ハプニング!突然のにわか雨!慌てて近くのお店の軒先に避難したけれどすっかり濡れてしまった…。お隣の人もずぶぬれみたい。

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(男性に苦手意識があるということは、自分の本丸内では周知の事実。男士の彼らに対してもよそよそしい態度をとってしまいがちだということも、ある程度は理解を示してくれていただろう。けれど、苦手だからといってあれこれ許容されるわけではないし、その通りだとも思っている。――だから、暇をする刀剣男士を伴わず、一人でこっそり万屋街に出掛けていたことがバレてしまったら、きっと叱られてしまうだろう。皆に気付かれぬうちに、何食わぬ顔をして戻れば大丈夫。考えは甘かった。)悪いことって出来ないなぁ……。(そんなことを突然のにわか雨に見舞われながら思った次第。買ったばかりの文具用品を胸に抱え、近場の店の軒先に避難させてもらおう。雨に濡れてのっぺりと額に張り付く前髪をそのままに鞄からハンカチを取り出して、ひとまず素肌で濡れた顔でも拭こうかと思ったのだけれど、)……、(ふと隣の、自分と同じく雨宿りだろう人物のことが気になってしまった。それとなく観察するに、相手の方もずぶ濡れのように見える。何か、声を掛けた方がいいだろうか。)……あ、あの……!ハンカチ、よかったら……。(せめてここではよい行いをしたくて、降り続く雨音に負けぬよう努めた声量で声を掛ける。その顔つきはどこか緊張した様子だっただろうか。なんと言われるかまだ分からなかったが、先に猫のキャラクターがプリントされたハンカチを差し出してみよう。)

06/10 00:07*117

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(その日は偶々本丸が慌ただしく、やれ出陣だ遠征だ昼餉の準備だと珍しく人手が足りない一日の始まりだった。それは自分の計画ミスだったと頭を抱える時間すらも惜しく、足りない物のお使いへは自分が行こうと手を挙げたのだ。平素その日の近侍が当然のようについてくるけれど、彼すら過密なスケジュール。慣れた道だし、ボケてはいないんだと言い訳の様な声を告げて渋々見送られてからほんの少し――よもや雨が降ろうとは。傘をも持たずに出てきてしまったものだから近くへ逃げ込んだその軒先で、ハンカチすらも忘れてしまうとは情けないなんて垂れてくる前髪を上げた頃。同じように避難していた女性の声に目線は落ちる。)これはこれは……ありがとう、素敵なお嬢さん。(差し出されたハンカチへ描かれた可愛らしいキャラクターに笑みが溢れ、人当たりの良い声を上げたなら目を見てお礼をひとつ。それからその布へ触れて、そのまま彼女の方へと戻した。)だが受け取る訳には行かないな、ほら、君の顔にも雨粒が張り付いているみたいだ。こんなに可愛らしいお嬢さんが風邪でも引いてしまったら私が怒られてしまうからね。(それは心からの本音で、本来きっと自分がハンカチを貸さねばならぬ立場だと肩を竦める。)そうだ、代わりにどうかな。雨が止むまで私の話し相手になると言うのは。私としてはそうしてもらえるとハンカチ5枚分は助かるよ。(そのハンカチからはすぐに手を離し、そのままパーの形に開いてはひらひら緩く振って見せる。しとしとと続く雨も、会話のBGMになるのならば悪くない。)例えばこの、かわらしい猫くんはなんて名前?(なんて、切欠を作って指差した。)

06/10 00:53*123

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えっ。(素敵なお嬢さん。そんなことを言われたのは生まれて初めてのこと。思わず相手を見上げたまま固まっていると、やんわりと戻されるハンカチにはっとなって。)あ、いえ……すみません、生意気に……、えっ?……あ、す、すみません……な、慣れてなくて……。(善人ぶった態度が悪かっただろうか。恥ずかしさと申し訳なさで反省する心持ちは、続いて紡がれる相手の言葉で変化することとなった。可愛らしいお嬢さん。驚いて彼を凝視してしまうものの、その言葉と相手の優しさに次第に頬が熱くなるのを感じて目を伏せ、じりじりと後ずさってしまった。きっと今の自分はへっぴり腰になっていることだろう。男性は苦手だけれど、この人のように優しいひとは多くいるのだと、審神者になって気付かされるばかり。)……はい、はい、もちろんです。私でよければ、お話し相手のお役に立ちたいです。ハンカチ5枚分、は。(相手の優しさを無下にするわけにはいかない。照れから復活すると、まずは――)はい、この猫は成田さんといいます。おしゃれさんで、紳士的な猫なんです。……あ、あ、ああ……。(話題にしてくれた猫のキャラクターについて紹介してみよう。ハンカチにプリントされたこのキャラクターの他にも仲間がいるのだが、この子はまさに、『あなたみたい』。その一言がなかなか言えず、充電が切れそうなロボットのよう。ぎゅっとハンカチを握ってしまい、猫の顔がしわくちゃに。)私は、私は、この猫のシリーズが、好きなんです。……あなたの、お好きなものはなんでしょう。ご、ご趣味は……。(緊張した顔つきはなかなかほどけるものではなかったかもしれない。それでも、相手さえよければ、雨が止むまではこの時間をご一緒したい。)

06/11 00:39*154

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ふふ、私は大丈夫だからね。でもその気持ちが嬉しいよ、雨も悪くないと思える位に。(数十年前ならばその指先で彼女の頬を滑る水滴を拭っただろうがそこを堪え、後退る姿に初対面の相手は苦手だっただろうかと無理に距離を詰めず一度視線を外へと戻した。通り雨だろうそれは行き交う人々を焦らせながら空気を冷やしているけれど、偶には悪くない。始まる会話へ再びそのキャラクターを見てから、不思議そうに目線を上げた。)成田さんか、随分呼びやすい名前で……うん?あっ。お嬢さん、成田さんがへちゃむくれに……。(ハッとして指摘するも紳士的な猫のことだ、きっと彼も受け止めてくれるに違いない。大丈夫大丈夫と猫が返事をしているようにも見えた。)成田さんの他にも仲間たちがいるんだね、私も今度探してみようかな。――そうだ、彼らの中に音楽を好んでいる子はいる?私は元々音楽家でね、音楽をきいたり奏でたりすることが趣味なんだ。(伝わる緊張に会話のバトンを受け取っては次は自分が語る番。審神者となる以前の思い出と共に他愛も無い話を続けたなら、雨宿りの時間も無駄では無くなった。キャラクターの話、音楽の話、そこからあれやこれや。続く話題の中「俊さーん!」と遠くで呼ぶ声がした時、気付けば雨は通り過ぎていた。)おっと、沢山話しすぎてしまったかな。話し相手をどうもありがとう、地面が泥濘んでいるから帰り道には気を付けて。(雲の隙間から覗く光に瞳を細め、軒先から一歩。雨が運んできた素敵な出会いに感謝を告げながら、午後を過ごすとしよう。)今度は是非晴れた日に。良い一日を。

06/11 02:22*167