ハプニング!ひったくり犯だ!無事に警吏へ引き渡せたけれど怪我をしてしまったみたい。
*137*
(朝の買出しは近侍と共に。けれども常に一緒にいるわけではなく、手分けをして各々が購入し、終わり次第入口付近で落ち合う予定だった。不運に見舞われやすい身であれど、通い馴れた此処ならばという油断が、隙をつくる要因となってしまったのかもしれない。)あっ、(真横からの追突。その衝撃に満足に声も出ず、思わず身体がよろめいた。何が起きたのかを理解しきる前に、己の貴重品が入った巾着を持った男性が走り去る姿を見る。もしかして、と事態を察するけれど、身体はすぐには動かない。どうしよう。近侍を呼ばなければ。冷えた指先を握り込んで思案した矢先――曲がり角の向こう側がにわかに騒がしい。かと思えば、先程走り去ったと思しき男性が取り抑えられた状態で出てきたではないか。恐らく誰かが事態を目撃していたのか、警吏に引き渡してくれたよう。ほ、と安堵に胸を撫で下ろす。一度己の手から離れた巾着袋を渡してくれるそのひとへ、)あの、ありがとうございます。本当に、本当に助かりました。(単身で解決してくれたのか、幾人の協力を得てなのかは分からずも、抱く感謝の比重に違いはない。受け取って深々と頭を下げる。数秒を置いて姿勢を正すと、恩人へ笑顔を向けて。)その、少しだけ待っていてください。近くに近侍がいる筈なので、合流して是非お礼を……(そう伝えるやいなや、一歩を踏み出そうとする――も、上手く踏み出せない。)ん……。む……?(足首の感覚がおかしい。それでも歩こうと試みる様子は、わりと滑稽かもしれず。)
06/10 14:41*139
(早朝。非番であったらしい五虎退から乱と買い物に行った事を知られたらしく自分にも付き合って欲しいと頼まれたが、酔っ払いに絡まれた記憶から断ったものの「乱兄さんだけずるいです…」と涙ぐまれたうえ、通りがかった横綱刀に「天下五剣とあろうものが酔っぱらいに絡まれた程度で情けない!この俺が手を出さずとも気合で追い払ってやろう!」と頼みもしないのに名乗り出られ結局ずるずると引きづられる形で万屋街に来ることに。)天下五剣は関係ないだろ。全く。(既に帰りたい気持ちで先を歩く二人の後をついて歩いていたが、気が付けば前方を歩いていた二振りの姿はなく、辺りを見回した時には一角で繰り広げられていた忍者ショーに夢中になっている姿を発見して頬を引き攣らせる事に。放置して帰ろうとした矢先、視線の先を歩く買い物中の女性の異変に気が付く。あからさまに女性にぶつかった男の手に巾着袋がしっかり持たれているのを目にすれば、今度は盗人かと深く溜息を零し、被害者の女性を少し気に掛けつつも男性の後を追いかけ、細い路地裏に入ったところで追いつくとその首根っこを引っ掴み低い声をさらに低くし、)盗った物を返せば何もしない。だがそうでないなら鬼に憑りつかれたとして斬ってやろうか?(と脅す言葉を放てば素面であろう男は真っ蒼になってすぐさま巾着袋を渡すだろう。その後は言葉通り、動けなくなった男には一瞥もくれる事なく被害者の女性の元へと向かい盗まれた巾着袋を差し出した。)たまたま見かけただけだ礼など必要ない。(と断るも、女性の声と動きに違和感を感じて足首を見やれば捻ったのかと眉根を潜め、)…動くな。じっとしていろ。(とだけ告けると足首への負担を考慮して横抱きに抱き上げ近くのベンチまで連れていく事に。そっと彼女をその上に座らせ、)おれが近侍を呼んでくるから待っていろ。(と近侍の特徴を彼女から聞き出せればすぐに連れて来る事だろう。)
06/10 15:34*140
