ハプニング!特に何も起きなかった!(設定自由)
*16*
(季語を重んじるこの刀にとって、日常の買い出しも特別なものである。買い物が好きと言うよりは、そこに至るまでの景色や賑わいに出会えることが喜ばしいのだ。活気づいた人々の様子。店先に並ぶ様々な商品たち。それらの情景をひっそりと眺めては、硬い表情を僅かに緩める。この買い物を通して、何か良い句が思い浮かべば良いのだが。……それはそれとして、与えられた買い出しの仕事もきちんとこなさなければならない。紙袋を片手に抱え、もう片方の手で懐の紙に手を伸ばす。そこに書かれている品物の箇条書きに目を通し、買い忘れがないかを確認していく。)……ふむ。(渡された紙面の中に買い逃しがないことを確認してから、再び懐に仕舞い込む。街を去るのは名残惜しいが、買い出しは夕餉までに済ませるようにと言い含められている。あまり道草を食うのも良くないだろう。そう思い帰路に着く途中——ある小さな花屋を見かけ、軒先に置かれた鮮やかな花々に目が留まった。紫陽花、桔梗、杜若、かすみ草、釣鐘草……この季節が盛りの、美しい花たちが生き生きと咲いているのを見て、思わずそこに吸い寄せられてしまう。)これは……どれも素晴らしい季語ですね。(寄り道をしないように、と思っていたのもすぐに忘れ、どの花を部屋に飾ろうかと花屋の前で思案を始める始末だ。)
06/09 02:07*25
(愛用の煙草が切れた。ともなれば、散歩も兼ねて「ちょっと出掛けてきますね。…嗚呼、護衛は結構、子供の遣いじゃああるまいし、一人で行って来ますよ」そう、告げた相手は確か歌仙だった。渋い顔をしていたけれど、何度も通った道で迷うこともありはしないと、呼び止める声を気付かぬふりして歩き出す。からん、ころん、と下駄の音が響いて、馴染みの店で紙煙草を二箱、買い溜めても湿気るだけだし、なくなればまた、抜け出す良い口実になるとばかり。袖に仕舞い込んで歩き出せば、花屋の軒先で立ち往生する刀が一振り。よくよく見れば花選びに悩んでいる様子で、まあその刀のことを考えれば、うちの五月雨も随分と花選びには時間を掛けていたなぁ、と頬を緩める。自然と歩をそちらへと向けては、一言。)ーもし、お悩みですかね?嗚呼、すみません、つい声を掛けてしまいました、随分と悩んでいるようでしたからついね。……これは独り言なんですがねぇ、うちの子は先日薄紅の紫陽花を此方の花屋で買って行きましたよ、ええ、相方にそっくりだと言ってね。(言いながら、此方を一本包んではくれませんかね、と店員に向けて頼む。指差す先は紫の紫陽花だ。)貴方が此処で悩んでいてくれたから、都合良く思い出せましたよ。一本だけじゃあ可哀想だと思っていたところなんです、ふふ、通りすがりの独り言だと思って下さいな。
06/09 03:47*32
(余程夢中になっていたのか。ふと近づいてくる足音を聞き取り、徐にそちらの方を振り返る。出で立ちや落ち着いた物腰から見て、他本丸の審神者であろうと察することができた。独り言という名の思わぬ助言を受け、僅かに目を丸くした後。紫陽花に視線を移し、その淡紅の花弁に小さく口角を上げる。)紫陽花や 帷子時の――確かに、この紫陽花は雲さんの髪のような花びらをしていますね。…すみません、私もこの紫陽花を。(唯一無二の相方を思わせる紫陽花を見つけたとなれば、買わないという選択肢はない。こちらも薄紅と紫の紫陽花を一本ずつ、花束にして包んでもらう。その際彼に聞こえぬよう、こっそりとある注文も口にした。そうして出来た花束の他に、もう一つあるものを携えて。そっと、包装紙に包まれたそれを相手へと差し出す。)季語の助言をしていただき、ありがとうございました。ささやかですが、お礼にこちらを。(差し出したのは、青紫の花弁を持つ一輪の紫君子蘭。それが相手の手に渡るとも渡らずとも、刀は無表情ながら満足そうに頷くだろう。そして彼の手の中にある、紫の紫陽花を一瞥し)自身の頭に、素晴らしい季語を選んでもらえるとは。そちらの私は幸せですね。(ぽつりとそう呟いてから。それでは、と小さく頭を下げて花屋を後にする。——本丸へと帰城し、頼まれていた品を近侍に渡し。自室に戻り、茎を鋏で整え、花器に二つの紫陽花を生ける。そのうち遠征から戻ってきた相方が、飾られた花を見て「その紫の紫陽花、雨さんの髪の色みたいだね」と微笑んだ。)そうでしょうか。…そうかもしれませんね。(それに釣られて、刀も薄く唇に弧を描く。今宵は良い句がたくさん詠めそうだ。)
06/09 12:23*43
(急に話し掛けて悪かったやも知れぬ。少しばかり丸くなった瞳に、ふ、と頬を緩めて見せて。重なり合う花弁が、まあ、それだけ集まっていれば寂しくもないだろうと思ったのはつい最近のことである。)ええ、ええ、そうでしょう?五月雨くんがねぇ、何でも好きな花を選びなさいね、といつも言ってるんですがね、どうにも色が似通っている気がするもんですから。余程好きなのでしょうねぇ。(店員から受け取った紫の紫陽花を抱えて、同じく紫陽花を選んだらしい彼を見遣る。余計なお世話と思ったけれど、助言もなかなか役に立ったらしい。さてそろそと歌仙が痺れを切らして迎えに来そうだな、と考えていれば、目の前に差し出される紫君子蘭。幾度か瞬いてから、遠慮なく手を伸ばして受け取った。)おやおや…よい土産が出来てしまいました。有り難く頂いておきますよ。…はは、どうでしょうねぇ、五月雨くん喜んでくれますかねぇ。(ええ、さようなら。軽く頭を下げて、進む方向は彼とは反対で。帰り着いた先で紫の紫陽花を差し出せば、きょとり、と瞬いた自本丸の彼に微笑む。)お散歩でねぇ、五月雨くんがお花を選んでいたものですからね、君の紫陽花に友達でも作ってあげようかと思いまして。…こっちですか?駄目ですよ、こっちは僕が貰ったお花ですから。(自分によく似た優しい色で、他所の自分の匂いがするのがちょっと気に入らないらしい彼に、破顔する。花瓶は歌仙がすぐに用意してくれた。)
06/09 15:59*55