ハプニング!わっ!急に変な輩に絡まれた!こんな道の真ん中で…どうしよう…?

*28*

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(時刻は日も暮れかかった夕刻。乱に強引に「買い物に付き合って!」と手を引っ張られて連れてこられたのは万屋街にある可愛らしい小物などが売っている雑貨屋。嬉々として店内に入る乱とは反対に流石に女性向けの小物ばかりの店に入るのは気が引けて、自分は何処かで時間を潰して待っていると告げ人通りの多い通りまでやって来たのが運の尽きだった。さて、どこで時間を潰すかと辺りを見回した時に誰かとぶつかり軽い衝撃を受けると、)あ、すまない。(すぐさま謝罪を口にしたもののぶつかった相手が悪かった。どうやら昼間から飲んでいたのかすでに出来上がった状態の男性だったのである。素面であれは刀剣男士に、というよりは自分に絡もうとする人間はほぼいないだろう。だが相手は完全に気が大きくなった酔っ払いであればここぞとばかりに強気に絡んでくることになり、今に至る。「これはこれは不吉な刀さんじゃないですかぁ」やら「その角、やっぱりあんた自身が鬼なんじゃないのかぁ?」などの雑言をかけられるもその事自体は別にどうでもよかったが、このまま絡まれ続けて目立つのは好ましくないと男の事は完全に無視したまま辺りへと視線を送り対策方法を考えていれば一つの案が浮かび上がる。これしかないかと軽く溜息をつき人通りを歩く者達から一人を見定めると、足早にその人物の側へと移動し小声で「すまないが、少しだけ話を合わせてくれ」と早口に告げた後はまるで知り合いかのように声を掛けるだろう。)ああ、遅かったな。買い物は終わったのか?(声を掛けた相手が誰であろうと一人でなければ男も強引に絡んでは来ないだろうとの算段で。)

06/09 03:03*30

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(審神者業を行い早幾年、慣れたようで慣れず遅咲きの世界で常に揉まれる男はこうして時折一人の時間を作っていた。古書店で寄り道をして、年甲斐も無いと言われる覚悟で甘味処へ足を運び、のんびりと散歩をする。ほんの数時間でもそれが息抜きとなれば思考もスッキリとするものだ。本日もその最中、本を片手に甘味を欲して歩を進めているところだった。不意に影を作る見知らぬ男士と紡がれる言葉。小さな前提へ不思議そうにした目線は一瞬その奥へと注がれ、ああと脳内で納得を。「待てよ」と覚束無い足取りの酔っ払いに察した男はすぐ笑みを取り繕った。返事はまず目の前の彼を見ながら。)終わったよ、待たせてしまって悪いね。……ところでそちらは何方かな、私の鬼丸くんに何か用でも?(こういった輩は得てして年長者へ怯む傾向がある。だがそれは此方が怯えて居なければの話であるから、背筋を伸ばしてあくまでも優しげな表情を作り彼へ注いだ視線を改めてその背後へと。)すまない、私はこれから彼と行くところがあってね。用が無ければこれで。(穏やかでいて反論を許そうとしない言葉尻は強まり、さあ行こうと彼の肩へ触れた。そこまですれば余程追い掛けてはこないだろう、万屋街を暫く歩いて後ろを着いてこない男を確認してはほっと息を吐いて。)……こんなところで良いか、私の対応で合っていたかな?(万屋街の少しはずれ、ひとりとひと振りの奇妙な散歩はこれにて結となり得るか。)

06/09 10:34*40

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(男性に声を掛けたのはある意味賭けでもあった。自らの主より年長者に見えた彼であれば、ああ言った輩に対する対応も鬼や遡行軍に対してならば後れを取る事はないが、ただの人間相手に対する対応には不慣れな自分よりかはずっと慣れているのではないだろうかと。どうやら、賭けは功をなしたようで、一瞬不思議そうにはしたものの彼は自分の言うように話を合わせ、なおかつ酔っ払いの男にも効果的な対応を取ってくれることに。)いや、無事ならばいい。あんたに何かあれば煩い奴も多いからな。(等と会話を続けながらほっと内心安堵の息をついて状況を見守る。男はまだ何か言いたげな様子を見せていたものの、彼に肩を押され促されるのを合図に共に歩き出し暫く万屋街を歩いた事により諦めたのだろう。小さく舌打ちをすると別方向に歩きだしそのままついて来る事がなくなったのを確認して、こちらもまた改めて息をついた。)…ああ。充分だ。巻き込んでしまってすまなかった。だが、助かった。鬼や遡行軍であれば斬り捨ててしまえばいいが、流石にただの人間に手は出せないからな。(有り難う。と告げる言葉はこの刀にしては随分と柔らかなものであったはず。何か礼をと考えるも、自身の買い物に来たのでなければ何も買った物はなくどうするかと少しの思案の元、そう言えばと思い出したように腰元に何故か付けさせられていた軽装時に付ける巾着袋の存在を思い出してその中を探り取り出したのは、数枚の押し花で作られた栞であった。それを彼の方へと差し出すと、)すまない。何か礼をと思ったんだが、持ち合わせがこういう物しかなくてな。…うちの本丸で作っている物だが、よければ好きなだけ持って行ってくれ。(と、告げてみせるか。果たして彼が受け取ってくれるかどうかは定かではないが、どちらにしても再び礼を告げて別れる事になるのだろう。)

06/09 12:19*42

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ふふ、そうだね。君にはいつも心配をかけてしまうなあ。(そんな風に合わせた即興の演技も酔っ払い相手となればそう難しいこともなく、いつしか離れていく姿は互いの安堵に繋がったらしい。ほんのひと時、彼ふた振り分の主になった気持ちになれたことは他の審神者につめないだろう経験であることを誇りに思いながら足を止める。万屋街に吹いた夕刻の風は冷えていても、心はあたたかい。)良いんだよ、困った時はお互い様だからね。君はとても優しい子だと言うことが分かったし、代わりにうちの鬼丸くんを褒めてやらないと――うん?(鬼、遡行軍、ヒトをきちんと切り分けて考える彼へ感心したように頷いては「礼なんて」と飛び出しかけた言葉を一度止める。差し出された栞に瞬く瞳は悩むように左上を見て、それから差し出されたそれをふたつ手に取った。)じゃあ、お言葉に甘えて。丁度栞が欲しかったんだ、この本に挟む用にね。(片手に持ったままのそれを揺らしてから、)もうひとつは今日の思い出に部屋へ飾らせてもらうよ。君の瞳の色と同じこれを。(赤色の押し花を見せては、今度こそ演技とは異なる笑みを浮かべてそれを大事そうに本へと挟み別れを告げた。たまに一人の時間を作るのも悪くないけれど、今日はどうも直ぐに帰りたい。とある本丸にて、今宵夕餉の時間まで。大切なひと振りひと振りと言葉を交わすひとりの審神者の姿が見れることだろう。)

06/09 23:56*116