ハプニング!突然のにわか雨!慌てて近くのお店の軒先に避難したけれどすっかり濡れてしまった…。お隣の人もずぶぬれみたい。
*64*
(厨を治める刀たちより買い出しを仰せつかった娘は「これくらい私一人で十分っスよ~!」なんて言葉と共に、護衛も無しに本丸を飛び出していた。手元に握るメモを頼りにあれやこれやと買い込んで、ついでに自分の見たい店へフラフラと寄り道を。そうしている内にいつしか右左の手にはそれなりに大きなビニール製の袋が下げられていた。両の手も重たいし、さて帰ろうかと大股で一歩踏み出したその時――ぽつり、鼻先に当たったのは冷たい感触。)――げっ!?(大袈裟な顰めっ面から発される可愛げの無い悲鳴は、やがて強まる雨足に掻き消されていく。慌てて飛び込んだ軒先にてすっかり濡れてしまった頭を軽く左右に振ったならば、雫は辺りに飛び散るやも。その姿はまるで犬のようでもある。そうすることにより、やっと自分以外の存在がいることに気が付いた次第だ。)わっ、ごめんなさい!(目を瞠りながらも塞がった両手を右往左往させながら眉を下げる。その姿が互いにずぶ濡れであることを認識したならば、たははと軽い笑みは零れ落ちた。)いやぁ~、急に降られちゃって……ホント災難っスねぇ。早く止んでくれないと、ま~た歌仙さんに叱られる~……。(がくりと肩を落とした姿は少々大袈裟だろうか。それでも些細な雑談の種になればと、娘は愚痴めいた独り言を呟くばかり。)
06/09 17:24*67
(急に降って来た雨についてないな、とぼやきが一粒。さとうをかってきてくれないか、と頼まれて本丸を出たのはつい今し方だった。おいおい何で俺に頼むんだい?と思ったけれど、断られることなど想定していないだろう純朴な笑顔に反論する気も失せてそのまま外に出た。その時は間違いなく晴れていたと言うのに。)参ったな…荷物がこいつじゃなきゃなぁ、走って帰っても良かったんだが。(頬を打つ冷たい雨が20kgの砂糖入り紙袋を直撃しようものなら。割と凄惨なことになるのは目に見えているので大人しく軒先でじっとしている事にすれば、そこには先客の姿が。)おおっと…はは、気にしちゃいないさ。全くだ、こんな驚きは求めてないんだがなぁ。(言いながら前髪を掻き上げれば、雫が伝って頬へと流れた。俵の如く担いだ砂糖は油紙のお陰でまだ無事だが、自分自身は割と濡れたようだ。)しっかし、さっきまで普通に晴れてたと思ったんだが…これじゃあ鶴じゃなくて濡れ烏だな。君も…かなり濡れたみたいだが、大丈夫かい?(ちらり、向けた視線。それからそうだ!と何か閃いた様に、)雨が上がるまで俺の退屈凌ぎに付き合ってくれたら、角の店の甘酒でも奢るぜ。どうだい、悪い話じゃないだろ?(他所様の本丸の審神者相手に随分と気軽なもんだが、足止めを食らった以上、動けるものでもなし。暇つぶしの会話を相手に望むだろう。)
06/09 17:43*68
(隣にいる人物――否、刀剣男士の姿はよく見たことがある。娘の本丸にもまた存在する真白のそのひと振りは突然の言葉にも壁無く返答をくれるので、雫を飛ばした失態も些かマシな気持ちになっていく。その一方で、彼と彼のものであろう大きな荷物にはつい一瞬目を瞠り視線を行ったり来たりもさせたが、続く言葉には屈託ない笑みを浮かべていた。)あははっ、そりゃ随分真っ白なカラスっスね! ……あ、私?そうなんスよ~!もう靴までびっしょりで……。(言うなり片足を持ち上げてみたならば、きっとぽたりぽたりと雫が地面に落ちる筈。はぁ、と吐き出された短い溜息、対して彼が発した閃きの声はほぼ同時に辺りへと響いた。一瞬きょとりと瞠目するも、パッと上がった顔の表情は紛れも無い満面の笑みで。)それ、最ッ高じゃないっスか~!しかも甘酒付き!その案、乗った!!(ズイと一歩踏み出すことにより、彼との距離は先程よりも縮まるだろう。その先はきっと雨が止むまで「この砂糖、鶴丸さん持てるんスか?」「最近一番の驚きは?」なんて質問もたくさん飛ばし、勿論聞かれたら聞かれただけ答えもしたに違いない。そうしてすっかり雨が上がった頃には、互いの髪や服も多少は乾いているだろうか。またどこかで、なんて在り来たりな言葉を口にして、晴れやかな笑みと共に手を振って別れよう。――そして本丸への帰還後は鶴丸国永を捕まえて「これ持ってみてほしいっス!」と、数十キロもある粉の袋を指差す娘の姿があったとか。)
06/09 18:19*70
(彼女も自分も随分と今日はついていないようだ。…そう思ったのも、最初だけである。こうして会話を楽しむことが出来るのも雨のお陰なのだろうから、そう悪い物でもない。犬の様な仕草で雫が跳んだとてそんなものを気にする様な繊細さは持ち合わせておらず、寧ろその所作に軽快に笑い声を上げるのか。)だがまあ、水も滴る何とやら、だろう?…すまん、今のは忘れてくれ。(伊達の仲間の真似でもして場を和まそうと思ったが、思いの外気恥ずかしくて片手で顔を覆っては俯いて。だが、自分の提案に彼女が賛同してくれたならば顔を上げて、「おっ、そうかい?」と嬉しそうに破顔して。)はははっ、それじゃあしっかり付き合って貰うとするか。(近付いた距離にもう一度笑みを溢し、砂糖の袋は一度濡れてない場所へと下ろして。「おいおい、幾らなんでもこのくらい持てるぜ?」「寝起きどっきりを長谷部に仕掛けたら、寝言で怒られたことだな!」彼女の質問に答えつつ、「そっちの俺はどうなんだい?最近はどんな驚きを提供した?」会話が一方通行にならないように此方からも問い掛ける筈で。その手には勿論、暖かな甘酒が握られている。時間も忘れて語り合った後は、晴れ間を見上げては下ろした砂糖を持ち上げよう。ああ、縁があればまた会おう、そう告げる。持ち帰った砂糖を厨に届けてからもう一度空を見上げて、「いい驚きだったぜ」と独り言ちた。服はすっかり乾いていた。)
06/09 21:11*95