながらそんな阿呆な期待が実るわけもなく、けれど人妻じゃなくとも心をくすぐるカラフルな菓子にぱあっと瞳を輝かせた。)うわぁ~、きれいだな!うまそうだ!…それだ、それがいいよ!よーし、じゃあこれと交換だな!(うきうきと弾みまくる声で自身の持つイチゴ味の飴とカラフルなグミから黄色のグミを選び取り、無事に物々交換成立となろう。とはいえ帰りの道中で早々にグミを平らげてしまった少年が、一個だけでは飽き足らず主にグミが欲しいとせがむのはもう少し後の話で。)
06/10 18:49*144