ハプニング!ひったくり犯だ!無事に警吏へ引き渡せたけれど怪我をしてしまったみたい。
*422*
(以前に悪路で足をひねってしまった以来気をつけてはいたのだけれども、どうやらそうともいかないらしい。昼頃、買い出しの合間に昼食を終えて、荷物を抱えていた篭手切江が何やら興味を引かれたものがあったようで、少し見てきますねと言い置いて荷物を置いて離れた――、ところで。微笑んで手を振り、気の抜けた拍子に背後から手提げの巾着を奪い取って走り去られ、慌てて脇差の名を呼んだ。取って返した彼がひったくり犯を無事に捕まえ、騒ぎを聞きつけて現れた警吏へとひったくり犯を引き渡して。心配そうに眉を下げる脇差へと微笑もうとした、ところで。)……あっ、いえ、あの。大丈夫です、大丈夫ですわ。たいしたことではありませんのよ。ね?(ひったくり犯がぶつかった拍子に、なにかが肌をかすめたのだろう。腕を負傷していたらしい。じんわりと滲む血の感覚に気付いて沈黙。不審がった脇差に慌てて首を振る。責任感の強い刀だから、自分を責めてしまいそうだと思っての事。――ああ、何か隠していると確信を持っているその目が痛い。無意識に助けを求めるように視線をそらした。そこで見つけた人影に。)…さ、先ほどはお騒がせしましたわ。(と話題をそらそうとする始末。未熟な審神者であるので、こうしたアクシデントには若干弱い。采配や他者との衝突のときならばまだしも、こちらを心配する目にうまく対応するのが苦手だった。)
06/15 19:55*423
(刀剣男士たるもの、人間を守らなくて何を為さん――とは誰の言葉だっただろうか。昔馴染みの太刀の台詞であったかもしれない。守るのではなく切るんだろう、と反論じみた言葉も最早億劫となったのは、修行の旅に出たことでより人に寄り添う存在となったが故か。――ことは遡ること数分前。本丸からの遣いで一人買い出しの為万屋街へとやってきた大倶利伽羅は、目前でひったくりの現場に遭遇した。咄嗟に行く手を阻むように飛び出さんとしたものの、それよりも早くやってきたのは江の脇差がひと振り。躊躇うことなく相手を捕縛した後はあっという間に犯人を警吏へ引き渡していた。つまり、大倶利伽羅はただこの一部始終の目撃者となっていた次第である。近くで事の成り行きを見届けた後、踵を返そうとして――被害者たる女より突如声を掛けられていた。)……別に。俺では助けが間に合わなかった。(声を掛けられたとて無視をする方多いというのに、此度の状況的に無下にすることも憚られ。短い溜め息の後、気が付けば向き直って唇を開いていた。――と、見るからに彼女が挙動不審であることには気が付くだろう。怪訝そうに片眉を上げたなら、たっぷり数秒の沈黙。その後視線を遣ったのは彼女ではなく篭手切江の方だった。)おい、俺がいる内にこいつに水でも買ってきてやったらどうだ。(突然の申し出に果たして件の脇差は頷いてくれるだろうか。どうにかこうにか理由を付けて彼がその場を離れたなら、呆れ気味に見遣るのは彼女の方。)……そら、診せろ。簡単になら手当てくらいできる。(買ったばかりの荷物を漁り、取り出したのは血止めの軟膏、包帯、ガーゼの類。もしも渋るようならば有無を言わさないつもりで、ただグローブを纏った片手を差し出していた。)
06/15 20:49*427
(短刀たちのような訓練も積んでいない、小さな体というだけの審神者であるので自ら解決に動くよりは自分の刀を頼ろうとするのは至極当然の選択だった。無事に解決してくれる能力があると信頼しているともいう、が。彼に頼る前に負った怪我のことは知られたくなくて、つい声をかけた相手が彼だった。怪我をしていない方の指先を口元に添えて微笑むと。)まあ。ありがとうございます。…頼りになる方ですのよ。(間に合わなかった、という表現はその気があったという事だろうと眼差しを和ませて。それから自らの刀を誇るようにして告げる。件の脇差は強引な方でもないから主が他者に話しかけていれば無暗に介入はしないはずと目していたら、思いがけず助け舟を出されて、こちらからも重ねて「お願いできまして?」と促せば、頷いて立ち去っていく彼を見送って。)…ありがとうございます、大倶利伽羅さま、助かりますわ……。篭手切さまが追いかける前の怪我ですの、知られてしまっては悲しい思いをさせてしまいそうで。ご迷惑をおかけします……。(小袖の裾を手繰って腕の先を見せれば、出血はしているもののさほど深くはない3センチほどの傷が残っていた。どうにか話をそらそうと話しかけた彼の察しの良さに頭が上がらず、若干しょんぼりとした様子で腕を預けることにした。その後、戻ってきた脇差に微笑んで水を受け取ると、彼にも心からの御礼をもって二人頭を下げた。今日は早く帰りましょう、と促されてそれには従うことにした。親切な打刀が気を聞かせてくれたことに心から感謝して。脇差が返ってくる前にこっそりと渡そうとした小袋に入ったおかきは、無事に彼に渡っただろうか。)
06/15 22:20*430
(頼りになる、との言葉でその傍らの脇差を一瞥する。脇差というものたちは皆何かしらの手助けや気遣いやらに長けているものが多いことは自らの本丸でもよくよく実感していること。ましてや事の一部始終を目撃していたのなら尚の事「……そのようだな」と静かに肯定を示した。やがて件の彼が軽く頭を下げ離れていった頃、短い呼気を吐き出して治療へと専念することに。差し出された腕の血の滲む傷口を見ては、眉間に皺を寄せながら右手のグローブのみを脱ぐ。)……別に、迷惑とかじゃない。……だが、本丸へ戻ったら他の奴にちゃんと診せることだな。(軟膏を薄く塗り、上からガーゼを当てながら腕に包帯を巻いていく。その間に発せられる言葉は最低限ではあるものの、忠告めいた響きは無愛想なりにその身を案じているからこそだろう。きっと簡易な手当てはすぐに終了し、脇差もすぐに戻ってきたに違いない。礼などいらない。背中で語るようにすぐに踵を返した打刀の手には、彼女から持たされたおかきが握られていた。――本丸への帰還後、「珍しいな伽羅、おかき買うなんて!」「あれ、何で備品が開封済み何だい?伽羅ちゃん」「いいや、俺にはわかるぜ伽羅坊……何か驚きがあったんだろう?」など、昔馴染みたちからの言葉にはフンとひとつ鼻を鳴らしたのみ。)
06/16 23:02*447