(目の届かない場での、彼の活躍を知ることはない。それでも、助けてくれたのは事実であり、その為に力を貸してくれた事は確かに分かるから。礼は不要と言われたって感謝の念は絶えず、安堵も相俟って表情はよりやわらかに。――けれど。今まさに我が身に起こった事態に、先程とは違った意味で状況がうまく読み込めなくなって。)あ、あの……?(突然足が地を離れ、身体が浮いた。抱き上げられている。そんな状態を理解すると、じわりじわりと頬に熱が集まってくるのを感じて。そのまま身動きなど出来る筈もなく、固まった姿勢のまま視線だけは恥ずかしげに伏せた。気を遣い扱ってくれているのだろう、足の違和を感じることもなくベンチへ降ろされると、)っ……な、何から、何まで……ありがとうございます。(膝の上でぎゅっと両手を握り締めながら、もう一度頭を下げる。申し出は有難く受け入れることとして、同じ柄の巾着を持った陸奥守吉行がいる筈、と伝えよう。合流が叶えば、近侍に事情を説明して、買っておいてもらったいくつかの袋から一つを彼へ差し出そう。)よかったらお持ちください。美味しい焼き菓子が入っているので、お嫌いでなければ主さまとご一緒に。(ちいさめの菓子折りは軽く、持ち運びにもそこまで苦労はしない筈。受け取って貰えないようでも、近侍が無理に彼の手に握らせるくらいはしたかもしれない。痛み始めた足を地に付かないようにして、近侍の補助を受け立ち上がる。改まって彼の方へと向き直ると、)鬼丸国綱さん。窮地を救っていただいてありがとうございました。今日のご活躍、きっと主さまへ聞かせて差し上げてくださいね。(微笑みは朗らかに。自分が主ならば、きっと誉を与えるに違いない彼の勇敢さ。其れは然るべき相手から賞賛を受けるに相応しいはずだから、と。別れを見送る眼差しは、やさしいひとのあたたかな未来を願うように。)
06/11 00:52*155
(残念ながらこの鬼斬り刀顕現してからの時間はそう短くはないものの、誰かとの親しい接触を好まぬ身であれば女性の心の内の機微などは全く理解していない様子で。ただ単にそうするべきと判断したからの行動であれば、抱き上げた後の彼女の戸惑いを理解できていなければ何故そうしたかを口にする事もせずにいただろう。とりあえず安全な場所に休ませて、手当てなどは彼女の言っていた近侍に任せるのが妥当だろうと。)いや、おそらく足首をくじいたんだろう。酷ければ捻挫しているかもしれん。とりあえずゆっくりしていろ。(告げられた礼には相変わらず変わらない表情と口調でそう返して、彼女の近侍の特徴を聞いたから一つ頷きすぐに探しに向かうだろうか。程なくして合流するはずの彼女の姿を探す様子を見せていた彼女と同じ柄の巾着袋を持つ陸奥守の姿を発見すれば近寄り軽く事情を説明して彼女の元へと案内する事に。その時に誰かが通報したのだろう盗人の男が連行されていくのも確認して。彼女の元へと戻った後はあとは近侍に任せようと立ち去ろうとしたところ、彼女の言葉と笑顔で菓子折りを半ば強引に差し出してくる陸奥守の行動に、)…い、いや。だから俺は何も礼をされるような事はしていないと。お、おい。(どうにも押しに弱いこの鬼斬り刀はとうとう押しに負けて溜息と共に菓子折りを受け取る事になり。続いて彼女からの微笑と共に告げられた言葉には、どこか複雑そうな表情を少しだけ浮かべると、)……まあ、考えてはおく。(とだけ返事を残して見送る視線を背に受けながら今度こそその場を立ち去っていくのだろう。その後は今度こそ本丸へと帰ろうとしたところを運悪く連れの二振りに見つかり連れまわされる事になるのだがそれはまた別の話――。)
06/11 11:50*179