ハプニング!わっ!急に変な輩に絡まれた!こんな道の真ん中で…どうしよう…?
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(当たり屋というのはこの時代でもまだいるのだなと、女が実感したのは早朝、昼食の材料とおやつの買い出しを兼ねて、厨番の燭台切と共に万屋街へとやって来た時の事だった。昼食の材料の買い出しは燭台切に任せ、自身はおやつの方を買いに行こうと馴染みのある洋菓子屋へと足を運んでいた時だった。)今日は何にしようかしら?ケーキもいいけれど、クッキーもいいわね。(なんて楽しげに言葉を零していたのも束の間、前から歩いてきた男性二人組のうち、初老の男性の方が突然体当たりをしてきたかと思えば派手に地面に倒れ込んだのである。「いたたたた!あ、足が…!足が折れてしもうた…!」等と周りに響くぐらいの大声で叫びながら折れたという右足を抱えつつ。)あらあら、お爺さん。大丈夫ですか?(なんてマイペースに声をかけたのは、流石に骨折するような勢いでぶつかった覚えもなければ、こちらからぶつかった覚えもない為。なんなら避けようと横に動いたのに強引にぶつかって来た事から当たり屋というものであろうという事はすぐに分かっていたから。その姿に連れの男性が怖い顔つきで凄んで来る。「おい、お嬢さん、なんてことしてくれたんだ!うちの親父に!親父はこれから大事な用があったってのに、責任は取ってくれるんだろうな!」なんて怒声を浴びせてくるのは、女が見た目からして大人しく気弱に見えたからであろう。けれど、当人は全く怯えた様子もなく頬にわざとらしく手を当てて、)あらまあ、それは大変ですし困りましたね。ええ勿論、本当に私のせいであるのなら治療費はお支払いいたしますから、とりあえず病院に連れて行った方がよろしいのではありませんか?でないとお支払いするにしても金額も分かりませんから。(のらりくらりとした様子で言葉を交わしながら、その頭の中ではこの後どうやってこの場を切り抜けようかと考えていたりしたところで、ふと誰かと視線が合ったやもしれず。)
06/14 19:33*377
(ちょっと買い物を頼まれてくれないか?と持ち掛けてきたのは本日の厨当番である燭台切だった。なんでも昼餉に使う食材が足りなくなってしまったらしい。昨日買い出しに行ってなかったっけか、と尋ねてみるとどうやら真夜中に帰って来た遠征部隊はが夜食として半分程食べつくしたらしい。「ははっ、じゃあ仕方ねーか」と怒るでもなくあっけらかんと笑う。じゃあ、これを頼むね、と覚書を渡されて万屋街の方へ出てきていた。何処から回ろうか、と思案するべく立ちどまったところでその声が聞こえた。何事だ、と視線を向ければそこには――随分と柄の良く無さそうな男たちと、その正反対の雰囲気を纏う女性、恐らく審神者だろう姿だった。俄かにざわめく周囲だが助けに入ろうと言うものは居らず。豊前はと言えば―まぁ考えるよりも先に足の方が動いていた。)おいおい、穏やかじゃないな。こんな往来で何事だ?(さりげなく二人組と彼女との間に割り込むように立てば、じっと転んだ老人と隣の男の方を見る。随分元気そう―と言うよりも怪我の気配は感じられなかった。そっちがぶつかって来たんだ、とか、落とし前がどうとか。わめいているのを黙って聞いていたのは僅かな間で。取り合う気も無さそうに女性の方へと視線を向けた。)なぁ、アンタ。向こうさんはそう言ってるが、自分からぶつかったのか?(まるで信じて無さそうな口ぶりだった。彼女が答えるのが早いかそれともやじ馬からの「じいさんたちがぶつかるのを見た」と言う証言が早いか。何方にせよ、)こっちの嬢ちゃんも謝ってんだろ、いい大人なんだからぎゃんぎゃん噛みつかなくてもいいじゃねーか。ってことでじゃーな(言うだけ言うと「走るぞ」と彼女にだけ聞こえるように囁き、そのまま手を取って走り出した―それはもう全力疾走だったので女性の足には中々きつかったかもしれないが、少し走ればあっという間に二人組が見えない場所まで逃げきれるはず―)
