ハプニング!何処からともなく五匹の小虎が寄ってきた!自分一人じゃ抱えきれない!
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(護衛を引き連れる事無く歩む大路、日も落ちかけたそこは日中の活気ある様から少しばかり異なり落ち着いた雰囲気を漂わせ始めている。馴染みの店の看板娘に手を振って返しながらどこへ向かうでもなく進めていた足を止めたのは何かがふわりとスラックス越しに触れたから、妙に暖かく柔らかいそれには覚えがあってこれはこれはと視線を向けた先には予想通り無邪気に戯れる小虎が五匹。ぎゃうぎゃうと鳴きながら見上げて来る五対の瞳を受け止めながらさてどうしたものかと思案して、伸ばした腕では三匹を抱え上げるのに精一杯。残りの二匹が宛ら仔猫の遊びの如くスラックスへ爪を掛けてよじ登ってこようとするのをその場で小さく足踏みをして抑え。)わっ、ちょっと……こら、悪戯っ子だね君たちは。困ったな…どこの五虎退の虎だい?おうちは分かる?(腕の中で蠢く小虎も、一度は固まってしまったもののまた爪を掛けて遊び始める小虎もお供の狐のように理解できる返事をするはずもなく。彼らの長たる短刀の姿も見えない今、下手に動くことも出来ずに困ったと眉を下げるばかり。)どこかの五虎退…早く迎えに来てくれないか……。
06/09 23:34*115
…で、どの辺でいなくなったんだ?(と連れの五虎退に尋ねる様子は別段困った風でも怒った風でもない。主の使いで万屋街へやってきていた豊前と五虎退だったのだが、用事を済ませて帰ろうかとなったところで事件は起こった。五虎退の連れていた虎たちが一匹残らずいなくなってしまったのである。好奇心が旺盛なところもあり、何よりまだまだ小さな子どもたちなものだから興味の赴くままにどこかへ行ってしまうことはままあるらしい。「たぶん、この辺りだと思うんですけど…」と泣きそうな声で応じる短刀の頭にぽんっと手を乗せてやって)そんな気にすんなって!あいつらはちょっとヤンチャだけど、悪さはしねーんだし。すぐ見つかるよ(と言いながら探索を続けていた矢先だった。「あ、」と小さく声を上げた五虎退が走り出す。一瞬驚きつつもすぐに後を追えば―駆け出した理由は直ぐに判じるだろう。)おっ、こんなとこに居たのか。悪かったな!うちのが迷惑かけたみたいで(抱き上げたのが三匹、残りを足元にまとわりつかわせたままの様子に軽く笑いながら頭を下げる。ぱっと両手を広げるのは虎を受け取るのでよこしてくれ、の意思表示だ。「そういやこいつら、結構爪尖ってるけどよ、アンタの服は大丈夫か?」特に足元のあたりはよじ登ろうとしている虎もいたような様子だったから、穴でも開いてないかと案じるように視線を向けた。)
06/10 00:24*120
(動物は好きだ、小さなものも好きだ。故に小虎は大変好きだ、しかしながら一度に五匹も相手にするのは持て余してしまう上に時折スラックスを貫いて爪の先が肌を掠めるのはさすがに痛い。どうしたものかと立ち尽くす女の横を同情するような視線を向けては去っていく人の波、これはいよいよどうにか動いて五虎退の姿を探さなければならないかと決意を固めかけたその時、軽やかな足音が近づいてくる事に気付くと顔を上げた。近寄って来る儚げな色彩の華奢な姿、天使もかくやとばかりのその姿に安堵の息を吐き出して。)良かった、丁度君を探しに行こうとしていたところだよ。ああいや、こんなに可愛らしい小虎に捕まってしまったのだから迷惑なんて事はないさ。(五虎退とは反対のはっきりとした色合いを持つ打刀へと首を横に振って見せては広げられた腕へ抱えていた三匹を受け渡し、足元で木登りならぬ人登りをしようと励んでいた小虎は五虎退の腕で掬い上げられたらしく重さも温もりも遠ざかっていくと漸く一息付けたとばかりに肩の力を抜き。見下ろしたそこには多少、注視しなければ見えない程度の穴は開いているだろうけれど些事だと自由になった片手をひらりと左右に振った。)僕の履物ひとつでこの子たちが楽しんでくれたのなら充分、それよりまたはぐれてしまわないように良く見ていてあげてくれるかい?次も僕のところに来てくれるなら歓迎だけれどね。(気にしいの短刀へ茶化すように口にしてウインクひとつ、さてそれじゃあ僕はこれで、そう言い残して打刀へ会釈をするとまたどこへ向かうでもなく雑踏の中へと消えていく。穴の開いたスラックスを見た今日の近侍が「雅じゃない!」と声を上げるまであと少し。)
06/10 19:42*147
ははっ、見た目だけなら可愛いかもしんねーけど、結構ヤンチャだからな(軽い調子で笑いながら虎の子たちを受け取って、相手の足元にじゃれついていた二匹は五虎退が抱き上げたことによって、ようやく身動きのとりにくい状況から脱することが出来るだろうか。よくよく見た布地には微細ながらも小さな穴が認められる。「あ、ご、ごめんなさい…!」というか細い謝罪に続けるように)つっても…悪いな、どうにかしてやりてぇけど裁縫?みてーなのはからっきしだし(自分の本丸の仲間がかけた迷惑は当然のように自分も償うつもりで思案するものの、出来ることはそう多くはなく―と言うよりも現時点では残念ながら出来ることが無さそうにも思えて、快闊な豊前には珍しく眉尻が少しだけ下がる困ったような表情になるだろう。主も一緒だったならもっと何か出来たかもしれないが、今日は二人での用事なものだからどうしようもなく。困った様におろおろとする五虎退の頭にぽんと軽く手を乗せると)アンタ、いい人だな!お言葉に甘えさせてもらうぜ。…ま、もしまた会う時に困ったことがあれば何時でも声かけてくれ!今日のお詫びに手助けすっからさ!(寛大な言葉をそのまま受け取ることにして、にかっと明るい笑みが応じる。まだ不安そうな五虎退へ「な?」と同意を求めるように視線を合わせてやれば「は、はい…!」と小さいながらもはっきりとした返事があるだろう。)おう、じゃあな!(軽やかな言葉と態度に応じるように軽く片手をあげて見送ると自分たちも本丸へ帰るとしようか。その日の出来事はちょっと変わった一幕として主への土産話にされるはず――)
06/11 02:50*168