ハプニング!特に何も起きなかった!(設定自由)
*163*
(初期刀とともに訪れた喫茶店で父とのひとときを過ごしていた。本丸にて過ごすようになった娘を心配して時折こうして呼び立てられるのは今に始まったことではない。「手間をかけてごめんなさいね」だなんて苦笑めいたものを刻むのは珍しい。何分箱入り娘として品佳く振舞いたがるのが常の娘であるが故。それはそれとして家族のこととなれば刀剣たちや政府職員へ向けるのとはまた違った対応が必要となる。愛されているとは自覚の上で聊か気疲れもするようで、お土産に何か買いましょうと初期刀の腕を引いて和菓子を取りそろえた店先に足を運んだ。店じまいが近いのだろう、多かったはずの品ぞろえは今はまばら。)どれにしましょう…。……まあ、味見?(頬に手を当てて考え込む審神者の前に、味見に、と饅頭を小さく切って楊枝を刺したそれが差し出される。どうやら初夏をモチーフにシソの葉を案の中に混ぜ込んだもののようで、一種独特のさっぱりとした味にまあ、と目を丸くした。)おいしいですわ。ねぇ、そう思いませんこと?(あまりにおいしかったので、近場にいた人影に思わずきらきらとした声をかけていた。主、と、額に手を当てる蜂須賀虎徹もなんのその。)
06/11 01:57*165
(久々に同室仲間である相方と非番が被った日。せっかくだからと個人的な日用品や雑貨を買いに、二振りで万屋街へと赴いた。いつも購入している爪紅や句を記すための短冊と帳面、新調した湯呑みや小さな鉢植えまで。色々と買い込んでは、最後に江の皆へ土産でも買おうかと和菓子屋に立ち寄った。風物詩を模したり、季節の食材をふんだんに使った和菓子を作り出すこの店は、刀のお気に入りの店の一つだ。しかし、陳列棚に並ぶ和菓子の数は少なく。「俺たち、来るのちょっと遅かったみたいだね」と相方は肩を落とす。そんな自分たちを見兼ねてか。店員が試食にと、小さく切った饅頭を楊枝に刺して渡してくれる。礼を述べて受け取り、一口。程よい甘さの餡の中に、爽やかな紫蘇の香りと味が広がり…刀はその味に目を瞬かせた。これ美味しいね、と表情を緩ませる相方にこくりと頷いていると。丁度左隣からも、同意を求める声が聞こえてきた。)……ええ。季語を感じられる、素晴らしい逸品ですね。(最初は少し戸惑うように、相手をじっと見つめていたが。すぐに口端を僅かに緩め、小さく頷く。見知らぬ相手でも、こうして季語を共有できるのは嬉しいことだ。)私はよくこの店を訪れていますが…もし初めてでしたら、そちらの琥珀糖もおすすめします。(と、陳列棚の上に置かれた琥珀糖を指差し。)
06/11 05:37*170
(慎みというものは備えているつもりだが、こうしてひょんな時にそれが剥がれ落ちて少女らしさをのぞかせる。戸惑うように見られたところで季節らしいおいしさにはかなうまい。甘くさっぱりとした味わいをすっかり楽しんでいる娘の御機嫌はたいそうよろしかった。背後のうちの主がすまないねという保護者めいた苦笑に頓着もしないまま。)ええ、ええ。紫蘇の葉でしょうか。わたくし、栗や桜の餡を頂いたことはありますけれど、紫蘇の餡は初めてですわ。とてもおいしいものですのね。ふふ、それにええ、季節らしい味わいで。(そうして声を弾ませて笑うあたり、味見としてひとかけらを供した店主の見識眼はきっと確かなものだったのだろう。)ええ、実は初めてで。本丸の皆さんにお土産を、と思っていたのですけれど……。まあ。確かにこちらもとてもきれいですわね。五月雨さまのおすすめでしたら間違いもなさそう。蜂須賀さま、これにいたしますわ。(何を頼んだらいいものか、と帰り来た愁いにするりと与えられた一つの提案にまあ、と瞳を輝かせる。紫蘇の餡のお饅頭は「とっておき」と称して三つほど購入したのは彼も気に入ってくれているらしかったから独り占めは憚られてのこと。仲間へのおみやげは琥珀糖と、足りない分は蜂須賀虎徹へ相談しつつ、彼にも不意に意見を求める始末。保護者めいた視線がうちの主がほんとうに…とばかりになっているのは知らぬ顔のあたり、初期刀に対しては甘えがちだった。)本日はありがとうございます、五月雨さま、村雲さま。おかげで助かりましたわ。(だなんて頭を下げるあたりは、ようやく淑女らしさを取り戻したものだったろうか。購入した菓子を入れた紙袋を初期刀と分け合い、微笑みながら甘くさっぱりとした味わいを背に、よき出会いを楽しんだ素振りで。)
06/11 06:44*172
(ほんの少し戸惑いはしたが、季語を分かち合えるという歓びの方が大きいのは言わずもがな。こちらも頬を僅かに緩ませながら、この季節の爽やかさを含んだ菓子を丁寧に味わう。苦笑と共に謝罪を述べる蜂須賀に、相方は「雨さんが喜んでくれてありがたいくらいだよ」と首を横に振った。)私も食べたのは初めてです。紫蘇餡…新たな美味しい季語を知ることができました。(彼女の言葉に、同意の頷きを繰り返す。この時間だからこそ出会えた季語かもしれない。)はい。見た目も美しく、味も良いですよ。それに檸檬や桃など、様々な味があるので飽きません。まるで鮮やかな宝石のようです。(唐突な自身の勧めにも、快く応じて嬉しそうに受け入れる彼女。それを見て、こちらも少々説明に熱が入る。表情はあまり変わっていないが、贔屓にしている店を認められるのは素直に嬉しい。七振り分の饅頭を残してくれた彼女に感謝し、購入したそれを店員に包んでもらう間。彼女に意見を求められれば、若干語気に興奮を混じえながらこれはどうでしょう、と自身の気に入っている品の数々を勧める。臆せず相談の輪に入る刀に、相方はもー……と困ったように笑い。彼女の保護者のような刀に「お互い苦労するね」と言いながら、店員から饅頭の袋を受け取った。声色はごく楽しげだったが。)いえ。こちらこそ、新たな季語を見つけることができて嬉しい限りです。気をつけてお帰りください。(頭を下げた彼女に、こちらも小さく会釈をして感謝の意を述べる。そうして彼女たちと別れ、和菓子屋を後にするだろう。夕暮れに染まる帰路を歩きながら、相方と良い買い物ができたと会話に華を咲かせていく。新たな季語は、果たして江の刀たちの口に合うだろうか、と期待に胸を膨らませながら。)
06/11 10:39*177