06/14 22:36*387
(もうこのまま、連れである燭台切が戻って来るまで時間を延ばすのがいいのかもしれない、なんて考えていた矢先のことだった。ふと、目の前に立つ人影を感じて顔を上げると、立っていたのは自本丸にいる豊前江と同じ姿ではあるがまた別の彼の姿を目にして軽く双方を瞬かせていると、こちらへと振り返り問いかけてくる言葉には緩く首を横に振り、)あ、いえ。私は避けようとしたのですが…(と言い終わる前に野次馬として見ていた他の客からの口添えもあってか、そもそも最初から信じていなさそうな口ぶりからか、自分ほうに真があると判断してくれたらしい彼が、再び男性達の方へと向き直り話をするのを大人しく見守っている事に。だが相手も納得がいくはずもなく彼に対しても噛みつこうとする前に、「走るぞ」との一言を耳にしたかと思えば手を掴まれ走りだされていた事には驚きに双眸を見開き、)え、あ、あの、豊前江様!?(と驚いた声を上げるも手を引かれるまま共に走り出すのだろう。普通の女性よりは幾分か体力はある方だと認識はしているものの、流石に男性の全力疾走ともなれば、途中少し足がもつれそうになったやもしれないが、なんとか安全な場所まで逃げ切る事が出来れば、乱れた呼吸を整えた後は笑顔でしっかりと彼に向って一礼すると共に礼の言葉を放つだろう。)…豊前江様。危ないところを有り難うございました。どうしようかと思っていたところでしたのでとても助かりました。是非お礼をさせて頂きたいのですが、和菓子などお嫌いでなければご馳走させて頂けませんか?(と続けたところで今日の共であった燭台切も戻ってくれば、事情を説明し理解した燭台切も笑顔で是非にと目の前の彼を礼の言葉と共に誘う事だろう。断られてしまったのならそのまままた一礼して見送るが、引き受けてくれたのならそのまま揃って美味しいと評判の和菓子屋へと向かったはず。)
06/15 12:47*406
(取り敢えずあの二人組は撒いてさえしまえば問題ないだろう。割と多くの目撃者が居たのだし、あまり強引に追い回す様であれば通報すると言う事も出来るはずだ。と思ってある程度距離を取ったところで足を止めたのだけれども。)…っし、ここまで来りゃ平気だろ。…あ。悪い!普通に走っちまったな。足大丈夫か?(流石は刀剣男士というべきか、汗もかいてなければ、呼吸もほぼ乱れてはいない。ぱっと手を離すと、今更ながらしまったと思ったらしい。気遣うように声を掛けて首を傾げた。)急で悪かったな。篭手切や松なら上手く口でおっぱらっちまうんだろうけど、俺はそういうの苦手でさ(逃げちまった、とあっけらかんとした様子で悪びれもせず笑いながら告げる。「別に気にしなくていいって。たまたま居合わせただけだしな」と大したことはしていないと首を振ったのだけれども。彼女のお供である燭台切にも是非に、と言われたのなら―)…そっか?じゃあ折角だし馳走になっかな(とあっさりお礼を受けることにして共に和菓子屋へ同行させてもらうとしよう。何なら送っていこうかと考えたりしていたけれど、お供がいるなら問題もなさそうだと笑みを浮かべ、和菓子に舌鼓を打つ。)あ、そうだ。なぁ、これ。どの辺に売ってっかしらねーか?(和菓子屋を出たところでお使いを思い出した。同じ燭台切に貰った覚書を見せながら店を訪ねる姿があった。無事に教えて貰えたなら「助かった、あんがとな!」と礼を告げて、あっと言う間に走り去ってしまうだろう。何せ予定より時間が過ぎている。そろそろ戻らないと昼餉の準備には間に合わなくなってしまうだろう。豊前は殊更駆け足で頼まれたお使いを済ませて本丸へと疾走することになるはず―)
06/15 13:57*409