ハプニング!特に何も起きなかった!(設定自由)

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(万屋街には様々な店がある。甘味処は勿論のこと、それこそ調理器具を扱う店まで。後者の店に出入りする刀剣男士の中で一番多く見られるのはやはり燭台切光忠の姿だろう。それに付き合わされる審神者や昔馴染みの男士もまた然り。そして例に漏れず、此度の付き添い――という名の荷物持ちである大倶利伽羅は、店の前で眉を顰めていた。)…………長い。(それはそれは低く吐き出された言葉は誰に聞かせるでもない。否、本来であれば光忠自身に聞かせるべき言葉だが、店の中へ消えてからちっとも姿を現さず、いい加減しびれを切らす頃合い。そして溜め息ひとつ、徐に歩を進めた。近隣の店を冷かす気にはどうもなれず、ただ往来の宛も無く歩く。――と、)……? ――っ、おい……!(それは偶然であったに違いない。すれ違う瞬間にも不自然に余所見をしながら歩く姿がどこか危なげで、つい視線で追ってしまっていた。それはもう、ただ静かに、一部始終。だからこそ対象が蹴躓いた瞬間咄嗟に手が伸びていた。地に伏す前に抱き留めたか、腕を引いたか、首根っこでも掴んだか。いずれにせよ転倒防止の一助とはなった筈だ。)…………怪我は。(身を離して早々、多少の気まずさと共に簡素な一言だけ問い掛ける。その言葉が溜め息交じりであったことは言うまでもない。)

06/12 21:27*279

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(よそ見をしていた。あの反物は歌仙が好きそうだ、あの髪飾りは乱が好きだろうな、そういえば粟田口用の大袋菓子が減っていたな。そんな取り留めも無い事を考えながら歩いていた。午後という時間は昼食を終え気が緩むせいもあるのだろう、だからふらふらと――いつもであれば師と仰ぐ隻眼の太刀にしっかり周りを気にしていないと格好悪いよと言い含められている言葉を胸に留めているのだけれどすっかりすっぽ抜けてしまっていた。それが一瞬の不注意を招くのは当然の事で、足元の小さな段差に気付かないまま一歩。ぐらりと大きく揺れ、それが止まった。)――……お、おぉ……すまない、ありがとう。君こそ腕は大丈夫かい?勢いづいていたから痛めていないと良いのだけれど。(来るはずの衝撃は訪れず、傾いだ体はしっかりと立っている。肘の辺りを掴んだ褐色の腕に救われたのだと気付くと同時、もう少しで転んでいたのだと漸く自覚して冷や汗が噴き出すようで思わず袖で蟀谷を擦り。ため息交じりのその言葉に申し訳なさげに眉を下げるのは幾らか上背のある身の重さを片腕で支えさせてしまったから、これが小柄な少女であれば良かっただろうがと、刀を振るうための腕に不具合はないかと視線をその手元へ向け。)

06/12 22:00*285

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(手を伸ばした先、咄嗟に掴んだのは紛れもない女性の腕だった。互いの体が絶妙なバランスで停止すると、思わず安堵のような溜め息のような息がひとつ漏れ出る。彼女が転倒することなく体勢を立て直した時、やっと彼女が己同様――否、己よりも高い身長を持っていることに気が付いた。特に言及するでもないが、つい瞬きをひとつ。)……生憎、この程度で痛めるほど軟な鍛え方はしていないんでね。(つい片眉を上げ、目の前の女性の腕を見遣る。そして、きっと昔馴染みがこの場にいたならば「格好悪いよ、伽羅ちゃん」と咎めるような無愛想な響きを以って返答とした。彼女を掴んだ右手を幾度か開閉してみせたなら、言葉は嘘ではないことも伝わるだろうか。)……あんた、一人か。護衛は。(顎で指し示すようにしゃくってみせるその姿は不遜そのものではあったが、それもこれも不器用なりに彼女の身を案じているからこそ。護衛の存在があれば潔く「ならいい」とそれまでにするだろうが、もしも一人であるならば「次からは短刀のひと振りでも連れることだ」と忠告めいた一言を付け加えるだろう。――そうこうしていれば、遠くより「おーい、伽羅ちゃーん!」との呼び声が聞こえてくる頃合いか。)……俺は行く。怪我には気を付けろ。(簡素な一言と共に踵を返し、己を呼ぶ声の方へとひと振りは去っていく。 合流した先では「おや、何かあったのかい?」と首を傾げる太刀に向かって「……別に」なんて相変わらずの無愛想が炸裂していた。)

06/12 22:56*294

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(視線を向けた先、開閉を繰り返す手に痛めた様子は見られない、安堵の息を吐きながら文字通り胸を撫で下ろしてはふと向けられた言葉に首を傾けた。午後の軽い散歩のつもりであったから護衛を付けてはいなかったがまさかそれを指摘されるとは思わなかったから、自分の身は自分で守れるようにと多少体を鍛えている事も油断の要因になっていた。散歩だから、と重ねかけた言葉は忠告に立ち消える、何処かぶっきらぼうにも聞こえるその言葉はけれど確かに身を案じてくれているのだと理解するには充分で。)散歩でも誰かについて来てもらうことにするよ、さすがに二度転んでしまうのは格好がつかないしね。(躓いてしまった格好悪さに思わず自分で自分に苦笑が漏れる、助けてくれてありがとうともう一度礼の言葉を口にすると同時微かに耳に届く声に目を向けた。遠く離れていても良く目立つ黒を基調にしていても華やかなその立ち姿、尊敬する師と同じ見目を持つ太刀の姿を遠くに見てははっと姿勢を正し。)あぁ、本当に助かったよ。生憎今日は手持ちが無くてね、またもし会うような事があればお礼をさせてくれると嬉しいな。(向けられた背へそんな言葉を投げ掛けながら軽く手を振った。伊達の刀は皆ああなのだろうかと過ぎる思いはすぐに”自分もいつか”にすり替わる、当てもなく万屋街を歩き回っていた足は自然と本丸へ向かっていた。)

06/14 21:30*383