ハプニング!特に何も起きなかった!(設定自由)
*388*
(誰かに迎えに来てもらうべきだった、と思いつつ政府の施設から万屋街まで戻って来た頃にはすっかり日も落ち、周囲は宵の気配を色濃くしている。万屋街はまだ営業中の店も多く明るいが、少し路地を入れば明かりが必要に感じる程度には暗い。ここから本丸まではまだ少し距離があることを思えば今からでも迎えを呼ぶべきかもしれない。連絡用の端末を取り出そうとしたタイミングで、何処からか小さくみゃあ、と鳴き声が聞こえる。取り出した端末を手に持ったまま、一瞬止まって耳をそばだてる。気のせいか、と思ったけれど―再び聞こえた鳴き声は幻ではなさそうだった。)…猫、かしら(聞こえたのは大通りより少しはずれた路地の方からのように思う。少しだけ躊躇いはしたものの―なんだか弱弱しい鳴き声が気になってしまって、端末を鞄へしまい込むと路地へと踏み込んだ。鳴き声が少し大きくなる。通りの灯りがまだ届く距離だから薄闇の中を進んでいけば、道の端っこに植えられた背の高い木の上で子猫を見つけた。)…いた。降りられなくなってしまったのね。(手を伸ばしてはみるものの、頭ひとつ分以上高い場所とあっては手が届かない。いっそ登ってしまおうか、と木の幹に手を掛けて思案顔。登れるかどうかは分からないけれど、見捨てるわけにもいくまい、とぐっと少しだけ上の枝に手を掛けて―)
06/14 22:43*389
(暇をしていた男士に誘ってもらい、昼過ぎから共に万屋街へと出掛けていたのだが、それぞれで買い物に夢中になるあまり帰る予定時刻を過ぎてしまっていた。急ぎはしつつも焦らず帰ろう、なんて走るのが苦手な自分に合わせ、お互いに早歩きで本丸へ帰ろうとしていた時のこと。どこからかか細い音が聞こえてくる。どこかの店からだろうか。そのまま行ってしまおうと思ったのだけれど、やっぱり気になる。「どうした、大将」と尋ねる声に、)ごめんなさい、音がしませんか?……ほら、猫の声じゃないでしょうか。にゃあって……。ちょっと、不安になる鳴き声じゃないですか?(口にすると、そう思えてきてやっぱり気になる。少し前を歩いていた短刀は付き合ってくれる気になったようだった。「寄り道はしなかったことにしておくよ」と。お言葉に甘えて、猫らしき声をたどって進もう――そうしてたどり着いた先。木の上からおりられなくなってしまった様子の子猫と、枝に手を掛ける女性の姿。)あっ、あの!だ、大丈夫ですか!無理なさらないでくださいね……!(女性に呼びかける声は大きくならないように気を付けつつも、焦りが滲んでいた。短刀が彼女の元に向かうと、「ちょっと待ってな」と身軽にひょいっと木を登っていく。そして――)よかったですね、子猫が無事で。……驚かせてすみません、木登り得意でしたか?(無事に救出した子猫は、彼女の足元でにゃあと鳴いていた。見つけてくれてありがとうと言っているように聞こえる。その姿をしゃがみながら微笑ましく眺め、彼女に訊いてみよう。)
06/15 00:50*393
(ぐっと枝に手を掛けて―ちょっと引き上げようとしてみたけれども。まぁ上手くいくわけがない。審神者として霊力を磨こうとかそういう鍛錬はしているものの力はからっきしなのである。やっぱり誰か呼ぶべきかしら、と思ったタイミングで聞こえた声に、枝に掛けていた手を離して―声の方へ向き直るとほとんど同時に横を風が通り抜けた気がした。)え?…あ(風か、と思ったのは短刀だったらしい。するすると木に登ったかと思えば、あっと言う間に仔猫を抱えて降りてきた。高い所から解放された猫は、今度は少し安堵したような鳴き声を上げていた。余りに一瞬の出来事に思わずぽかんとしてしまったけれども、次いで声を掛けられればはっとした様にふるりと首を振って)全然。自分の体を腕で持ち上げることすらままならないかも知れないわ(と、眉尻を下げるようにして笑いながら「だからありがとう」と一人と一振りへ丁寧に頭を下げた。仔猫の前にしゃがみこめば)あんまり無茶をしては駄目よ。(と、額を軽くつついてやってから、そっと撫でた。暖かく柔らかい感触に自然と表情を緩ませる。暫くそうしていたけれど、不意に仔猫が走り出したと思ったらどうやら母猫の向かえが来ていたようだった。猫親子を見送るとゆっくり立ち上がって)わたし一人だったら助けるまで時間がかかっていたと思うから…あなたたちが気づいてくれて本当に助かったわ(再度お礼を告げたところで、鞄の中の端末が鳴る。「あ、…それじゃあこれで」と一礼して踵を返した。端末からは―「何時だと思っているんだい」というまるで母親かのような台詞で懇々とお説教する声が聞こえていたとか、いないとか―)
06/15 13:41*408
(躊躇いもなかったのか、それとも意を決してなのか。今にも木に登って仔猫を助けようとする彼女の様子にはらはらもしてしまったが、すごいなあと感心してしまった。自分だったら躊躇ってしまっただろうから。――手古摺る気配もなく、無事に仔猫を抱えておりてくる短刀を小さな拍手で迎えたりもしただろう。にゃあ、と鳴く仔猫の鳴き声を聞けるとほっとする。)えっ……!そ、それは……仔猫も、あなたも、怪我がなくてよかったです。わ、私も、自分の体を持ち上げられる自信ないです。腕立て伏せもできないし、腹筋とかも全然で……。(本当に仔猫も彼女も無事でよかった。多分きっと、彼女に気付かれないようにほっと息を吐く短刀も同じ思いだっただろう。勝手にフォローするような言葉を続けてしまえば、おまけに平坦に近い力こぶもお見せしてしまおう。)……ふふっ。(彼女と仔猫のやり取りに微笑む。『あなたもですよ』の言葉を、一人とひと振りはぐっと飲み込んだ。――猫の親子を見送り、彼女に倣って自分も立ち上がろう。目を合わせると首を振って。本当にたまたま、偶然だったから。)でも、お役に立てたならよかったです。私も、薬研さんがいてくれて助かりました。(ちらりと後ろに控える短刀を見やって。そうして端末が鳴ったのをきっかけに彼女と別れることになれば、こちらも本丸に帰ることにしよう。――盗み聞くつもりはなかったけれども、彼女の端末からまるで子を心配する母親のようなお言葉が聞こえてしまったなら。他人事ではないなと焦る審神者と、焦れば転ぶぞだなんて自分の父親のようなことを言う短刀がいただろうか。)
06/15 17:14*416